ファスト・トランジェント/バースト試験器 ノイズ研究所 FNS-AX4 | 技術コラム|TechEyesOnline|計測器専門の情報サイト

技術コラム

2018/01/09

ファスト・トランジェント/バースト試験器 ノイズ研究所 FNS-AX4

2017年11月、株式会社ノイズ研究所(以下、ノイズ研究所)から、新型のファスト・トランジェント/バースト試験器FNS-AX4が発表された。ノイズ研究所の営業部業務統括課の大石氏に、改良された性能や機能を中心に話を聞いた。

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操作性をさらに改善した新しいファスト・トランジェント/バースト試験器の登場

ノイズ研究所では、IEC 61000-4-4 規格に準拠したファスト・トランジェント/バースト試験器として、長らくFNS-AX3を提供してきた。新しいFNS-AX4では、従来モデルと比べて、ユーザビリティをさらに磨きをかけたのがこだわりとなっている。

大きな特長は次の3つだ。始業前点検を簡単に行なえるプリチェック機能の搭載、ANSI C37.90規格に準拠したノーマルモード試験への対応、試験時の接続を簡単にしてミスを防ぐフロントパネル表記とコンセントボックスのラインナップが挙げられる。いずれも、お客さまからのご要望を多く寄せられていたものを製品に反映したそうだ。

1つめの特長である、始業前点検を簡単に行なえるプリチェック機能を紹介したい。ノイズ試験をする際には、ノイズ試験器自体が正常にノイズを発生しているかの確認など、試験前には必ず始業前点検をすることが求められる。従来までは、専用アッテネータとオシロスコープ等を使用してお客さま自身で始業前点検を行なっていた。お客さまによっては始業前点検のセットアップと実際の始業前点検をあわせると測定に30分以上かけていた場合もあるなど、煩らしさを感じることが多く、もっとこの作業を簡便にならないかといった要望が多くあったそうだ。

測定セットアップの一例

測定セットアップの一例。専用アッテネータとオシロスコープを使うことが分かる
(FNS-AX4でアッテネータを使用して波形観測を行った場合)

新しいFNS-AX4では、プリチェック用の同軸の入力部(写真下のPRE-CHECK INと記載のあるコネクタ部)が用意している為、測定開始までの工数を削減することができる。

プリチェック機能の接続例

プリチェック機能の接続例。下部の同軸コネクタ部分にチェック用のセンサが内蔵されている。

従来の波形確認方法とプリチェック機能との比較

従来の波形確認方法(FNS-AX3)とプリチェック機能(FNS-AX4)との比較

また、測定器は精密機器であるため故障してしまう場合もある。お客さまのなかには、ノイズ試験器が故障していることを事前に把握しないまま使用してしまい、ノイズが正しく発生していなかった状態で測定を行なっていた、といった稀な事例もあるそうだ。このプリチェック機能を使えば、そうしたリスクを低減することができるため、評価の後戻りを防止することにも役立ててもらえるのではないか、と話してくれた。

ただし、ノイズ研究所では、EMC規格に完全準拠した試験では従来通りの測定手順を勧めている。この機能は、日常的なノイズ試験を行うときなどに使っていただきたいと話してくれた。

ノーマルモード試験に対応

ノーマルモード試験に対応

2つめの特長は、ノーマルモード試験に対応している点だ。IEC 61000-4-4規格ではコモンモード試験の規定しかない。このため、旧モデルのFNS-AX3ではコモンモード試験に対応をしてきた。お客さまによっては、旧モデルのFNS-AX3を特殊な測定セットアップを行なうことでノーマルモード試験を行なっている例もあったが、安全面で問題があり、ノイズ研究所としては推奨している測定法ではなかったとのこと。

実際の製品の使用環境によってはノーマルモードにおいて製品にノイズが混入し誤動作を起こすトラブルの報告があり、また、電力分野では米国のANSI C37.90規格でノーマルモード試験を求められていることから、ノーマルモード試験に対するニーズが高かった。

そこで、新モデルのFNS-AX4では正式にノーマルモード試験の対応を実現している。専用のノーマルモードカップリングバランを用いて、ANSI C37.90規格に準拠したノーマルモード試験を行うことができるようになった。

3つ目の特長は、試験時の接続ミスを防ぐフロントパネル表記とコンセントボックスのラインナップだ。これまでは、AC電源ケーブルをニッパーでカットし、被覆を抜いて圧着端子を付けてからノイズ試験器に接続させる方法であった。旧モデルのFNS-AX3では接続先を明記されていたが、誤って接続してしまう例もあったそうだ。

新モデルのFNS-AX4では、この接続ミスを軽減するために接続先が黄色で強調されたでフロントパネルを採用している。また、専用のライン出力ソケットを変換するコンセントボックスを用意しており、AC電源プラグを差し込めばAC電源ケーブル加工をすることなく正しく接続することができる。接続作業の短時間化と接続ミス防止に役立ちそうだ。

操作パネル比較

旧モデルのFNS-AX3の操作パネル(右)と、新モデルのFNS-AX4の操作パネル(左)。
新モデルでは、視覚的にも接続先が一目で分かるように工夫されている。

その他の変更点としては、出力電圧が4.8 kVから5 kVに上限が拡大しているため、従来以上にノイズ耐性の評価を行なうこともできるようになった。

また、結合減結合回路網(CDN)の電源容量が増えため、より多くの試験品(EUT)の電源容量に対応ができるようになった。

筐体デザインは、立方体型に近い筐体から直方体型の筐体となり、高さを抑え幅が広くなったのがデザイン上の変更点だ。これに伴い操作パネルは旧モデルでは上部を向いていたが、新モデルでは正面を向くスタイルとなっている。あわせて、設定メニューは多言語対応となっており、英語、中国語、韓国語などで画面操作ができるようになった。

そのほか、実際の試験において必要となる試験環境などのオプション品も豊富に取り揃えている。特に試験環境は実際に試験を行った際に、試験結果の再現性を得るためには非常に重要でIEC 61000-4-4 規格上でも試験器や供試品の配置方法、試験ケーブルの寸法などが細かく決められているため、こういった実際の試験を行う際の環境の構築までサポートするオプション品は重宝する。