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学び情報詳細

デジタルオシロスコープの基礎と概要 (第3回)

デジタルオシロスコープの校正

デジタルオシロスコープの観測結果の信頼性を確保するには定期的に標準器を使って行う定期校正と、デジタルオシロスコープ単体で行う自己校正を行うことが必要となる。自己校正は温度変化による変動を補正が主な目的となる。デジタルオシロスコープの波形観測の信頼性を保障していくには定期校正が必要になる。デジタルオシロスコープの定期校正では下記の3つの確認が基本となる。

・サンプリング周波数確度

A/D変換器のサンプリング周波数を直接確認できないので、正確な周波数を発信できる信号発生器を使って波形を観測して、デジタルオシロスコープで観測した波形から得られた周波数と基準の信号発生器の周波数を比較することによってサンプリング周波数の確度が判る。

・直流電圧確度

正確な直流電圧を発生できる電圧発生器の信号をデジタルオシロスコープで観測することによって確度が判る。デジタルオシロスコープにはレンジがあるので、各レンジでの校正を行う。

・周波数特性

デジタルオシロスコープに急峻なパルス波形を入力して立ち上り時間から周波数特性を確認する場合と、正確な周波数を発振できる信号発生器を使って、仕様で規定された最高周波数と低周波信号との振幅差が-3dB以下であることを確認する方法がある。

オシロスコープの校正作業を行うための専用の校正器が販売されているので、大量にオシロスコープを保有する工場や研究所では、オシロスコープ校正器を持てば校正作業を自社内で行うことができる。

図58. オシロスコープ校正器 9500B

図58. オシロスコープ校正器 9500B(フルーク社)

提供:フルーク社

デジタルオシロスコープは組込まれたファームウェアの最新版はメーカのホームページからダウンロードできるようになっているので、校正にあわせてファームウェアの更新を行うことを勧める。

おわりに

オシロスコープはエレクトロニクス技術者やファームウェア開発技術者にとって毎日使う最もなじみのある測定器である。デジタル化したオシロスコープは高機能化が進み、1台で多くの解析ができるようになってきた。波形を正確に観測する技術を持つことは技術者にとって必須なことであるので、この記事が皆様の役に立つことを願っている。

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