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2017/11/10

計測・測定の基礎 | 擬似負荷としての電子負荷

擬似負荷としての電子負荷

実際の電源の代わりになるのが電源機器であれば、負荷の代わりになるのは電子負荷です。電源回路を評価する場合には様々な負荷条件にて行う必要があります。以前は抵抗を負荷としていましたが、数100Wクラス以上の抵抗となると、サイズが巨大なものになります。もちろん抵抗値を任意に変えることは困難です。また、負荷電流を一定にコントロールすることや、瞬時に変えることもできません。電子負荷により任意の負荷条件での評価が可能になります。

直流電源には定電圧源として動作する「定電圧モード」と定電流源として動作する「定電流」モードがありますが、電子負荷もいろいろな動作モードが搭載されています。

例えば電池の放電特性の測定を考えてみましょう。電池の端子電圧は放電が進むと段々と低下します(図1)。

図1. 端子電圧の低下

端子電圧の低下

放電容量(単位時間当たりの放電電流)vs端子電圧として表現されます。この測定をおこなう場合、単に抵抗を負荷とし時間とともに低下する端子電圧を測定するのは適切ではありません(図2)。

図2. 不適切な測定例

不適切な測定例

電池の劣化は内部抵抗Roの増大と考えると、放電電流Iは時間の経過により減少しまので、放電容量を簡単に求めることはできません。そこで抵抗の代わりに電子負荷を定電流モードで使用します(図3)。

図3. 電子負荷の低電流モード

電子負荷の低電流モード

電流は一定ですので、時間とともに端子電圧を測定すれば、1時間後に流れた放電電流は電子負荷に設定した電流値(I) × 時間(h)とすることができます。さらに直流電源と電子負荷を組み合せることで二次電池の充放電特性評価システムが構築できます。

図4. 二次電池の充放電試験

二次電池の充放電試験

プログラマブル直流電源から指定した電流にて被試験用電源を充電します。充電が完了したら電子負荷により放電を行います。一般に電池の放電試験は定電流でおこなわれますが、電池の内部抵抗は放電により増加しますので、定抵抗負荷では一定の放電電流に保つことはできません。電子負荷ならではの機能といえるでしょう。負荷がダイナミックに変化し、電流が急峻に変化する状況を作り出すことも可能です。

電流のスルーレートを設定することで、電源負荷変動特性を評価することができます。

図5. 電流のスルーレート

電流のスルーレート

電子負荷を選定する場合には一点注意が必要です。それは電圧がゼロボルトまで対応しているかどうかです。ゼロボルトまで対応した電子負荷では、二次電池などの劣化試験や短絡試験などにも利用することが出来ます。

最近では特定の負荷のエミュレーションができる専用電子負荷も登場しています。例えばLED照明用電源やドライバの試験用の電子負荷装置を使えば、実際のLEDを点灯させることなく試験を行うことができます。多様な配光パターンを持つ最新のLEDヘッドランプの電源試験などに応用ができます。

写真1. LED照明試験用電子負荷装置の例

電流のスルーレート

計測技術研究所 LE-5150


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