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技術コラム

2018/06/01

単位についてあれこれ ~ 水に関係する単位 ~

■水に関係する単位

日常生活において、水は手頃であるのにもかかわらず大変重要な存在であります。ひとつ蛇口を捻れば水がでて簡単に手に入りますが、この水が出なくなった途端、顔を洗えない、トイレにも行けないことが起こります。今年の1月都内にも関わらず、水道管が凍結してしまい改めて水の大切さを感じました。

今回は、水に関係する単位のお話をしたいと思います。

温度

私たちが日常生活で、温度の単位と使用している℃(セルシウス度)は当初は標準大気圧における水の融解点と沸点の差を1/100としたことが基となっていました。

1948年の第9 回国際度量衡総会で、「現段階の技術では,水の三重点の方が氷の融解点よりも正確に測温の参照点を与えることができる。したがって、(測温及び測熱)諮問委員会は、水の三重点の温度より0.0100 ℃だけ低い温度によって百分割の熱力学温度目盛の零点を定義すべきと考える。」という決議がされました。

その後、1954年の第10回国際度量衡総会で「水の三重点を基礎的な定点として選びそれに厳密に273.16 ケルビン度という温度を付与することによって熱力学温度目盛を定義することを決定する」という決議がなされ現在の温度のSI単位が生まれました。

水の融解点、沸点はイメージできるかと思いますが、水の三重点はとはどのような状態かというと、水(液体)、氷(固体)、気体(水蒸気)が共存する状態をいいます。

水の三重点セルと水の状態

ガラス製の容器に高純度の水を封入した水の三重点セルと呼ばれる機器は、水の三重点を再現性よく実現できる機器になります。

また、セルシウス温度と熱力学温度の関係では、単位「℃」で表されるセルシウス温度の数値は、単位「K」で表される熱力学温度の数値から273.15を引いたものと定義されています。

質量

現在の質量の単位はkg(キログラム)であり、国際キログラム原器の質量に等しいと定義されていますが、当初、10 cm3の水の質量を1 kgと定義していましたが、水の体積は温度に依存し、また密度は温度と気圧に依存します。

気圧にはその因子に質量が含まれており、質量を定義するのに別の要素の質量が影響するという循環依存の問題があることが分かりました。そこで1799年に当時の技術でキログラムの定義に合わせた白金製の原器が作製されました。

水 1kg
日本国キログラム原器

日本国キログラム原器(右)
(出典:産業総合研究所 計量標準総合センターホームページ)

その後、白金イリジウム合金製の新しい原器が作成され1889年の第1回国際度量衡総会の決議によりキログラムの定義に使用されることとなり現在に至ります。

比重

水に浮くか、沈むかは比重が関係してきます。

比重は、ある物質の密度と基準となる標準物質の密度との比になります。通常、固体及び液体では水を基準とするため、比重が1より大きければ沈み、1より小さければ浮きます。

単位は、密度と密度の比となるため無次元量になります。

ガソリンと鉄の比重
水の中にガソリンと鉄の塊を入れると
ガソリンは比重が1より小さいので水に浮き
鉄は比重が1より大きいので水に沈む

比重は、特に指定がなければ4 ℃における水の密度を基準としており、水が最大密度となる3.984 ℃のときの1 cm3の水の質量は、0.999 974 95 gであることから、密度(g/cm3)と比重が完全に一致してはいません。(比重=密度ではありません)

ちなみに、気体に関しては空気が基準となっています。中学校の理科の実験で行った、上方置換、下方置換は空気のとの比重の違いを利用して気体を集める実験になります。

熱量

食品のカロリー表示でおなじみのcal(カロリー)は1 gの水を1°C上げるのに必要な熱量が基になっています。現在、calは非SI単位であり熱量に関するSI単位はJ(ジュール)によって定義されています。計量法では、1 cal は正確に4.184 Jとされており、食物又は代謝の熱量の計量に使用できる単位となっています。

1 ℃あげる熱量

水に関する単位のお話はいかがでしたでしょうか。

多くの単位は、普遍な物に基づいて定義されています。唯一キログラムだけは人工物で定義された量でありましたが、2018年11月に開催される第26回国際度量衡総会で決議されればキログラムの定義が「国際キログラム原器」から「プランク定数」に基づく単位に変わります。計量分野にとっても今年が一大イベントになりそうです。


次回は、「技術文書における単位表記」(最終回)です。(6月下旬ごろ公開予定)

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