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市場動向レポート 「FFTアナライザの歴史と応用」2014年3月号 TechEyes Vol.04

注 : 本記事は、TechEyes 2014年3月号にて発刊された内容をそのまま掲載しておりますので、現在とは異なっている場合があります。


FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)は工学のいろいろな場面に登場してきますが、振動・音響の測定分野においてFFTアナライザとして活用されているのが、技術者にとっていちばん身近なものです。身近とはいってもオシロスコープと違って、フーリエ変換という数学理論が邪魔をして分かりにくいものと思われがちです。今号ではFFTアナライザの歴史を振り返るとともに、FFTアナライザ関連の用語を解説しその応用について触れます。


FFTアナライザの歴史

J.W.Cooley※1とJ.W.Tukey※2らによって高速フーリエ変換のアルゴリズムが発表されたのが1965年で、この発見によりFFTは多方面の工学分野に適用されるようになりました。測定器の分野でFFTアナライザが初めて世に出たのは1970年前後です。

ご存じの方は少ないと思いますが、FFTアナライザが登場する以前には「リアルタイムアナライザ:RTA」と呼ばれたアナライザがありました。アメリカの軍事技術から派生したコヒーレントメモリによる時間圧縮(Time Compression)技術が搭載されていて、入力信号(1Hz~40kHz)を10MHz程度のIF周波数※3に帯域アップしヘテロダイン方式※4のスペクトラムアナライザで分析するものでしたが、帯域アップすることでリアルタイム処理を実現しています。図1にリアルタイムアナライザの原理図を示します。ここでの「リアルタイム」という言葉は、「100%データプロセッシング」の意味で使用されており、「処理の抜けがない」ということです。リアルタイム性については、FFTの用語解説でもう少し詳しく触れます。

図1 リアルタイムアナライザの原理図

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