技術情報・レポート

2018/12/04

~ 現場測定器にも IoT の波 ~ Bluetooth 通信機能搭載のデジタル絶縁抵抗計 KEW 3552BT が、「働き方改革」を推し進める

共立電気計器は、顧客の現場作業の効率向上を目指し、2012年のアースクランプをかわきりに、現場測定器にBluetooth通信機能を搭載することを進めてきた。2016年には、絶縁抵抗計としては共立電気計器としてはじめてBluetooth通信機能を搭載したアナログ(指針)式のKEW 3441BTを発売した。さらに、2018年8月には、業界最速の測定スピードを実現したデジタル絶縁抵抗計KEW 3552BTを、11月には、漏れ電流・負荷電流測定用クランプメータKEW 2433RBTを発表するなど、Bluetooth通信機能搭載器を拡充している。

地味ではあるが、電気設備のインフラ検査を支える現場測定器の中で重要な役割を占める、デジタル絶縁抵抗計KEW 3552BTを中心に、開発の経緯、製品に込められた思いを、商品企画室 加藤室長、日下主任にお聞きした。

デジタル絶縁抵抗計 KEW 3552BT

開発の経緯

Bluetooth通信機能の先駆けとなったのは、多重接地用アースクランプ(接地抵抗計)KEW 4202である。当時(2012年)、海外(海外の一部)市場ではGPS搭載のスマートデバイスとの連携により、測定データに位置情報を紐付けることで、“ごまかしのない”データが得られることが、一部の顧客に受け入れられた。しかし、当時の日本の現場ではBluetooth通信機能に対するニーズは希薄で、拒否感が大きかった。

多重接地用アースクランプ(接地抵抗計) KEW 4202

多重接地用アースクランプ(接地抵抗計) KEW 4202

ところが、2016年発売のアナログ絶縁抵抗計KEW 3441BTの発売を潮目に、Bluetooth通信機能搭載の現場測定器に対する見方が大きく変わり、Bluetooth通信機能付きのモデルが好評を博するようになった。測定データをBluetooth通信機能で送信することで、誤記はなくなり、さらに、最近の「働き方改革」にも通じることだが、現場作業を終えてのオフィスにおける帳票作業が大幅に軽減されることから、残業も減らすことができるため、大きな評価を得ることができた。アナログの使い勝手の良さとデジタルによるデータ整理の効率化が、特に日本のユーザのニーズにマッチしたのだろう。

アナログ絶縁抵抗計 KEW 3441BT

アナログ絶縁抵抗計 KEW 3441BT

Bluetooth通信機能付きの好評に自信を得て、次に開発に取り組んだのは、従来のデジタルタイプの絶縁抵抗計にもこのBluetooth通信機能を搭載することであった。しかし、単なる通信機能を付加しただけでは市場でのインパクトはない。従来のデジタル絶縁計とは一味違う 「凄いところ」 を盛り込む必要がある・・・・・次章にその内容を明らかにしよう。

KEW 3552BTに盛り込んだ 「凄いところ」

①業界最速の測定スピードを実現(約0.5秒)

アナログ(指針)式のよいところは、測定作業のスピード感にある。日本のように測定点数が多い現場では針の振れるスピードが、作業のテンポをスムーズにするという。このことは、日本のユーザが特にこだわる点だ。表示の応答性は、デジタルでも同様に速さが求められる。新開発のKEW 3552BTでは、業界最速約0.5秒の測定スピードを実現した。搭載電子部品と回路構成に工夫を凝らし、ソフトウェア処理の高速化をはかることで、当社従来機種の約0.8秒を0.5秒まで縮めた。デジタル数値表示の上部にもアナログ指針を模したバー表示を設けているので、その応答性の速さは確認できよう。

②絶縁抵抗測定 6レンジ搭載(50/100/125/250/500/1000V)

従来、印加電圧は2から4レンジの機種が多いが、KEW 3552BTでは、ユースケースを広げる狙いで6レンジとした。50Vレンジは、通信や防災分野で有用であり、100VレンジもPCや家電がつながっているオフィスや家庭での絶縁診断は、“100V丁度”で測りたいというユーザの声を取り上げたものである。

