市場動向詳細

お客さまのエンジニア育成に貢献したい! 世界のローデ・シュワルツが語るセミナー開催の意義

【概要】
 ローデ・シュワルツ・ジャパン株式会社は、ドイツの名門Rohde & Schwarz社の日本法人として2003年に設立されました。高精度の無線機とそれを評価する無線計測器を世界中で販売し、EMCテスト・レシーバの世界シェアは7割以上を誇ります。
 日本では毎月のように計測器の基礎セミナーや規格動向セミナーなどの人気セミナーを開催しています。
 今回は、マーケティング部統括部長の関野敏正様をお訪ねし、お客さまのエンジニア育成への貢献をめざし5年前から続けているEMCユーザ会議や最新情報を提供するセミナーについてお伺いしました。


Q:関野様のお仕事内容を教えてください
ローデ・シュワルツ・ジャパンにおけるマーケティング活動を統括しており、その中でもマルコム(マーケティングコミュニケーションズ)と呼ばれる仕事と、セールスフォースの強化が主なミッションです。

具体的には、当社のマーケティングには3つの機能があります。1つめは、引き合いの創出です。例えば外部ポータルサイトに製品情報を掲載して引き合いを創出する、または展示会で製品を露出してお客様に興味を持って頂くなどです。2つめはセールスの環境整備です。例えば販促ツールを作成して、当社とパートナー会社の営業活動を支援しています。製品カタログやマニュアルの翻訳、Webページの作成、競合比較などです。3つめは営業のトレーニングです。技術トレーニングをコーディネートして営業に売るためのスキルを身につけてもらいます。講師は技術部が行ないますが、コーディネートはこちらでやります。

マーケティング部の最終的なゴールとしては、こうした活動を通じてローデ・シュワルツのブランド認知度を高めることにあります。


目的は、お客さまのエンジニア育成への貢献


関野氏

ローデ・シュワルツ・ジャパン株式会社
マーケティング部 統括部長 関野 敏正 氏

Q:御社のビジネスの概要、特長を教えてください
電子計測器のビジネスが当社では一番大きな売上を占めています。無線通信関連用の計測器としてスペクトラム・アナライザや信号発生器、放送用計測器などがあります。電子計測器のマーケットシェアはヨーロッパではNo1、全世界ではNo2です(プライムデータより)。実はローデ・シュワルツはTV放送用の送信機(日本だとスカイツリーにある放送設備)では世界シェアNo1ですが、日本でのこのビジネスはほとんどありません。それ以外にも“セキュリティー通信”と呼ばれる航空無線のソリューションや“無線モニタリング”という防衛関連企業向けのシステムを販売しています。

当社の一番の強みは無線です。古くはUボート(※)に搭載されていた無線機はローデ・シュワルツ製品でした。現在、ヨーロッパのNATOに配備されている戦闘機のユーロファイターも無線機はローデ・シュワルツ製です。航空機に搭載される無線機には、大変厳しい規格・品質が求められます。それを製造するために、評価用の無線の計測器を作りました。世界的に無線の規格はヨーロッパから出てくることが多く、今話題となっている5Gの規格団体にも、ローデ・シュワルツはいち早く参画しています。計測器よりも無線機の会社と言えるかもしれません。無線機やアンテナなど放送用機器を作っているのが当社のDNA、コアコンピタンスです。

※ Uボート:英語U-boat。ユーボート。第一次世界大戦から第二次世界大戦にかけて華々しい活躍をしたドイツ海軍の潜水艦のこと。独語U-bootはUnterseeboot(ウンターゼーボート、水の下の船)の略語。

Q:多数のセミナーを開催している理由・目的を教えてください
ブランドイメージの浸透など、理由は色々とありますが、私が思う一番の目的は“お客さまのエンジニア育成への貢献”です。昨今、学生の理系離れなどが言われますが、計測器を使う部門に配属された新人技術者などに、計測器について教えることで、彼らの技術力向上に貢献するということです。

Q:どんな種類のセミナーを開催されていますか?
計測器の操作を基礎から学ぶコース(正しい計測のための基礎講座 スペアナ編など)、規格動向についてのコース(欧州無線機器指令REDセミナーなど)、アプリケーションに特化したコース(5G向けパワーアンプ測定セミナーなど)など、いくつかの種類のセミナーをしています。アプリケーションは、よりお客さまの業務に近いテーマを選んでいます。アンプの評価、位相雑音の評価、またはオシロスコープを使ったシリアルバスの評価など業務に直結する内容です。

趣向の違うセミナーとして、EMCユーザ会というのを開催しています。このセミナーも、エンジニア育成への貢献です。外部講師を招いてEMC技術に特化した講演をしていただきます。お客さまが困っているノイズ対策について、各分野における専門の方から、具体的にどういう部分に留意したら効果があるかをご紹介しています。これは、エンジニアの方たちが日々の業務の中でより良い仕事ができるようになることが目的です。また、セミナー終了後には懇親会を設けて、異なる業界のエンジニアが技術情報を交換できるようにしています。こうした活動を通じて、新たな技術情報を入手するための機会や、人脈構築などにも貢献していると考えています。


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