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デジタルオシロスコープの基礎と概要 (第3回)

【インタビュー】テクトロニクス社のオシロスコープ事業への取り組み

1946年以来さまざまなオシロスコープを作り、グローバルで長年トップシェアを持つテクトロニクス社の営業技術統括部 統括部長 最高技術責任者の瀬賀 幸一様にお話を伺った。

図59. インタビューを受けて頂いた瀬賀 幸一様と歴史的なテクトロニクス社のオシロスコープ

図59. インタビューを受けて頂いた瀬賀 幸一様と歴史的なテクトロニクス社のオシロスコープ

Q1:オシロスコープを取巻く市場動向について

オシロスコープは歴史が長く、多くのメーカが参入した分野である。現在ではベーシック、ミドルレンジ、ハイエンドクラスに分かれている。ハイエンドのオシロスコープを販売しているメーカは限られるが、ミドルレンジ以下のクラスには多くの測定器メーカが参入している。それぞれの測定器メーカは得意とする領域を持っている。ベーシッククラスの製品は価格競争が特に顕著になっている。
最近のオシロスコープは単に波形を観測するだけではなく、目的を明確にした解析機能が充実している。このため高い分解能のA/D変換器を搭載したモデルも登場している。

Q2:テクトロニクス社のオシロスコープの強みについて

テクトロニクスは長年に渡って最新の技術を採用してオシロスコープ業界をリードしてきたことを自負している。市販の半導体を組み合わせればオシロスコープが作れる時代になったが、テクトロニクスでは独自のキーパーツを自社開発して製品に組込んでいるため、同業他社より一歩進んだ製品となっている。

図60. 自社開発の専用ICを使って作られたコンパクトな回路基板

図60. 自社開発の専用ICを使って作られたコンパクトな回路基板(テクトロニクス社)

テクトロニクス社

また、オシロスコープでは本体とともに多様な測定対象に使えるプローブが充実していることが重要である。テクトロニクスはさまざまなエンジニアが使うプローブを幅広く取り揃えていることは大きな強みとなっている。
テクトロニクスはオシロスコープの分野で長年多くの製品を世界市場に提供してきたため、多くの利用者が世界中にいることがビジネスを行ううえでの強みになっている。

Q3:最近の新しい取り組みについて

テクトロニクスは通信の高速化や電力効率の向上などに向けて、アプリケーションに特化したテストソリューションの提供を新たな成長のキーワードしている。新しいコンセプトで作られた8チャンネル入力の5シリーズオシロスコープは市場で高く評価されて多くの賞を世界で獲得した。また最近発売した6シリーズは広帯域を必要とする組込みシステムでの利用を想定している。

図61. 数多くの賞を獲得した5シリーズ

図61. 数多くの賞を獲得した5シリーズ(テクトロニクス社)

提供:テクトロニクス社

顧客が望むソリューション提供するにはオシロスコープだけではなく、プローブやコンプライアンステストを行うソフトを新たに開発する必要である。例えばプローブでは光アイソレーションプローブを発売して、パワーエレクトロニクス機器を開発しているエンジニアから好評を得ている。
今後、測定器メーカは顧客に最適なソリューションを提供できる能力が問われることになるので、テクトロニクス社では狙った市場に向けたソリューションを提供できる能力に磨きを掛けていく。そのためには顧客の声を直接聞いてオシロスコープを設計する技術者に正確に伝えることが必要になるため、テクトロニクス社では「テクトロニクス・イノベーション・フォーラム」を東京と大阪で開催して、顧客の声を直接聞く重要な機会としている。

図62. 2018年8月に大阪で開催されたテクトロニクス・イノベーション・フォーラム

図62. 2018年8月に大阪で開催されたテクトロニクス・イノベーション・フォーラム

テクトロニクス社

テクトロニクス社は今後ともオシロスコープ分野でのリーダとして市場の要求に応えた製品やソリューションを提供していく。


執筆協力:テクトロニクス社 ホームページは こちら

執筆:横河レンタ・リース株式会社 事業統括本部 魚住 智彦

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