技術コラム

2017/11/02

秋の夜長は計測器を眺めながら。秋葉原で噂の計測器バー、FOOD&BAR「Gauge」

秋葉原に、計測器を眺めながらおいしい食事やお酒、そして音楽を楽しめる計測器バーがあるのをご存知だろうか。この計測器バーは、東洋計測器株式会社(以下、東洋計測器)という計測器総合商社が運営している。今回、東洋計測器の代表取締役である八巻秀次社長に、計測器バーについて現場取材をさせていただいた。

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計測器バー、FOOD&BAR「Gauge」の誕生秘話

東洋計測器は創業60年を越え、秋葉原でも有名な老舗の計測器総合商社だ。これまで計測器の販売事業を中心にさまざまな取り組みを展開していき、多くの根強いファンを抱えている。

八巻社長が60歳という節目を迎えたころ、遊び心がある事業をやってみたいと考え始めたのがきっかけだそうだ。一般に計測器は、コンピュータなどのIT機器と違って日常のなかで人の目に止まることがない製品だ。しかし、テレビやビデオを作るにしても計測器があったから作ることができたのだろう。だからこそ、節節に活躍したヴィンテージの計測器をもっとお客さまに見てもらいたい、という想いから、ヴィンテージの計測器が店内のあちらこちらに展示されている計測器バー、FOOD&BAR「Gauge」が2016年7月に誕生した。


ヴィンテージ計測器と音楽に囲まれた、ランチタイムの優雅なひととき

TechEyesOnline取材班(以下、TEO取材班)が、FOOD&BAR「Gauge」を訪れたのは平日お昼の12時過ぎ、ちょうどランチタイムだ。バーなのだから夜の営業だけでは?と思いきや、2017年10月2日からランチ営業を開始したという情報を聞きつけ、お店へ向かった。

秋葉原の賑やかな駅前を通り抜け、万世橋交差点を御茶ノ水方面へまっすぐ歩くと、駅からほんの数分でFOOD&BAR「Gauge」にたどり着く。一見美容室と見間違うようなおしゃれな外観で、店内はウッディー調の落ち着いた雰囲気。しかしよく目を凝らして店内を見渡してみると、いたるところに計測器が飾られている。しかも店内のウッディー調とヴィンテージの計測器との調和が自然で、計測器のことを知らない一般の人が見ても不自然ではなく、アンティーク感のあるおしゃれな雰囲気が漂っているのだ。

店内入口

店内入口。おしゃれな雰囲気を出している。入口左手には往年に活躍した計測器からのお出迎えを受ける。計測器好きにはたまらない演出だろう。

そして、早速ランチを注文。ランチメニューは次の3種類だ。松坂ポーク生姜焼きセット、ビーフカレー・サラダセット、刺身盛りセット。価格はすべて950円で、別途250円でコーヒーをつけることもできる。TEO取材班は、生姜焼きセットと刺身盛りセットをいただいた。生姜焼きセットはお肉が松坂ポークでふっくら柔らかジューシー。ほんの少し甘いしょうが焼きのタレと肉汁でツヤツヤの白米と付け合せのお野菜がすすむ。さらには冷奴とお新香が付いてくるので、女性にはちょっと多めに感じるかもしれないぐらいボリューム満点。一方で刺身盛りセットは、まぐろ・たこ・かんぱちなどのお刺身が並び、サラダ、お新香が別鉢で付く。切り身は小ぶりだが身がやわらかくプリプリ、これも美味しい。店員さんにお話を伺ったところ、最近ランチを始めたばかりだが、ランチタイムは男性よりも女性が多いそう。常連の女性客もいらっしゃるそうで、取材当日も女性客がランチを楽しんでいた。店内はウッディー調でおしゃれで落ち着いた内装だからか、女性客はおひとりさまでも入りやすい雰囲気となっている。

しょうが焼き
刺身盛り

松坂ポーク生姜焼きセット(左)、刺身盛りセット(右)。バーならではの落ち着いた雰囲気で、優雅なランチのひと時を過ごした。

食後はコーヒーをいただきながら、ヴィンテージのスピーカから流れてくる音楽に耳を傾けホッと一息。女性客のリピータがいるのも納得だ。夜のバータイムは客層が一変し、計測器好きの人から、場所柄か観光客の外国人まで幅広い客層に愛されている。バーの顔であるカウンターは八巻社長こだわりの一本木を贅沢に使っている。