KEW 3552BTのレンジスイッチ

KEW 3552BTのレンジスイッチ

③使い易さを極める

測定物の絶縁状態を、良判定のときは緑、否判定のときは赤のバックライトとブザーで直感的に確認できる。コンパレータ機能を使う際には、判別基準値を電圧レンジごとに任意の値に設定できる。

暗所ではバックライト・LEDライトが自動点灯する。表示部だけでなく、測定物もしっかり照らして測定できるので、安全・安心である。

良否判定表示

良否判定表示

LEDライト照明

LEDライト照明

スマホ・タブレットPC連携アプリ KEW Smart for KEW 3552BT

Bluetooth通信機能を使い、現場の測定データを、その場でタブレット・スマホに転送できるアプリケーションソフトウェア(以下アプリ)を提供している。手書きの手間が不要で報告書の作成も効率的である。アプリは、アンドロイド、iOSに対応しており、それぞれGoogle Play、App Storeから無料でダウンロードできる。

タブレット・スマホ画面には、絶縁抵抗計の画面イメージも表示されるので、2人作業での連係も取り易い。

KEW 3552BTとタブレットPCを使った作業現場

KEW 3552BTとタブレットPCを使った作業現場

アプリ画面のイメージ

アプリ画面のイメージ

KEW Connectで検索

KEW Connectで検索

アナログ絶縁抵抗計のスマホ連携では、アナログメータがiPad(または、スマホ)画面上にも表示される(TEO取材班撮影)

アナログ絶縁抵抗計のスマホ連携では、アナログメータがiPad(または、スマホ)画面上にも表示される(TEO取材班撮影)

図面・現場管理アプリSpiderPlus®(スパイダープラス)との連携機能

「SpiderPlus®」は、株式会社レゴリスの開発した図面管理・情報共有アプリケーションで、建設現場のニーズから生まれた様々な機能を有しており、検査業務や現場管理業務をより効率的に行うことができる。検査機器である絶縁抵抗計との連携により、絶縁抵抗測定業務の一連の作業(測定-記録-報告書作成)を一気通貫で行え、転記ミスなども起こりえない。検査結果はExcelファイルに帳票出力可能で、作業時間を大幅に削減できる。あらかじめ検査箇所を図面集に登録しておけば、現場でiPadの図面を見て、検査箇所と測定データを紐付けながら、検査業務を進めることが可能になる。IT化がなかなか進まない現場作業も、このようなアプリの活用で大きな業務効率の改善が期待できよう。

KEW3552BTとSpiderPlusの連携(TEO取材班撮影)

KEW 3552BTとSpiderPlus®の連携(TEO取材班撮影)

SpiderPlus®の画面イメージ

SpiderPlus®の画面イメージ

Excel帳票出力イメージ

Excel帳票出力イメージ

※株式会社レゴリスの登録商標です。

Bluetooth機能搭載の現場測定器の充実

初期Bluetooth通信機能搭載製品KEW 4202の投入から現在(2018年11月)までに、Bluetooth(4.0)搭載機種5モデルが発売された。安価な海外製品の攻勢に抗していくには、より付加価値の高い製品開発を目指していく必要があるという。前章でも触れたように、現場の検査作業の業務効率化にBluetooth通信機能は欠かせない。壁面電気コンセントの誤配線をチェックする現場測定器であるコンセントN-EテスタKEW 4500BTにもBluetooth通信機能を付けた。次のBluetooth通信機能付き現場測定器は何になるかは、期待してもらいたい。

Bluetooth通信機能搭載の機種も含め、これからも年3機種以上の開発を計画していきたいと考えている。

Bluetooth通信機能付き現場測定器を前に、共立電気計器 商品企画室の加藤室長(左)と日下主任(右)(TEO取材班撮影)

Bluetooth通信機能付き現場測定器を前に、共立電気計器 商品企画室の加藤室長(左)と日下主任(右)(TEO取材班撮影)
製品左から、①アナログ絶縁抵抗計KEW 3441BT、②コンセントN-EテスタKEW 4500BT、③簡易接地抵抗計KEW 4300BT、④デジタル絶縁抵抗計KEW 3552BT、⑤漏れ電流・負荷電流測定用クランプメータKEW 2433RBT(個々の製品写真は、前記と下記を参照)

