TechEyes

2017/11/15

市場動向レポート 「宇宙開発の歴史と人工衛星に関する計測ソリューション」2016年6月号 TechEyes Vol.17

注 : 本記事は、TechEyes 2016年6月号にて発刊された内容をそのまま掲載しておりますので、現在とは異なっている場合があります。

最近、新聞やテレビで宇宙に関するニュースを目にする機会が多いように思います。ロケット開発をテーマにしたドラマが高視聴率であったように、宇宙への関心の高さが伺えます。昔から、映画やアニメでロケットなどによる宇宙旅行や宇宙生活が描かれたシーンがよくあります。遠い未来の話だと思えますが、宇宙開発の着実な進歩によって現実へと近づいています。今号では宇宙開発の歴史と動向に触れ、宇宙開発には欠かせない人工衛星に関する計測ソリューションの一端をご紹介します。

世界の宇宙開発の歴史と動向

写真1. 宇宙飛行士 ユーリ・ガガーリン
写真2. 月面に立つオルドリン宇宙飛行士

人類の宇宙開発は第二次世界大戦の終了から間もない、1950年代にアメリカとソ連の開発競争で急速に発展します。世界ではじめて人工衛星の打ち上げに成功したのはソ連でした。1957年にスプートニクロケットで打ち上げられた人工衛星スプートニク1号は、電子機器と電池を搭載し地球へ電波を送るという成功を収め、世界に大きな衝撃を与えました。これを受けてアメリカは開発を加速させて1958年に人工衛星エクスプローラ1号の打ち上げに成功します。その後の1961年には、ソ連が世界で初めて有人宇宙飛行に成功します。宇宙飛行士のユーリ・ガガーリン(写真1)は、ボストーク1号に乗って108分間の宇宙飛行をした後、無事に地球へ帰還します。「地球は青かった」というガガーリンの言葉はとても有名です。そのわずか23日後にアメリカも宇宙飛行を成功させています。このように、熾烈な開発競争はアメリカやソ連国内の宇宙人気に拍車をかけ、この頃から多くのSF小説や漫画が作られるようになってきました。

ソ連に遅れをとっていたアメリカは、1961年に当時の大統領ジョン・F・ケネディがアポロ計画を発表します。これは10年以内に月に人を送り帰還させるという壮大なものでした。アメリカの威信をかけたこの計画は長期滞在・船外活動・ランデブー飛行などの実証試験を繰り返し、1969年にアポロ11号計画で実現します。ニール・アームストロング船長と月着陸船操縦士のエドウィン・オルドリンが月面に掲げた星条旗の映像(写真2)は、世界に驚きと感動を与えました。このときニール・アームストロング船長は有名な言葉を残しています。「これは一人の人間には小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ。」

このような大きな成功を収めた一方で、膨大な開発費が国の財政に大きな負担となり、アメリカとソ連の開発競争は次第に終わりへ向かいます。その後は、現在の宇宙ステーション開発のように国際共同開発へと移り変わっていきます。

1981年に初飛行したスペースシャトルは、打ち上げ費用削減を目的として開発された再使用型ロケットです。飛行機のような形をしたオービター(軌道船)は、固体ロケットブースターと外部燃料タンクを搭載して打ち上げられ、宇宙空間でミッションを終了すると大気圏へ再突入して地球へ帰還し再利用されます。1981年の初号機打ち上げから人員輸送や衛星打ち上げ、機体回収、宇宙ステーションへの物資輸送などで活躍しましたが、2度の事故に加えて、使い捨てロケットよりも大幅にコストが掛かっていたことから、後継機が実現しないまま2011年に姿を消してしまいました。

図1. 宇宙エレベータの概念図

近年、宇宙開発の分野ではベンチャー企業の宇宙進出が注目されています。中でもアメリカのスペースX社は、低価格でロケットを打ち上げることができ、民間通信衛星の打ち上げ市場でのシェアを拡大しています。また自社開発の宇宙船ドラゴンは、民間企業ではじめてISS(国際宇宙ステーション)への物資補給にも使用されています。今後は開発中の再利用ロケットで、さらなる宇宙輸送のコスト削減を目指しています。

宇宙輸送もこれまでのロケットに代わる新たな方法として、宇宙エレベータの研究が行われています(図1)。これは地球と宇宙をエレベータでつなぎ、人や物資の輸送を可能にします。実現すれば、これまで訓練を受けた宇宙飛行士しか行けなかった宇宙空間に、私たちも行くことができるかもしれません。

世界の宇宙産業は、通信・放送衛星など宇宙インフラを利用する衛星サービスを中心に拡大が見込まれています。その背景には宇宙産業基盤のない新興国がけん引役となっています。世界の人工衛星需要は、これからの10年間で過去10年間の4倍ともいわれています。宇宙輸送や人工衛星の開発は、民間企業やベンチャー企業を中心に発展が見込まれ、低コスト化による価格競争が激化していくと予想されます。


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