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プログラマブル (出力可変型) 直流安定化電源の基礎と概要 (第3回)

直流電源の用途例

直流電源はさまざまな試験のために使われる。特に直流で動作する自動車用電装品や電子機器の評価や試験では直流電源は必須となる。

車載用の高速応答電流センサの評価

ハイブリッド自動車、電動パワステ、アイドリングストップ車の制御が広く普及してきたため、自動車向けの電流センサが多く使われるようになった。

自動車向け電流センサは直流から早い変化を検出しなければならないため、高速に応答する電流センサが必要となる。これを評価するには直流電源と高速に動作する電子負荷が必要となる。

図38. 高速応答電流センサの評価

図38. 高速応答電流センサの評価

ヒューズの溶断試験

さまざまな電流印加条件でヒューズが仕様通り規定された時間で溶断するかを試験する。ヒューズの溶断試験の手順は規格で決まっているため、パソコンを用いた試験システムで行われる。

図39. ヒューズの溶断試験

図39. ヒューズの溶断試験

DC-DCコンバータの試験

ハイブリッド自動車やアイドリングストップ車の内部にはさまざまな電装品を駆動するためにDC-DCコンバータが搭載されている。

また、データセンターなどでは多くの情報通信機器が駆動している。通常は商用電源から得た交流電源で駆動しており、停電時には電池で駆動できるようになっている。現在のシステムでは交流から直流、直流から交流を何度も変換するためエネルギー効率が悪くなっている。このためシステムを高電圧直流(HVDC)で構築することが始まっている。HVDCを使ったサーバシステムではHVDC電圧(DC380V)からDC12VやDC48Vに変換するDC-DCコンバータが使われている。

図40. 従来の給電システムと高電圧直流給電システム(HVDC)の比較

図40. 従来の給電システムと高電圧直流給電システム(HVDC)の比較

DC-DCコンバータはほかにもさまざまな用途で使われている。DC-DCコンバータを評価するには直流電源が使われる。

図41. DC-DCコンバータの電圧変動試験

図41. DC-DCコンバータの電圧変動試験

住宅用パワーコンディショナの試験

住宅用太陽光発電システムは太陽電池からの直流エネルギーを交流に変換するパワーコンディショナが使われている。パワーコンディショナを評価するには太陽電池と同じ動作をする模擬直流電源が必要になる。

大容量直流電源をパソコンで制御して太陽電池と同じような動作を再現性良く行い試験を行う。

図42. 住宅用パワーコンディショナの試験

図42. 住宅用パワーコンディショナの試験

ペルチェ素子利用の冷熱プレート制御

直流電流により冷却・加熱を自由に行えるペルチェ素子を温度調節計によって制御すると冷熱プレートを一定の温度に制御することができる。このため温度を一定にして実験を行うときは簡単な仕組みで動作するペルチェ素子を使った装置が使われる。

図43. ペルチェ素子利用の冷熱プレート制御

図43. ペルチェ素子利用の冷熱プレート制御

リアクトル(コイル)の直流重畳試験

リアクトル(コイル)に直流バイアス電流を流すと、磁性材料の磁気飽和に近づくことで透磁率が低下し、インダクタンス値が低下する。この現象を測定するためのシステムにはリアクトルにDCバイアス電流を流すための直流電源が使われている。

図44. リアクトルの直流重畳インダクタンス測定

図44. リアクトルの直流重畳インダクタンス測定

半導体のパワーサイクル試験

パワー半導体(MOS-FET、IGBT等)はオン時の自己発熱とオフ時の冷却という熱的なストレスが繰り返されると、チップとボンディングワイヤー間の破断、ヒートシンク部のはんだクラックの発生などが生じる。パワーサイクル試験は温度サイクルを繰り返して行い、パワー半導体の耐久性を調べる。

これを行うにはパワー半導体に電流を流す直流電源が必要になる。この試験は複数のパワー半導体を同時に行うので、スペース効率の良い薄型の直流電源が使われる。

図45. 半導体のパワーサイクル試験

図45. 半導体のパワーサイクル試験

LED素子のエージング試験

LED素子は内部が高温になるため、品質確保を目的に出荷前にエージングが行われる。

LED素子の順方向電圧は1.8V~3.7Vとなるため、大量のLEDを直列に接続した場合は印加電圧が高くなる。また、出力をオンした時に突入電流がオーバーシュートしないように直流電源はCC優先モードに設定する。

図46. LED素子のエージング試験

図46. LED素子のエージング試験

アナログ回路の測定

アナログ回路を測定する場合は電源からの伝導ノイズが信号に混入することを嫌うため、評価のときに利用する電源はスイッチング方式直流電源よりノイズの発生が少ないドロッパ方式直流電源が使われる。

例えば、オーディオ機器やセンサ回路の評価にはドロッパ方式直流電源の利用が望ましい。

図47. アナログ回路の評価

図47. アナログ回路の評価

直流駆動の車載機器から生じる放射ノイズを試験する場合は、供給電源からの伝導ノイズの影響を最小限にする必要があるため、ドロッパ方式直流電源が使われる。

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