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校正トピックス「ご存じですか ? pH標準液の消費期限」

エヌケイエス株式会社

本記事はグループ企業のエヌケイエス株式会社ホームページより転載をしています。

pH標準液の管理方法はどうされていますか?

ある日、pH標準液の管理方法の妥当性について、お客様よりご質問を頂きました。

そこで、いろいろなお客様へ管理方法を尋ねてみると、 それぞれ独自の方法で管理をされていることがわかりました。

例えば

  • 「標準液を作り置きし、室内で保管している」
  • 「作り置きし、冷蔵庫に保管している」
  • 「その都度、pH標準液を作って管理している」

その時、ふと「pH標準液の消費期限ってあるんだろうか?」という疑問が浮かんできました。

「消費期限」について調べてみました

JIS規格を調べてみると「標準液の保管方法は、一度大気中に解放・放置されたpH標準液は使用してはならない。」と、記載されています。

メーカーへ質問したところ「開封後のpH標準液の保存期間は使用状況により異なるので、一概に決めることはできません。」と、少々歯切れの悪い回答がありました。

よって「pH標準液は、長期間保存することは好ましくなく、また容器を開封したあとはできるかぎり早く使い切りなさい。」ということがわかりました。

気になったので実験しました

pH標準液(7pH、9pH)を、室温で保管した場合と冷蔵庫に保管した場合の時間の経過に対する変化を見てみました。

開封したpH標準液の経過時間における変化の実験
実験に使用したpH標準液 pH値 精度
第2種 7pH標準液(中性) 6.86pH at 25℃ ±0.015pH
(at 25℃)
第2種 9pH標準液(アルカリ性) 9.18pH at 25℃
実験に使用したpH計 表示器:HM-30R
ガラス電極:GST-5714C
測定範囲 0~14pH(1目盛0.001)
精度 0.002pH(表示器)
■7pH標準液の変化状況
経過時間 ビー化に入れて室温で
保管した場合(23℃)
ビー化に入れて冷蔵庫で
保管した場合(8℃)
開封直後 6.862pH 6.862pH
開封後1日 6.861pH 6.862pH
開封後3日 6.859pH 6.861pH
開封後1週間 6.859pH 6.860pH
開封後2週間 6.859pH 6.859pH
試験温度25±0.5℃
■9pH標準液の変化状況
経過時間 ビー化に入れて室温で
保管した場合(23℃)
ビー化に入れて冷蔵庫で
保管した場合(8℃)
開封直後 9.176pH 9.176pH
開封後1日 9.174pH 9.166pH
開封後3日 9.152pH 9.140pH
開封後1週間 9.002pH 9.058pH
開封後2週間 8.949pH 8.960pH
試験温度25±0.5℃

実験結果から見えたこと

  • 9pH標準液は、開封後3日以上経過すると、保管する場所(冷蔵庫内温度、常温)に関わらず、pH値が大きく下がり、標準液の精度から外れることがわかりました。
  • 7pH標準液は、開封後2週間経過しても僅かな変化でしたが、pH値の低下傾向が見られました。
  • この実験結果により、エヌケイエスでは正確な校正を提供する為「pH標準液の開封は作業時におこなうこと」というルールで運用しています。

転載元「エヌケイエス株式会社」のホームページは こちらから

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