技術情報・レポート

2019/02/19

~ 開発・設計評価から生産ラインの検査・品質管理まで ~ 進化するディスプレイの測定ニーズに対応したカラーアナライザー CA-410

コニカミノルタのセンシング事業は、カメラ内蔵の露出計に端を発するという。1960年代の露出計単体発売に始まり、照度計、輝度計、測色計など光と色の計測器の分野で50年もの間にそのブランドを築いてきた。中でもカラーアナライザーは、テレビ製造の品質管理における測定器のデファクトとして位置づけられてきた。近年は、より高画質な画像や動画をスマートフォンで楽しみたいという消費者のニーズから、有機ELディスプレイなど、より高品位なディスプレイの開発に拍車がかかっている。今回、紹介するカラーアナライザー CA-410は、こうした進化し続けるディスプレイの測定ニーズに対応したものである。コニカミノルタ株式会社 産業光学システム事業本部 センシング事業部の河内(こうち)アシスタントマネージャーに、CA-410の特徴・利点・効用についてお聞きした。

CA-410誕生の背景

光計測器には、大きく照度計と輝度計がある。照度計は、プロジェクタやLED照明などの照度(ルクス:lx、明るさの度合い)を測定するものだ。一方、輝度計は、光源(ディスプレイ)の明るさを測定するもので、単位面積当たりの明るさで表現する。そのため、単位はcd/m2(カンデラ/平方メートル)となる。輝度のほか、色度測定のできるものが、色彩輝度計やカラーアナライザーと呼ばれる光計測器である。コニカミノルタCAシリーズのカラーアナライザーの歴史を紐解くと、CA-100、CA-200、CA-300、CA-400シリーズと変遷してきた。(下図はCA-310とCA-410の写真)CA-100は、テレビがまだブラウン管の時代の輝度計だ。輝度計のモデルチェンジは、ブラウン管が液晶テレビになり、バックライトがCCFL(冷陰極管)からLEDに切り替わる節目・節目で、モデルチェンジ対応してきたとのことで、CA-410も、有機ELディスプレイ搭載機器の拡がりに合わせて発売された。

CA-410は、フィルタ型の輝度計であるが、分光放射輝度計に近い性能を有している。フィルタ型の採用で、分光型に比べて、簡単・高速・低コストの三拍子揃った測定器を実現している。CA-410には、旧コニカ・ミノルタ両社の光学レンズ技術や薄膜フィルタ技術の粋がうまく結実している。つまるところ、「光量を稼いで、暗いところも正確に測る」ことを可能にしたのである。また、CA-410は、ピント合わせの必要な非接触型の輝度計と違い、フードによる接触型の輝度計であるから、より簡便に輝度測定ができる(下写真)。

CA-310(プローブCA-P32)

CA-310(プローブCA-P32)

CA-410(プローブCA-P427)

CA-410(プローブCA-P427)

プローブのフードを被測定対象に押しあてるだけで測定できる。

プローブのフードを被測定対象に押しあてるだけで測定できる。

CA-410は、前機種のCA-310を全面的にリニューアルしたもので、最新の有機ELディスプレイの測定ニーズにも対応している。次章で、その進化したポイントを具体的に幾つか紹介しよう。

ここが違う! 従来機種からの進化ポイント3つ

① 低輝度から高輝度まで、従来比25倍の幅広いレンジを精度保証

CA-410は、プローブ(センサ)と回路を刷新することで、0.001~5,000 cd/m2という従来機種(CA-310)比25倍の精度保証輝度範囲を実現している(下図 青色線)。 ディスプレイのHDR(High Dynamic Range)化にともない、測定器に求められる低輝度・高輝度の測定性能も、より高いものにしてきた訳だ。液晶ディスプレイの進化により、輝度は、CRT時代の10倍に達しているものもある。自発光の有機ELならさらに広域のレンジが確保されている。下図のHDRディスプレイ仕様では、0.001-1,000 cd/m2超とあるから、これはコントラスト比100万倍超ということになる。コントラスト比はディスプレイ上の明暗差を表わす用語で、100万対1なら、黒の輝度を1とした場合、白の輝度が100万倍あるということだ。

