技術情報・レポート

2020/01/21

「現場に強く、もっと強く」をキーワードに工事・保守・点検市場に貢献する日置電機

日置電機は長年に渡って電力インフラの保守・点検市場に多くの現場測定器を提供してきた。日置電機で長年現場測定器を担当されているイノベーションセンターMNユニットの宮田雄作様が執筆された「現場がわかる!電気測定入門 -ハカルと学ぼう!測定のキホン-(オーム社)」が2019年8月に出版されたのを機会に日置電機の現場測定器の取り組みや出版の背景などについて伺った。

図1. 日置電機の現場測定器ビジネスについて話される宮田雄作様

図1. 日置電機の現場測定器ビジネスについて話される宮田雄作様

Q1:日置電機の現場測定器事業について

日置電機の事業は現場測定器(FMI)事業、高精度測定器(PMI)事業、自動検査機器(ATE)事業の3本の柱から構成されている。日置電機の現場測定器は、1946年のH甲號回路試験器から始まる、最も長い歴史を持つ事業である。現在に至るまで電気設備の工事・保守・点検の現場で使うさまざまな測定器を継続して開発してきた。

図2. 日置電機の主な現場測定器の歴史

図2. 日置電機の主な現場測定器の歴史

日置電機の現場測定器開発の方針は電気設備の工事・保守・点検の現場をよく観察して、現場の課題を発見し、新たな製品開発や提案を繰り返すことである。日置電機の現場測定器は市場で高く評価され、日本電設工業協会主催のJECA FAIR(電設工業展) 製品コンクールでは何度も受賞している。

表1. 日置電機の現場測定器のJECA FAIR(電設工業展) 製品コンクール受賞履歴
年度 受賞製品
2019 AC/DCクランプメータ CM4376
2016 電圧計付検相器 PD3259
2012 磁界測定器 FT3470-55
2008 セーフティハイテスタ 3258
2005 検相器 3129
2001 アースハイテスタ 3143
1996 バッテリハイテスタ 3550

2005年に東京電力様と日置電機とが屋内配線診断装置(間欠漏電や電力品質を記録・監視できる装置)を共同開発した。この診断装置が電気保安分野で顕著な業績を上げたとして日本電気協会から澁澤賞を受賞している。
また、日置電機は測定器のデザインを向上する活動を積極的に行っている。日置電機は1985年からさまざまな製品で日本デザイン振興会からグッドデザイン賞を受けており、2019年度までに75件の受賞を獲得し、そのうち約1/3が現場測定器となっている。また、2003年ころから現場測定器は日置電機のコーポレートカラーである青色を使い、統一した製品イメージを表現するようにしている。

【市場動向】次世代を担う人材確保と作業効率化のためのIT化が課題の電気工事業界

電気の利用分野では大きな流れが2つある。1つ目は電力インフラや電力利用に変化があること、2つ目は将来の電気設備を工事・保守・点検する人材確保に懸念があることである。
最近は地球環境への関心の高まりから、太陽発電や風力発電などの分散型発電設備が増えてきており、新たな電気設備の設置や工事・保守・点検が発生している。このほかにもスマートグリッドや自然災害に備えた電気設備の導入が進んでいる。近い将来には電気自動車が普及することが予測されているため、それに伴う多くの充電設備の設置が予測される。
国内には電力インフラを支える数多くの設備がすでにあるが、安心して電気を使うには保守・点検や古い設備の更新が必要となる。近い将来にこれらの工事・保守・点検などの作業を行う資格を持った人材が不足すると懸念されている。

図3. 電気工事士の需給ギャップ

図3. 電気工事士の需給ギャップ

出典:電気保安人材の中長期的な確保に向けた課題と対応の方向性について 2018年3月12日 経済産業省

今後、少子高齢化が進むことが予測されているので、電気設備の工事・保守・点検を担う若い人材の確保と育成は日本にとって重要な課題となっている。また作業の効率化のためのIT技術の導入も急がれている。

Q2.書籍出版の目的

現場で日々作業をされている方々と話していると、測定器の使い方を間違っていたり、作業の安全性が欠けていたりしていることに気付いた。測定器を正しく理解すれば、現場作業の品質、安全性が向上し、レベルアップできると考えて執筆を始めた。
2016年4月から2018年10月まで「電気と工事」という雑誌に32回連載した。今回出版した書籍「現場がわかる!電気測定入門 -ハカルと学ぼう!測定のキホン-(オーム社)」は、それらの記事を大幅加筆し、再編集したものである。電気設備の工事・保守・点検でよく使われるマルチメータ、クランプ電流計、絶縁抵抗計、接地抵抗計の使い方や注意点を詳しく説明した。後半は、現場で起こりうる事例の対処方法を、具体的なケーススタディとして多く紹介した。

図4. 日置電機の宮田雄作様が執筆した現場測定器の入門書

図4. 日置電機の宮田雄作様が執筆した現場測定器の入門書

現場測定器について解説した書籍や雑誌の記事は今までもいくつかあったが、今回は若手の現場技術者を対象にした入門書として「測定器の基礎知識と実際に現場で使う上での留意点」をできるだけ判りやすくイラストを交えて執筆した。特にケーススタディは日置電機が現場で得た経験をもとに具体的かつ判りやすく解説した。
この書籍が電気設備の保守・点検に携わっている多くの技術者の技術・技能の向上に貢献できることを期待している。また若い人が電気設備の工事・保守・点検という仕事に興味を持ってくれることも願っている。

Q3.日置電機での現場測定器の新しい取り組み

電気設備の工事・保守・点検作業のほとんどは、人手がかかる作業である。そのため現場での測定作業、測定値の記録、現場の写真撮影、測定結果の解析、報告書作成、記録保存など、手作業が多い。効率的な作業環境を構築することが求められているので、日置電機は現場作業のIT化を進めるチャレンジをしている。現場測定器とスマートフォンをつなぎ、現場で役立つ機能を提供するアプリがGENNECT(ジェネクト)Crossである。現場測定器単体では成し得なかった、波形表示やロギング機能が充実している。これを使うと人による作業が大きく削減できる可能性がある。

図5. 日置電機が開発したGENNECT Crossの機能

図5. 日置電機が開発したGENNECT Crossの機能

また、日置電機から現場測定器の情報発信にIT環境を積極的に使う取り組みもしている。日置電機のホームページとは別に、GENNECT Cross スペシャルサイトにて、GENNECT Crossに関する機能解説、現場の活用事例、Q&A集を公開している。
日置電機では電力インフラやさまざまな電気設備の工事・保守・点検に携わる技術者向けに新しい製品を開発するとともに現場を支える活動をしていく。

取材を終えて

現場測定器の基本は古くから大きく変わっていないが、日置電機は「現場をよく観察して、現場の課題を見つけて、ニーズにあった製品開発や提案をする能力」に優れている。今回出版された書籍も現場作業に即した内容になっている。日置電機の宮田雄作様の現場測定器への強い思いが感じられる今回のインタビューとなった。今後の日置電機の活躍を期待していきたい。

取材協力:日置電機株式会社 電気設備メンテナンス分野の計測のホームページは こちらから

GENNECT Crossのスペシャルサイトは こちらから

「現場がわかる!電気測定入門 -ハカルと学ぼう!測定のキホン-」 の紹介ホームページ(株式会社オーム社)は こちらから

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