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学び情報詳細

電力計の基礎と概要 (第3回)

電力計の校正

電力計には測定結果の信頼性を求められるため、定期的な校正が必要となる。

電力計のトレーサビリティ

電力計メーカにとって国家標準からのトレーサビリティ体系を社内にどのように構築するかは重要な開発テーマとなっている。電力計メーカは社内の構築されたトレーサビリティ体系をもとに設計、生産、修理・校正の各部署で必要とされる精度保証環境を確立している。

下記には横河電機が構築している電力計のトレーサビリティ体系の概要を示す。

図50. 横河電機の電力計トレーサビリティ体系図の概要

横河電機の電力計トレーサビリティ体系図の概要

電力計校正の実際

開発用の高性能電力計の校正には高度な技能と専用の校正環境が必要となるため、測定器メーカや信頼できる校正事業者で校正を行うことを勧める。

生産ラインなどで数多く使われる0.15~0.2%クラスの電力計や保守の現場で使われるクランプ電力計、装置に組込まれる電力モニタなどの校正は交流電力校正器を使用すれば利用者自身でも校正作業はできる。

図51. 交流電力校正器を使っての単相電力計の校正

交流電力校正器を使っての単相電力計の校正

この図では低力率での校正を考慮して外部に高性能電力計を接続しているが、低力率での校正を行わない場合は交流電力校正器単体での校正が可能である。

おわりに

パワーエレクトロニクス装置は今後とも高効率化と高度化が進み、システムでの効率測定が求められるようになると思われるため、市場の新たな要求に応じた新たな電力計が今後とも登場すると思われる。また電力計メーカは電力計だけではなく、周辺機器や計測ソリューションなどの提供を充実させると期待される。

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