コンセントN-EテスタKEW 4500BT

コンセントN-EテスタKEW 4500BT

簡易接地抵抗計KEW 4300BT

簡易接地抵抗計KEW 4300BT

漏れ電流・負荷電流測定用クランプメータKEW 2433RBT

漏れ電流・負荷電流測定用クランプメータKEW 2433RBT

デジタル絶縁計 KEW 3551/3552/3552BT 主な仕様

Bluetooth通信機能付きKEW 3552BTのほか、KEW 3551、KEW 3552がラインナップされている。機能の違いは、表の通りである。メモリ機能は、最大1000件の測定結果を保存できる。IR通信は、保存したデータをオプティカルアダプタMODEL 8212-USB(別売オプション)経由でPCに転送できる機能で、赤外線を使う安全設計が考慮されている。

3機種の機能比較

3機種の機能比較

主な仕様を次に示す。

定格測定電圧 50 V 100 V 125 V 250 V 500 V 1000 V
絶縁抵抗計 有効最大表示値
(オートレンジ)
4.000/40.00/
100.0 MΩ
4.000/40.00/
200.0 MΩ
4.000/40.00/
250.0 MΩ
4.000/40.00/
500.0 MΩ
4.000/40.00/
400.0/2000 MΩ
/20 GΩ※1
4.000/40.00/
400.0/4000 MΩ
/40 GΩ※1
中央表示値 2 MΩ 5 MΩ 10 MΩ 100 MΩ 200 MΩ
第1有効測定範囲 0.100 ~ 10.00 MΩ 0.100 ~ 20.00 MΩ 0.100 ~ 25.00 MΩ 0.100 ~ 50.0 MΩ 0.100 ~ 500 MΩ 0.100 ~ 1000 MΩ
確度 ±2%rdg ±2dgt
第2有効測定範囲 0.050 ~ 0.099 MΩ
10.01 ~ 100.0 MΩ 20.01 ~ 200. 0MΩ 25.1 ~ 250.0 MΩ 50.1 ~ 500 MΩ 501 ~ 2000 MΩ 1001 ~ 4000 MΩ
確度 ±5%rdg
定格電流 1.0 ~ 1.1 mA
@0.05 MΩ @0.1 MΩ @0.125 MΩ @0.25 MΩ @0.5 MΩ @1 MΩ
短絡電流 1.5 mA以内
低抵抗計※4 測定範囲 40.00 Ω/400.0 Ω/4000 Ω
確度 ±2.5%rdg ±8dgt
開放回路電圧 5 V(4~6.9 V)
短絡電流 200 mA 以上
電圧計 測定範囲 AC 2.0~600 V(45~65 Hz)  DC -2.0~-600 V +2.0~+600 V
確度 ±1%rdg ±4dgt
一般仕様 適合規格 JIS C 1302、 IEC61010 CATⅢ 600V/CAT IV 300V
IEC61557-1,2,4 IEC61326-1,-2-2 保護等級:IP40
通信インターフェイス※2 USB , BluetoothR4.0LE (BluetoothRSMART) 搭載※3
Android™5.0以上、iOS 10.0以上※3
外形寸法/質量 97(L)x156(W)x46(D)mm/約490 g(電池含む)
使用電池 単3形乾電池 LR6/R6(1.5 V)4本
付属品 7260(リモートスイッチ付測定プローブ)、7261A(ワニグチコードセット)、8017A(先端金具ロング)、9173(携帯用ケース)、9121(肩掛ベルト)、単3形乾電池 LR6x4
オプション 取扱説明書、7243(L型プローブ)、8016(先端金具・フック) 、9186A(本体収納ケース)、9187(測定コード収納ケース)、8212USB (USBアダプタ+KEW Report(ソフトウェア)) 
  • ※1 3552/3552BTのみ
  • ※2 3552BTのみ
  • ※3 BluetoothはBluetooth SIG. Inc.の登録商標。AndroidはGoogle Inc.の商標または登録商標。iOSはCisco Technology. Inc.の米国およびその他の国における商標または登録商標。
  • ※4 低抵抗計レンジは内蔵されたヒューズ(0.5 A/1000 V φ6.3X32 mm)で保護されている

取材協力:共立電気計器株式会社 ホームページは こちらから

共立電気計器のKEW 3552BTの製品紹介ページは こちらから

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