技術情報・レポート

2017/08/30

デジタルマルチメータの基礎と概要 (第2回) 「DMMの原理、AD変換方式、ノイズの影響」

エンジニアにとって、いちばん身近でポピュラーな測定器のひとつは、DMM※1やマルチメータ、テスタなどと呼ばれているデジタルマルチメータでしょう。実験ベンチには必ず1台は在って、電圧や抵抗のちょっとしたチェックに使われます。受配電設備の現場でも、なくてはならない測定器のひとつです。この記事では、マルチメータが歩んできた歴史、動作原理、測定機能と確度仕様、使用上の注意、安全規格などについて、なるべく平易に4回にわたって解説していきます。

※1 DMM:Digital Multi Meterの略称で、読みはディーエムエム

デジタルマルチメータの基礎と概要(第1回) DMMの歴史と変遷
デジタルマルチメータの基礎と概要(第3回) DMM測定機能と確度仕様
デジタルマルチメータの基礎と概要(第4回) DMM使用上の注意と安全規格、精度維持管理


DMMの原理、AD変換方式、ノイズの影響

図1は、DMMの基本回路構成を簡易的に示したものです。マルチメータはその名前の由来通りマルチの測定機能を持っていますので、入力部にはDCV(直流電圧)の高電圧測定のためのアッテネータ(分圧抵抗)、レンジングアンプ、Ω(抵抗)測定のための定電流発生器、ACV(交流電圧)測定のための実効値変換(AC-DC変換)回路、電流(DCI/ACI)測定のためのI-V変換回路(シャント抵抗)などが用意されています。

ベンチトップタイプはインタフェースを介してPCなどと接続されることもありますので、機器の間でコモン電位が共通となり、測定系に影響を及ぼします。入力部とデジタル回路はフォトカップラなどで絶縁してこれを防ぎます。ハンドヘルドタイプでもこの構成は基本的に変わりありませんが、バッテリ駆動のため絶縁が不要ですから、よりコンパクトにするための集積回路化が進んでいます。

図1. デジタルマルチメータ(DMM)の原理図

図1. デジタルマルチメータ(DMM)の原理図

DMMのAD変換器方式で大半を占めていると思われる、デュアルスロープ(2重積分)方式のブロック図を図2に示します。

まずスイッチSWを一定時間(Tx)だけ被測定電圧Ex(ここでは負の電圧)側に倒します。この間、被測定入力電圧に比例した電流-Ex/Rが容量Cに流れ込み積分されますので、-TxEx/RCの電圧がコンパレータに出力されます。Tx後に基準電圧Er側にスイッチが切り替わり、同時に計数カウンタがクロックパルスの計数を開始します。この間、積分器にEr/Rの電流が流れ込みます。いっぽうコンパレータは積分器出力がゼロになるタイミングを検出することで、計数カウンタで時間Trを求めます。結果、測定したいExは次の関係式で表現できます。

TxEx/RC=TrEr/RC すなわち、Ex=TrEr/Tx

被測定電圧を積分する時間Txと基準電圧Erは既知ですから、被測定電圧はTrを求めることで得られます。

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