河内氏は、「CA-410の登場で、従来の輝度計で測れなかったものが、測れるようになったことが、大きなポイント」と、話す。今後、ますますHDRディスプレイへの開発・製造の投資は盛んになると予想されており、CA-410への期待は高まるばかりだ。

コントラスト比

② 測定時間の大幅な短縮で生産性を向上

少し専門的になるが、ディスプレイにはガンマ特性と呼ばれる固有の特性があり、色情報入力(X)と表示される出力(Y)の間は、X=Yγ(Yのガンマ乗)なる関係式で表される。詳しいことは省くが、通常、多くの液晶ディスプレイは、ガンマ値γ=2.2に調整されていて、画質にこだわった液晶ディスプレイは、このガンマ値を内部補正する機能を有している。ディスプレイに限らず、スマートフォンのディスプレイにとっても、このガンマ値を検査・調整することが重要だ。ガンマ測定は、ディスプレイ画面の明度を変化させながら、何回も入出力関係を測定するので、輝度計にとって、特に時間の掛かる測定項目だ。CA-410は、プローブ性能・機能と演算速度の向上により、ガンマ測定の高速化を図ることに成功した。その結果、測定時間は、従来機の約3割減となった(下図-左)。 高品位ディスプレイ搭載機の生産では、全数チェックが必要で、ガンマ補正に掛かる時間を短縮することができれば、生産性は大きく向上する。次項で紹介するマニュファクチャリングの現場では、この測定スピードは、特に重要なパラメータである。タクトタイムの短縮は、生産ラインの構築では欠かせないポイントになるからだ。

※ コニカミノルタの条件(64回測定)におけるガンマ測定シミュレーションでのCA-310との比較。ディスプレイの駆動にかかる時間、ウエイトタイム等は除く。

R(赤)、G(緑)B(青)、W(白)のガンマ値の測定結果(右図-グラフ上)
R(赤)、G(緑)B(青)、W(白)のガンマ値の測定結果(右図-グラフ上)

R(赤)、G(緑)B(青)、W(白)のガンマ値の測定結果(右図-グラフ上)

③ デジタルマニュファクチャリング時代のシステムインテグレーション用途に合わせ、プローブをPCにダイレクト接続可能

CA-410は、本体(データプロセッサー CA-DP40)とプローブ(例:通常プローブ CA-P427)からなるが、生産ラインを構築する際に、プローブとPCを直結してシステムを構成することも可能だ。下図は、スマートフォン画面の検査・調整ラインの構成例を示す。ソフトウェアの開発には、SDK(ソフトウェアディベロップメントキット:CA-SDK2)が提供されている。CA-410のプローブは、ゼロ校正のための電動シャッタが内蔵されており、人の手を介さず、測定が開始できる。これは、今までのプローブにはなかった機能で、システムのインテグレーション用途に適した仕様だ。本体が不要なことから、省スペースでシステムがすっきり構成できることも、大きなメリットだ。

スマートフォン生産ラインのシステム構成例

スマートフォン生産ラインのシステム構成例

プローブの出力部(USB2.0、またはRS232C)

プローブの出力部(USB2.0、またはRS232C)

プローブをPCにダイレクト接続できるので、システムインテグレーションが容易であることを記したが、研究開発の現場ではどうだろう。生産ラインに高速性が求められると同様、研究開発での性能評価試験にもスピードが要求される。実は、本体(データプロセッサー CA-DP40)には、一度に10本のプローブを接続し、多点測定ができる機能がある(下図)。 研究開発では、データプロセッサー本体のこの機能を使用したほうが、より機動性のある試験が可能かも知れない。輝度やガンマ値に限らず、ホワイトバランスやフリッカーの測定など、多岐にわたる評価が可能である。

