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測定・評価用電源の話 (後編)

スマートグリッドの狙いは、最適(効率・安全性)な電力利用です。スマートグリッド(次世代電源網)を略して「スマグリ」と呼ばれはじめています。

スマートグリッドで何が変わるのか? ※図1参照

Ⅰ. 現在・これまで

少数の大型発電所で作った電気を送電・配電して、多数の家庭・事業所で使う。電気の流れを、なにかの流れにたとえれば、

(上流)電気を作る→発電所

(下流)電気を使う→家庭・事業所など

電気を作る側と使う側が、はっきりと分かれている。上流から下流に向けて流れます。電気を貯めることができないので、安定な電力供給のためには、電力のピークをカバーするように発電所を作ります。

Ⅱ. これから

大きな変化が2つあります。変化は、電力網末端の家庭・事業所に起きます。

A)電気を貯める機能が加わります。a)(電気自動車、プラグイン・ハイブリッド車、家庭用・事業所用設備)

B)電気を作る機能が加わります。b)(太陽電池、燃料電池)

図1

a) 電気を貯める機能は、これまでありませんでした。初めて加わります。便利だけれど、貯めることができないのが電気の欠点でした。貯める機能は、電気の欠点を解消します。電気を貯める機能により、電気を作るときと、電気を使うときが違っていてもよくなります。太陽電池や風力発電・波力発電などは、気まぐれな自然が相手なので、電気を貯める機能と組み合わせて、はじめて実用的な電源になります。発電できるときに貯めて、必要に応じて放出します。電池は、EV(電気自動車)やPHEV(プラグイン・ハイブリッド車)に積まれている電池を利用します。

b) 電気を作る機能については、従来の大規模集中型に分散型(小規模広域分散)が加わった複合型システムに変化します。太陽電池や燃料電池で作った電気は、交流に変換して送配電線に戻します。送配電線に戻すときは、発電所から送られる電気にシンクロさせるようにタイミングを調整します。ひとつずつは小規模でも、数が多いので、全体の量は大きなものになります。EVやPHEVの充電を皆が一斉に行うと、一時的に電力不足になります。作った電気を送配電網に戻す動作を各家庭・各事業所が、ばらばらに勝手に行うと、電力システムが変調したり、ダウンする恐れがあります。

電源の効率的で安定な利用のためには、各家庭・各事業所に配置された「電気を作る機能」「電気を貯める機能」を全体最適の視点で制御する必要があります。このためにインターネットを利用します。


スマートグリッド時代のキーデバイス

1. 低損失・高効率のパワー半導体:SiC

スマグリでは、電気の変換が頻繁に行われます。変換回路の主役であるパワー半導体の低損失化・高効率化が非常に重要です。これからSiCの名前を聞いたり目にしたりする機会が増えることでしょう。

2. 次世代電池(小型・大容量・安全性)

最近の電池の進化スピードには目を見張らされますが、まだまだ発展途上です。今の10倍の容量の電池が必要といわれます。まだ次世代電池のエースは見えていません。今後に期待!


スマグリ関連製品の開発

電力変換器・コントローラ(電池の電気を電力線に戻したり、EVやPHEVへの充電を制御する機器)が各家庭・事業所に必要になります。制御機器メーカーや電源メーカーでは、これの開発が進められています。


開発に使用される測定器

図2

スマートグリッドの狙いは効率的な電力利用ですので、関連機器の開発でも電力効率の改善・向上は必須です。電力計をはじめとして電圧計、電流計が基本測定器になります。電力変換器・コントローラーの制御部は、組み込み開発になるので、ICE・ロジアナ・オシロも使われます。


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