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直流電子負荷の基礎と概要 (第3回)

直流電子負荷装置を安心して使うために

直流電子負荷装置を安心して利用するためには定期的に校正する必要がある。

直流電子負荷の校正

直流電子負荷装置の校正は外部に接続された電源装置から直流電子負荷装置に流れる電流と端子間の電圧を計ることによって行われる。校正されたデジタルマルチメータと電流を計るためのシャント抵抗が必要となる。

図48. 直流電子負荷装置の校正

図48. 直流電子負荷装置の校正

発熱による劣化や故障を防ぐため

直流電子負荷装置を故障なく長期にわたって利用するためには放熱に配慮が必要となる。直流電子負荷装置には多くの電解コンデンサが使われている。アレニウスの法則に従って電解コンデンサは熱によって劣化が進み、温度が高い環境に置かれた場合は寿命が短くなる。

図49. アレニウスの法則による電解コンデンサの推定寿命

図49. アレニウスの法則による電解コンデンサの推定寿命

また、直流電子負荷装置の発熱と冷却が繰り返されると、部品材料の膨張と収縮が繰り返されて、部品を接続している個所などに亀裂が生じる。最悪の場合は断線などが生じて装置の故障となる。

図50. 発熱による膨張と収縮によるクラックの発生

図50. 発熱による膨張と収縮によるクラックの発生

直流電子負荷装置を利用する場合は冷却のための空気の取り入れ口と排出口に十分な空気の流れができる空間があるか。また冷却用のファンにほこりが付着していないかなどを時々点検する必要がある。

長年使っていない古い直流電子負荷装置を利用するときの注意点

直流電子負荷装置に使われている部品や配線は長期の使用や保管によって寿命、絶縁劣化、腐食などが生じて信頼性が低下する可能性がある。長年使用していない古い直流電子負荷装置を使う場合は事故を防ぐためにメーカに点検を依頼することを勧める。

おわりに

直流電子負荷装置は直流電源を評価するには必須の装置である。今後ともデジタル化が進むに伴ってさまざまな電子機器が登場することが予測され、それを駆動する直流電源も増えていくと予測される。今回の記事が直流電子負荷装置を利用する一助になれば幸いである。

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