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オシロスコープとレコーダのいいとこどり測定器 待望のフィールド向けモデルを追加 ー横河計測 スコープコーダ DL350ー

横河計測株式会社(以下、横河計測)は、デジタルオシロスコープの使い勝手とデータレコーダの利便性を融合したモジュール方式の統合型計測器“スコープコーダ”シリーズのフィールド向けモデルDL350を、昨年2017年6月に発表した。横河計測 マーケティング本部 ビジネス開発部 ソリューショングループの渡邊 航氏に、スコープコーダの歴史とフィールドモデル開発の経緯を交えながら、本製品の特長・有用性について紹介してもらった。

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スコープコーダとは

まずはスコープコーダについて触れておこう。スコープコーダとは、瞬時の現象を補足するオシロスコープと、長時間に及ぶトレンドを高分解能で記録するデータレコーダの2つの長所を併せ持つ波形測定器だ。このコンセプトは、1980年にウェーブメモライザという製品で初めて実現されたが、1984年に発売されたアナライジングレコーダ3655では、本体にプロッタを内蔵し、データをその場で紙に出力できるユニークな特長により大ヒット商品となった。以来モデルチェンジを繰り返し、2002年に“スコープコーダ”シリーズとして、DL750シリーズがリリースされた。その後もスコープコーダという名称を引き継ぎ、フラッグシップ機のDL850Eシリーズを2013年にリリース、4年後の昨年2017年にシリーズ初となるフィールド向けモデルのDL350を発表した。

オシロスコープなどの高速測定、耐ノイズ性能を持つ製品の開発ノウハウを持っている横河計測だからこそ実現できた製品であり、30年以上もの間受け継いできたこの製品コンセプトを新たにフィールド向けに提案したのが、これから紹介するDL350だ。

YOKOGAWAの高速メモリレコーダの歴史

YOKOGAWAの高速メモリレコーダの歴史(提供:横河計測)

近年、EV/HEVの登場によって自動車市場はますます活況を呈しており、同時に自動車開発に求められる計測技術や評価方法も多様化の一途をたどっている。その中で、実験室にて行う統合的な評価測定を車載やフィールドで再現したいというお客様の声が多く聞かれるようになった。横河計測では既に、自動車開発向けスコープコーダDL850EVに車載電源対応オプションを用意することでこれらのニーズに応えてきたが、今回紹介するDL350でさらなる小型化とバッテリ駆動を実現し、より高い顧客満足の実現を追求した。

基本性能を犠牲にせずポータビリティを実現しながら、様々な測定を幅広くサポート

実装可能な測定モジュールは2枚となるが、耐ノイズ性能・確度などの基本性能はフラッグシップ機のDL850Eと同等だ。新たに小型モデルを開発する例を考えてみると、一般的には、測定器の筐体を小型化するほど耐電圧・耐ノイズ設計は難しくなる。そのため、新たに設計し直す場合や下位モデルに位置づけコストを下げることが多い。つまり、サイズやコストを優先し性能を犠牲にしているケースが一般的である。対してDL350の測定モジュールは、フラッグシップ機DL850Eシリーズと同じモジュールが使える※1ので、同レベルの基本性能・耐ノイズ性能を得ることができる。これにより、開発現場にてDL850Eシリーズを、メンテナンス現場にてDL350を使って測定したそれぞれの結果を比較する場合でも、測定器のモデル違いによる測定値の差異を最小限に抑えることが可能となる。

※1 一部モジュールを除く

また本製品はモジュール交換式のため様々な物理信号の測定をサポートできる。高速の波形測定から温度、ひずみといった複数の物理量の測定が1台で可能だ。例えば、温度・振動測定と同時に制御信号を測定するといった使い方が可能である。バッテリ駆動が可能であるため、手軽に持ち運べることもメリットのひとつだ。また、スコープコーダの特長の一つでもある電源監視に役立つ機能もDL850Eシリーズより引き継いでいるため、鉄や紙パルプなどのFA現場、プラント、工場などでの電源トラブル解析やモニタリングにも最適だ。このように開発で使える機能・性能を備えながら、モニタリング、メンテナンスやトラブルシュート作業まで幅広くサポートしている。

A4用紙サイズのコンパクトボディーとAC、DC、内蔵バッテリ駆動を備える

A4用紙サイズのコンパクトボディーとAC、DC、内蔵バッテリ駆動を備える(提供:横河計測)