バーカウンター

自慢の一本木を使ったバーカウンター。壁面にはヴィンテージ計測器が飾ってあり、お酒だけでなくヴィンテージ計測器を眺めながらくつろぐことができる。


往年の計測器を眺めながら

ランチをいただいたあとは、ランチ営業時間終了後に八巻社長に店内を案内してもらった。店内には、あらゆる場所にヴィンテージ計測器が展示されている。棚においてあるものもあれば、バーカウンター内にあるものなどあり、お客さまを飽きさせない展示になっている。

八巻社長

東洋計測器の八巻社長。FOOD&BAR「Gauge」は、長年秋葉原で計測器の販売事業を営んできた八巻社長のこだわりが反映されている。

バーカウンター奥には、ひとつの計測器がグラスとともにさりげなく置いてある。テクトロニクスのオシロスコープ1号機、TYPE310Aで真空管式である。前面の下部には“ポートランド・オレゴン“とテクトロニクス社の所在地が書いてある。八巻社長がテクトロニクス本社を訪れた際、このモデルを保有していることを伝えるとテクトロ二クスの古老の幹部が感激して、後日オシロスコープの表示部分に画像を写したものを送ってくれた、とのエピソードがあるという。

グラスとオシロ

テクトロニクスの真空管式オシロスコープ TYPE 310A。グラス横に置かれた往年の名機がひときわ輝いているようにみえる。

現在の計測・制御機器メーカ、横河電機の前身である横河電機製作所製のメータ式のアナログの電圧計が店内の壁面に何台も並んでいる。表示はYEW YOKOGAWA DENKI SEISAKUSHO LTD.とある。0.2級の直流電圧計である。通常はメータの針が振れる方向を水平にして使うものだが、壁にかけて展示しているため、縦にしてある。通常の使用時では考えられない向きに展示している!と関係識者からは半分冗談のお叱りを受けるそうである。計測器のことをまったく知らないお客さまからすると、テクトロニクス製真空管式オシロスコープや横河電機製作所製の0.2級直流電圧計はおしゃれなアンティーク家具にしか見えないかもしれない。

壁掛け電圧計

壁面には当時の横河電機製作所のアナログ式電圧計が飾ってある。

大通り側の入口近くには古い蓄音機が置いてある。モデル名などは記載がないが、上蓋の裏側にEDISON(エジソン)と書かれている。ドラム式のもので、八巻社長にセットしてもらったが、ドラムが磨り減ってしまい、小さな音しか聞こえなかった。しかし、これはかなりの年代物のお宝であるのは間違いない。その近くには、反照型検流形・スケールと静電電圧計が並んで展示してある。ここまでくると、なぜか計測器に拝みたくなる気分になってくる。

スケール
デジボル

店内にはさまざまなヴィンテージ計測器が展示されている。計測器メーカ関係者などがこれらを見にFOOD&BAR「Gauge」に訪れることも多いという。


取材を終えて

計測器バー、FOOD&BAR「Gauge」はヴィンテージ計測器がいたるところに飾ってあるが機械的な威圧感は一切無く、性別を問わず自然にくつろげる空間を創り上げている。ヴィンテージ計測器、食事、お酒、音楽が織り成すハーモニーが、時間が止まったかのように古き良き時代を感じさせ、気分を落ち着かせてくれる。こうしてヴィンテージ計測器に囲まれていると、往年の技術者の気概のようなものに触れることができたような気がした。

FOOD&BAR「Gauge」は、戦前から電気街として発展してきた秋葉原の奥深さを体現している。


店名:FOOD&BAR Gauge(ゲージ)

住所:東京都千代田区外神田1-3-12 計測器ランドビル1F

営業時間:ランチ11:30~14:30、バー17:30~23:00 ※予約限定:河豚コースあり

定休日:日・祝

FOOD&BAR「Gauge」ホームページはこちら


制作協力:東洋計測器株式会社 ホームページはこちら

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