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技術コラム

2018/04/25

単位についてあれこれ ~ 色々な圧力の単位について ~

色々な圧力の単位について

「プレッシャー(圧力)をかける、かけられる」という精神的な話ではなく、本コラムでは圧力の単位についてお話をしたいと思います。

身近なところで、天気予報での気圧や健康診断での血圧などが馴染み深いのではないでしょうか。

台風の中心気圧
最高血圧
ブレーズ・パスカル(1623年~1662年)

ブレーズ・パスカル(1623年~1662年)

この圧力という量は、単位面積当たりの法線方向の力の大きさと定義されており、SI単位による圧力の単位は、Pa(パスカル)及びN/m2(ニュートン毎平方メートル)となっています。

単位名称は「人間は考える葦である」、「パスカルの原理」で有名なブレーズ・パスカルの名に因みます。

では、1 Paという圧力の大きさは、1 Paの定義から図にすると以下のようになります。

1Paの説明図

1 m2あたり1 Nの力が作用する圧力になりますが、図にしてもイメージしづらいと思います。それでは、成人男性の手のひらにどのくらいものが乗ると1 Paとなるか、成人男性の手のひらの面積を約140 cm2、地球の重力加速度を約9.8 m/s2として計算すると・・・。

1Paの重量計算

この1.43 gはどのくらいかと言うと一般的なB6サイズ(128 mm×182 mm)のコピー用紙ぐらい(約1.5 g)になりますので、ものすごく小さい圧力であるかということがイメージできると思います。

1Paの重量計算

圧力の単位はPa以外にも複数あり、その一部に関して定義と計量法における制限等をご紹介します。

kgf/cm2(重量キログラム毎平方センチメートル)

1 cm2の面積あたり、1 kgfの力が作用する圧力と定義されています。1 kgfは、1 kgの質量が標準重力加速度(9.80665 m/s2)のもとで受ける力の大きさになります。

1kgf/cm2の説明図

以前、1 kgf/cm2は1気圧(101.325 kPa)に近いことから、工学分野で標準気圧の代わりに使用されることが多く、国内ではこの単位で表示される圧力計が一般的でした。

1992年の計量法の改正により、非SI単位は取引・証明に使用できなくなり※1 国内で販売される圧力計の表示はSI単位に移行されていきました。個人的には、重力下における荷重という観点からPaよりkgf/cm2の方が感覚的に大きさがわかりやすく感じます。

※一部の単位は非SI単位でも条件付きで使用できます。

bar(バール)

1 cm2の面積あたり、106 dyn(ダイン)の力が作用する圧力と定義されています。106 dynは、1 gの質量が1 cm/s2の加速度を受ける力の大きさになります。

1barの説明図

barは、SI単位に属さないがSIと併用されるその他の単位として扱われています。計量法においては法定計量単位として取引・証明に使用が認められています。

気象分野では、以前はmbar(ミリバール)が使用されていましたが現在はhPa(ヘクトパスカル)が使用されています。計量法改正によるSI単位への移行に伴いSI単位であるパスカルに変更となったわけですが、通常ではあまり使用されない接頭辞のh(ヘクト)が使用されているのは単位を変えるだけで数値の大きさはそのままで使用できることからhPaが採用された理由となります。

因みに、日本の気象分野でmbarが使用されていた期間は1945年~1992年の間で、それ以前はmmHgが使用されていました。

psi(重量ポンド毎平方インチ)

1 in2の面積あたり、1 lbfの力が作用する圧力と定義されています。1 lbfは、1 poundの質量が標準重力加速度(9.80665 m/s2)のもとで受ける力の大きさになります。

1psiの説明図

psiは、ヤード・ポンド法における圧力の単位で非SI単位ではありますが、国内では計量法により一部の分野での使用が認められています。ただし、単位記号としてはpsiは使用できず、lbf/in2のみの使用が認められています。

mmHg(水銀柱ミリメートル)

高さ1 mmの水銀柱が与える圧力と定義されています。標準重力加速度9.80665 m/s2、0 ℃水銀の密度13595.1 kg/m3の時の水銀柱の高さとなり下図のようになります。

1mmHgの説明図

mmHgは、barと同じく、SI単位に属さないがSIと併用されるその他の単位として扱われています。計量法においては生体内の圧力及び血圧の計量に使用できる法定計量単位として取引・証明に使用が認められています。

生体内の圧力の計量に使用できるTorr(トル)という単位もあり、計量法においてはTorrとmmHgはともに(101325/760) Pa≒133.322368 Paと定められており同一の大きさとなっておりますが、上記の定義から算出された値とでは0.000014 %(0.14 ppm)程度の差が生じます。

この差は微小であるため、実際の使用上ではほぼ影響がないといえるので実質同一といっても差し支えないといえます。

mH2O(水柱メートル)

高さ1 mの水柱が与える圧力と定義されています。標準重力加速度9.80665 m/s2、水の密度1000 kg/m3の時の水柱の高さとなり下図のようになります。

1mmH2Oの説明図

mH2Oは、非SI単位でありますが計量法においては生体内の圧力の計量に使用できる単位とされています。上記は、水の密度を1000 kg/m3として換算していますが、水の密度が最大となる約4 ℃(約999.972 kg/m3)として扱われている場合は9806.38 Paとなります。

計量法においては、正確に9806.65 Paとなりますが、諸外国においては温度の条件が付くことが殆どになりますので換算には注意が必要となります。

まとめとして、圧力の単位のSI単位への換算を以下の表1に示します。

表1. 圧力単位換算表
単位 SI換算値 備考
1 bar 100000 Pa 気象分野でmbar(ミリバール)が使用されていた。計量法では法定計量単位として分野を問わず使用できる。
1 mmHg (101325/760)Pa※2 計量法では生体内の圧力及び血圧の計量単位として使用できる。
1 Torr (101325/760)Pa※2 計量法では生体内の圧力の計量単位として使用できる。
1 atm 101325 Pa 1 atm = 101325 Pa (標準大気圧の定義より)
1 kgf/cm2 98066.5 Pa 標準重力加速度 9.80665 m/s2より計算
1 mH20 9806.65 Pa※2 計量法では生体内の圧力の計量単位として使用できる。
1 psi 6894.76 Pa lbf/in2 (計量法においてpsiは使用不可)
1 lb = 0.45359237 kg、1 in = 0.0254 m より計算
※2 計量法においては換算値

このように、一つの量に対して様々な単位を持つものもあります。また、過去に製造された計測器はSI単位表記に単位切り替えできない機種もあり換算が必要になる場合があります。

国内において取引・証明に用いる単位は計量法による規制等がありますので、本コラムが参考になりましたら幸いです。


次回は、「水に関係する単位」です。(5月下旬ごろ公開予定)

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