本体リアパネルのプローブ入力部(P01からP10まである)

本体リアパネルのプローブ入力部(P01からP10まである)

プローブを5本使用した測定例

プローブを5本使用した測定例

測定ニーズに合わせたプローブをラインアップ

高感度プローブのCA-VP410(測定径:φ10mm)、CA-VP427(φ27mm)は、ハイエンドOLEDなど、超低輝度から高輝度までの高速測定が求められるシーンに対応したモデルだ。OLEDテレビ、スマートフォン用OLEDなど超低輝度からの輝度色度・ガンマ測定検査、調整の用途に最適という。通常プローブのCA-P410(φ10mm)、CA-P427(φ27mm)は、CA-310との互換性を維持しつつ、さまざまなディスプレイの測定ニーズに対応したスタンダードモデルである。各種ディスプレイ全般の輝度色度、ホワイトバランス、ガンマ、フリッカー測定・評価、調整に最適だ。ミニプローブCA-MP410は、CA-310と同等以上の性能を持ちつつ、極限までコンパクトに設計したモデルで、用途は、小型ディスプレイ生産プロセスでの自動測定装置用カラーセンサー、プロフェッショナルモニターのキャリブレーションなどである。

①CA-VP410(測定径:φ10mm) ②CA-VP427(測定径:φ27mm) ③CA-P410(測定径:φ10mm) ④CA-P427(測定径:φ27mm) ⑤CA-MP410(測定径:φ10mm)

①CA-VP410(測定径:φ10mm) ②CA-VP427(測定径:φ27mm) ③CA-P410(測定径:φ10mm) ④CA-P427(測定径:φ27mm) ⑤CA-MP410(測定径:φ10mm)

ソフトウェア CA-S40を標準装備

CA-410のプローブにはWindows®7/10と共にmacOS®に対応した測定ソフトウェアCA-S40が標準付属となっており、プローブとコンピュータを直結して測定を行うことができる。輝度測定、フリッカー測定とデータの保存に加えてWaveform機能を搭載、より幅広い測定シーンにて活用できる。

輝度色度測定

輝度色度測定

Waveform機能

Waveform機能

おわりに

冒頭にも記したが、コニカミノルタは、光と色の計測器分野におけるリーディングカンパニーだ。CA-410は、光測定器のひとつだが、もう一方の色測定器もコニカミノルタの得意分野だ。自動車の塗装面や印刷物の色測定が、これに該当する。反射光を測定するとも表現できよう。分光測色計や色彩色差計などがある。

コニカミノルタでは、計測機器をより有効に使うための色計測や光計測などに関するさまざまなセミナーを開催している。光・色計測の基礎から、顧客の抱える問題の解決につながるソリューション提案まで、セミナー内容は多彩だ。

今後も、コニカミノルタの計測器とサービスに注目していきたい。

CA-410のデモを実演する河内氏

CA-410のデモを実演する河内氏

カラーアナライザー CA-410 主な仕様

下記は、通常プローブ「CA-P427」使用時の値です。

表示範囲 輝度 0.0001~5,000 cd/m2
色度 4桁表示
輝度 精度保証範囲 0.001~5,000cd/m2
確度(白色)* 0.001~0.01 cd/m2:±9%
0.01~0.1 cd/m2 :±2%
0.1~5,000 cd/m2:±1.5%
色度 精度保証輝度範囲 0.01~5,000 cd/m2
確度(白色)* 0.01~0.1 cd/m2 :±0.003
0.1~5,000 cd/m2:±0.002
精度保証計測速度
(AUTO)
Lvxy 0.001~0.15 cd/m2:1回/秒
0.15~2 cd/m2 :5回/秒
2~5,000 cd/m2 :20回/秒
インターフェース USB2.0、RS-232C
*当社基準光源使用(6500K)

CA-410の詳細・カタログは こちらから

取材協力:コニカミノルタジャパン株式会社 計測機器のホームページは こちらから

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