市場動向詳細

流量計の実流校正試験サービスを展開 中外テクノスのエンジニアリングサービス

中外テクノス株式会社(以下、中外テクノス)は、エンジニアリング企業として社会の多様なニーズにスマートに対応できるトータルエンジニアリングサービスを提供している。今回は、中外テクノスの工業技術事業本部長の森廣琢之氏に、中外テクノスの事業展開や社会・産業インフラ分野で培った検査・校正技術に焦点をあてて、その取り組みや今後について話を伺った。

中外テクノスの事業展開

中外テクノスは広島県広島市に昭和28年に設立された。設立時は、放射線検査装置などの修理や販売業務から始めていった。その事業経験を生かして、非破壊検査装置などの分野へ事業領域を広げていったそうだ。昭和40年代頃は、国内では公害問題が盛んに叫ばれるような時代になったが、その頃に環境保全関係の調査、分析業務を開始している。その後は、電機・機械・化学・情報などの分野へ次々と広げて、今日に至っている。

同社では、総合検査会社として、専門調査、シミュレーション、コンサルティング、エンジニアリング、研究開発支援の5つを軸にしながら、お客さまの技術課題に対応した事業展開をしている。

事業展開

中外テクノスの5つの事業領域

同社のエンジニアリング技術力を支える技術センターは、大きくは3地域体制となっており、広島、神戸、千葉にそれぞれ設立されている。従業員は約1000名(2017年時点)が在籍しているが、そのうち約800名は技術資格を有した技術者集団である。

関西技術センター

今回訪問した関西技術センター。道路の向かいには実験場が隣接されている。

また、事業所展開は広島本社を中心にして、関東ブロック、中部ブロック、関西ブロックから構成され、北海道から沖縄までの営業ネットワークを構築している。各地域のお客さまに対して、調査、設計、開発、製作、施工、管理までの幅広いトータルエンジニリングサービスを提供できる体制を整えている。

主な技術センター
広島本社 研究技術センター(広島県広島市)
電機総合技術センター(広島県広島市)
電機システム開発センター(広島県広島市)
東京支社 関東環境技術センター(千葉県千葉市)
工業技術センター(千葉県市原市)
関西支社 関西技術センター(兵庫県神戸市)

流量計の実流校正試験サービスを展開

これまで中外テクノスでは、エネルギー・プラントにおける調査・分析、エンジニアリング事業などを通じて、お客さまから流量計の実流による校正の要望を多く受けてきたそうだ。これまでの実績やノウハウを生かして、5年程前より実流方式による流量計の校正サービスを開発し提供している。

実流方式とは、配管に参照用標準器と被校正対象流量計を直列に設置し、貯水タンクから実際に配管に水を流したときの流量を参照用標準器が示す流量値と比較する校正方法である。実流方式の流量計校正を行なえる校正事業者は国内では数少ない1社である。

中外テクノスでは、国家標準にトレーサブルな流量標準器(100 Aの電磁流量計)との実流方式による比較校正を行うことができるため、お客さまの流量計を国家標準にトレーサビリティを確保することができる。

流量計校正設備

関西実験場内にある流量計校正設備。実流方式で流量計を校正することができる

上の写真は、中外テクノスが自社開発した実流方式の流量計校正設備だ。これは関西技術センター実験場内に設置してある。3m3 の貯水タンクより送水ポンプを通じて流量を制御し、参照用標準器との流量を比較する構成となっている。現在では、引き取り校正を中心に行なっており、校正納期は最短で5日程度で提供することができる。メーカ校正などと比べて大幅に納期短縮できるメリットがある。

流量計の実流校正試験(引取り)の主な内容 ※2017年11月時点
校正方法 比較法
設備の最大流量 2.5 m3/min
電磁流量計 流量計のサイズ:80 A ~ 150 A
※80 A以下のサイズについてはお問合せ
流速範囲:1 ~ 5 m/s (150 Aは2.5 m/sまで)
超音波流量計 取付配管:100 A(SUS304 sch40)
流速範囲:1 ~ 4 m/s
校正可能な流量計メーカー メーカー不問
標準納期 最短 5日 ※成績書発行は後日納品の場合あり
その他 現地出張はお問合せ
※その他詳細なサービス内容は中外テクノス株式会社へお問合せください

これまでは、試験装置に据え付けられた流量計の実流校正の実績が多かった。これは、流量計を試験装置から外して引き取り校正が可能なためだ。今後は、プラントに据え付けられた状態の流量計の現地校正に積極的に取り組んでいきたいと話してくれた。

関西実験場

流量計の実流校正設備がある関西技術センター実験場。 この他にも様々な評価装置が設置してある。

検査装置の遠隔サービスの取り組みを強めていく

最近の産業界では、IoTやインダストリアル 4.0と呼ばれるような新しい取り組みが活発化している。こうしたなかで、中外テクノスでは、総合検査会社としての豊富なノウハウを活用して、さまざまな遠隔サービスの提供に取り組んでいる。同社は、以前から環境分野におけるエンジニリング事業に強みを持ってきた。廃棄物処理施設などの公共施設の新設や改修工事などを行なう際に、必ず騒音や粉塵などが排出される。こうした測定データを自動測定しデータ収集と分析を行う環境モニタリングシステムなどは得意領域だ。

今後は、工場周辺の環境モニタリングシステムなどに代表されるように、さまざまな分野で遠隔サービスの取り組みを強めていきたいと話してくれた。

粉じん遠隔監視システム

環境モニタリング自動測定装置(左)と粉じん遠隔監視システムの監視画面例(右)

この取り組みは既に始まっており、検査装置の遠隔監視サービスとしての最近の実績は、カナダのサスカチュワン州において石炭火力発電所から排出されるCO2を地中に封入するプロジェクトがあった。このプロジェクトでは、地下に封入したCO2が地上へ漏れ出ないことを監視するために、付近にCO2モニタリングシステムを導入し、24時間365日監視を続けている。このCO2モニタリングシステムを中外テクノスが自社開発し、運転を行なっている。この例では、電源がない地域で設置されるため、太陽光発電パネル、測定用センサ、データ発信器などから構成され、中外テクノスの広島本社にリアルタイムにデータが転送されるようになっている。

CO2モニタリングシステム

CO2モニタリングシステム

お客さまのお困り事が出発点

中外テクノス 工業技術事業本部長の森廣氏によれば、幅広い分野でエンジニリングサービスを提供してきたが、ほとんどはお客さまから寄せられたお困り事や課題が出発点となっているそうだ。お客さまのお困り事にとことん耳を傾けていくことにこだわりがあり、既成の製品やサービスを提供するだけでなく、多くがお客さまの要望に沿って、カスタマイズしながら最適な提案をしているとのこと。

中外テクノス株式会社 工業技術事業本部長の森廣氏

中外テクノス株式会社 工業技術事業本部長の森廣氏

お客さまから「これで困っている」というお話をいただければ、過去事例や社内に多数在籍している技術者の知見を集めて、お客さまの課題解決できると自信をもって語ってくれた。

エンジニアリングについてお困りのことがあったら、技術者集団としてこれまでさまざまな課題解決をしてきた中外テクノスに、ぜひ問合せをしてみてはどうだろうか。


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