4大ベネフィット

デモで使用したDL350

デモで使用したDL350

1つ目は、現場ですぐに使える使いやすさを実現したことだ。8.4型と非常に大型のタッチパネルを採用することにより、直感的な操作を可能にした。フィールド現場で使うユーザーは使い慣れたハードウェアキーを好む傾向にあると筆者は考えていたが、この製品は大胆にもハードキーが4つしかない([電源]、[START/STOP]、[TRIGGER]、[SAVE])。これらは、波形測定器の操作に慣れていないユーザーでも、現場での電源ON、測定開始、停止、保存、電源OFFといった一連のデータ収集業務が迷えず行えるように、最低限のキーのみを残した結果だ。一方、タッチパネル操作は測定器の操作に慣れているユーザーにも受け入れられているとのことだ。その理由として、メニュー階層を2階層以内に収め操作の煩雑さを避けるといった工夫が功を奏したと考える。また、ハードキーとタッチパネルの両方の操作系を作ってしまうと、操作に迷ってしまったり、ハードキーとタッチパネルの行き来が生じたりと、使用者がストレスを感じてしまうため、結果としてどちらか一方しか使わなくなるといったケースが多い。実際、タッチパネルに設定機能を集約させたDL350の操作系は好評を博している。厳しいノイズ環境下での測定の際にも確実に操作できるよう、静電容量式ではなく、抵抗膜式タッチパネルを採用している点も好意的に受け入れられている。

2つ目は、幅広い統合計測に対応し、優れた耐ノイズ性能を有している点だ。先にも述べたが、スコープコーダシリーズのモジュールが共通で使用でき、最速100 MS/s測定から、最大1 kVrms入力、ひずみ測定や車載通信計測まで、18種類の信号別測定モジュールがラインナップされている。これは、同じクラスのモジュール式測定器では最多とのこと。

クラス最多の18種類の信号別測定モジュール

クラス最多の18種類の信号別測定モジュール(提供:横河計測)

1 kVrms入力可能な測定モジュール(形名:720268)は、新しい絶縁デバイスの採用により、モジュールサイズを変えることなく高耐圧と低ノイズ測定の両立を実現している。厳しいノイズ環境下でも電源やインバータのスイッチング波形を正確に測定することが可能だ。

3つ目は、大容量メモリの採用により、高速サンプリングでありながら長時間記録を可能とした点だ。1スロットあたり100 Mポイントの大容量メモリを内蔵している。また、SDカードへの直接保存も可能で、こちらなら、モジュールあたり最大20 Gポイント、最長50日間の記録が可能だ。

4つ目は、こちらも先に触れているが、内蔵バッテリおよび車載電源による動作にも対応していることだ。DC電源ケーブル(オプション)を用意すれば、シガーソケットから直接給電が可能。さらに、一般乗用車に採用されている12V系の車載電源だけでなく、大型車で採用の多い24V系の車載電源からの電源供給にも対応した。

生産設備の電源品質監視だけでなく、解析にも威力を発揮する

制御盤や電源盤などの生産設備の電源品質監視には、高い電源電圧・電流と同時に制御信号を監視する必要がある。幅広いラインナップのモジュールから、高圧モジュールと高速モジュールを両方選択できるDL350であれば、低速で変化する高圧電源波形の異常検出と高速で通信される制御信号の同時モニタが可能となる。これは、一般的なレコーダや電源品質アナライザでは出来ないことだ。また、DL850Eで好評を得ているウェーブウィンドウトリガ機能はDL350にも実装されており、レベルトリガでは捉えることの出来ない電源波形の瞬停やサグ、サージなどを捉えることが可能だ。

電源品質監視の接続例(左)とウェーブウィンドウトリガのイメージ(右)

電源品質監視の接続例(左)とウェーブウィンドウトリガのイメージ(右)(提供:横河計測)

監視目的による使用の場合、通常はAC電源を確保しての長時間測定となるが、DL350のバッテリオプションを併用すれば、停電時も自動的にバッテリ駆動に切り替わるため、安心して測定を継続することが出来る。

フィールド測定における作業効率向上に貢献したい

今回は豊富な測定モジュールや高速・長時間測定がもたらすフィールド計測の有用性の紹介が中心となった。使用感については、文面ですべてを伝えることが難しい。ぜひお客様の様々な現場にてDL350を実際に使って頂き、本機の持つ拡張性、使いやすさ、耐ノイズ性能を実感してほしいと渡邊氏は語ってくれた。

マーケティング本部 ビジネス開発部 ソリューショングループの渡邊 航氏

DL350の実機とカタログで丁寧に説明をしてくれたマーケティング本部 ビジネス開発部 ソリューショングループの渡邊 航氏

主な仕様

項目 仕様
入力形式 プラグイン入力ユニット形式
スロット数 2
表示部 8.4型カラーTFT液晶ディスプレイ(抵抗膜式タッチパネル)
最高サンプルレート 100 MS/s※2
周波数帯域 20 MHz※2
A/D分解能 16 または12 ビット※2
波形表示 T-Y, X-Y, FFT, 高調波解析
記録データ格納先 SDカード, USBストレージ, ネットワークドライブ
電源 ACアダプタ, DC電源入力, バッテリパック
動作温度範囲 0 ℃~45 ℃
最大入力CH数 8CH(両スロットに絶縁4CHモジュールを使用時)+本体標準ロジック16 bit
内部メモリ容量 合計 200 Mポイント
外形寸法 305(W) × 217(H) × 92(D)
質量 約3.9 kg
(バッテリおよび絶縁4CHモジュール2枚装着)
※2 入力モジュールに依存

横河計測のDL350の詳細・カタログは こちら

取材協力:横河計測株式会社 ホームページは こちらから

DL350製品紹介ページは こちらから

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