技術情報・レポート

2017/10/24

アナライザあれこれ 第7回「通信アナライザ (有線通信) 」

デジタル通信の安定な利用を支え、保守点検で使われるのが通信アナライザです。

● 概要

携帯電話やインターネットなど便利な情報化社会を支えているのがデジタル通信です。いつでも安定に利用できるようにするために、見えないところで定期的に点検保守が行われています。2回に分けて通信アナライザをみていきますが、今回は有線通信を中心に解説します。

通信には、大きく分けて2種類があります。有線通信と無線通信です。有線通信は電線、光ケーブルを通して信号を送ります。無線通信では、アンテナから空間中に信号を飛ばして送ります。主に電波が使われます。送信側から受信側までの信号の通り道を伝送路と呼び、有線通信と無線通信では、伝送路の特徴が異なります。

● 有線通信の特徴

有線通信の伝送路は、通信事業者が管理するケーブル(同軸ケーブル・光ケーブル)です。どちらも通信に適するように良好な状態に設置されています。有線通信は安定性が非常に高いので、高速化・大容量化を図りやすいです。

信号は送る距離が長くなると減衰します(距離減衰という)。したがって、伝送路が長距離の場合は、途中で中継・増幅します。

● 距離による分類(参考)

内容・動作は通信(信号の送受信)でも、伝送路の距離によって、インタフェース、LAN、WAN と分類することがあります。距離がセンチメートル~数十メートル程度までのものをインタフェースと呼びます(例:USBインタフェースや自動計測で使用されるGP-IBインタフェースなど)。距離が数百メートル程度のものをLAN(Local Area Network)、それ以上をWAN(Wide Area Network)と分類します。

● デジタル通信の動作

図1にデジタル通信の動作を示します。送信したい内容(デジタル・データ)が相手に送られるまでの概要を示します。

図1. デジタル通信の動作

デジタル通信の特徴はパケット化です。大きなデータを多数の細かなパケットに小分けして送り、受信側では多数のパケットを集めて、元の大きなデータを復元します。

パケット化ではデジタル・データを細かく分割した上で、通信制御情報(プロトコル情報)を付加します。これにより、パケットを受け取る順番が入れ替わった場合でも、正しい順番で再現できます。パケット化はソフトウエア的な処理が中心です。

符号化では、パケットを通信しやすい形式の符号に加工します(符号化/複合化)。これに変調をかけて伝送路に送り出します。

有線通信では伝送路が良好かつ安定なので、変調・復調の必要性が少ないので省略されることがあります。

● プロトコル解析

プロトコルとは通信手順のことです。身近な例では、電話での「もしもし」「お電話ありがとうございます・・・」も一種のプロトコルです。プロトコルの種類にはEthernet(TCP/IP)、HDLC、SDLC、SYNC、ASYNCなどがあります。

プロトコル解析はパケット解析とも呼ばれます。パケットを解析することで、どこの送信元からどの宛先への通信なのか、どのような種類の通信なのかなどのネットワークの状態を知ることができます。応答時間やパケットが届くか、届かないかを調べることで通信障害の原因の推定にも使います(図2)。

図2. プロトコルアナライザの画面例

プロトコルアナライザ(略称プロアナ)(別名パケットアナライザ)の利用者は、IT系のネットワーク管理担当者であることが珍しくありません。こうした方々は、プロトコルアナライザのことをネットワークアナライザと呼んだり、LANアナライザと呼んだりします。

● プロトコル分析用機器

汎用のLAN(プロトコルがEthernet(TCP/IP))については 、残念ながら、計測器で測定する機会は減少しています。最近では、LAN機能を搭載したノートパソコン上でパケット解析ソフトを走らせることでLANの状態を分析します。ソフトは、Wireshark(昔の名前は、Ethereal) がポピュラーです。

Ethernet (TCP/IP)以外の通信では計測器を使用します。対象の通信に応じたハード[コネクタ、信号電気特性(電圧、伝送速度)]が必要なためです。価格はピンキリです。ASYNC(RS232)用は安価ですが(例:図3)、高速の光通信用のものは高価です(例:図4)。これら以外で特定のインタフェース専用の機種もあります(例:USB3、SATA etc.)。

図3. ラインアイLE8200, 図4. JSDU JS6800

他のアナライザあれこれ記事はこちらから

タグ