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計測・測定の基礎 | 誤差はなぜ生まれる?

どんなに高価で高性能な電気計測器でも誤差はあり、その値はかならずデータシートやマニュアルに、誤差の限界値を示す確度仕様として記載されています。しかし、その確度をそのまま信じてよいのでしょうか?

確度の仕様はメーカによって多少の差はありますが、例えばある計測器メーカのデジタルマルチメータを直流電圧10Vレンジで測定した場合、「±(読み値の0.0015%+計測レンジの0.004%)」と記載されています。

10Vレンジの測定表示が5.00000Vの場合、取り得る誤差は
±(5×0.0015×0.01+10×0.004×0.01)=±0.000475V
すなわち真値は4.999525~5.000475Vの間にあることになります。

しかし、本当にそうでしょうか?
家庭で風呂に入る場合、手を入れて熱いと感じても、いざ身体を浴槽に沈めてみると、結構温度は下がってしまいます。一方、浴槽の大きな温泉ではそのようなことはありません。身体が浴槽の湯に与える影響が大きく異なるからです。

コップに入っている約60℃のお湯の温度を確度±0.1℃の棒状温度計で測るケースを考えてみます。温度計自身も温度をもっていますが、室温で保存してあった温度計は25℃程度の温度になっているでしょう。すると温度計をお湯に差し込んだ途端に、温度計周辺のお湯の温度は下がります。温度計はこの下がったお湯の温度を確度0.1℃で測ることになります。

図1. コップのお湯の温度を測る

図1. コップのお湯の温度を測る

お湯の量が十分に多い浴槽の温度を測るのなら、温度計周辺の温度はほとんど変わらないでしょう(理屈では下がりますが、温度計の確度0.1℃には影響しないでしょう)。このように測定器が相手に影響を与えてしまうことはよく起こります。この影響が測定確度に対して無視できるのかどうかの見極めが大切になります。電気計測の世界でも同じことが起きています。

デジタルマルチメータで電圧を測る場合、回路に10MΩ程度のインピーダンスが並列に入り、電流を測る場合は数Ωのインピーダンスが直列に加わりますので、回路によっては大きな影響を与えることがあります。また接続の方法によっては接触抵抗や接続ケーブルの影響もあるでしょう。

このように計測器固有の誤差とは別に、計測環境に依存する誤差を見極めることが大切です。



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