技術情報・レポート

2021/11/24

初めて使うオシロスコープ・・・第12回「テクトロニクスが提供するPCソフトウェア」

連載記事一覧
第1回:オシロスコープが届いたら最初にすること
「はじめに」「届いたオシロスコープを見てみる」「オシロスコープに電源を投入する」「日付時刻を設定する」「【ミニ解説】オシロスコープを安全に使うために配電の仕組みを知る」
第2回:パネルにあるキーや端子などの基本的な役割
「オシロスコープの前面パネルにあるキーや端子」「オシロスコープの背面パネルにある端子」「オシロスコープ内部が冷却できるようにして使う」「【ミニ解説】プローブ・インターフェース」
第3回:CAL信号を使ってプローブを調整
「Autoset機能を使ってCAL信号を観測する」「受動電圧プローブの調整」「受動電圧プローブの選択」「グランド・リードの長さによる影響」「装置組込みでオシロスコープを利用する場合」「【ミニ解説】デジタル・オシロスコープの選定のキーワード」
第4回:電圧軸の基本的な設定
「Autoset機能を使わないで電圧軸を設定する」「入力感度の設定」「オシロスコープで測れる最大電圧」「【ミニ解説】オシロスコープで受動電圧プローブを使う効果」
第5回:時間軸とトリガの基本的な設定
「A/D変換器による波形の捕捉」「波形取り込みの設定」「時間軸の設定」「トリガの機能」「トリガの設定」
第6回:オシロスコープを安全に使う
「オシロスコープ入力端子の外側はケースに繋がっている」「測定対象がコモンモード電位を持っているときは要注意」「オシロスコープの受動電圧プローブでコンセントの波形を測るのは危険」「高電圧シングル・エンド・プローブを使って測定する場合は接地が必須」「オシロスコープに入力できる最大電圧」「受動電圧プローブの取り扱いは丁寧に」「電源品質にも注意」「【ミニ解説】デジタル・マルチメータは入力が絶縁されている」
第7回:単発現象の測定
「単発現象をオシロスコープで測定」「単発現象を観測するための設定」「レコード長とサンプルレートの設定(正弦波の場合)」「レコード長とサンプルレートの設定(パルス波の場合)」「レコード長を長くして取り込んだ波形を拡大する」「【ミニ解説】レコード長が長いオシロスコープのメリット」
第8回:波形パラメータの読み取り
「取り込んだ波形の情報をカーソルによって読み取る」「波形パラメータを自動測定する」「自動測定機能を使ってのパルス波形を測定するときの注意点」「自動測定を使って2つの入力の位相差や時間差を測定するときの注意点」「【ミニ解説】デューティ比を制御して調光するLED照明」
第9回:取り込んだ波形データへの演算
「取り込んだ波形を演算処理する」「取り込んだ波形にFFT演算を行う」「【ミニ解説】オシロスコープのFFT機能を使ってノイズ源の探査」
第10回:波形画像や波形データのUSBメモリへの保存
「オシロスコープに取り込んだ波形画像や波形データを取り出す」「オシロスコープに表示されている波形画像をUSBメモリに保存する」「オシロスコープに保存されている波形データをUSBメモリの保存する」「オシロスコープの設定状態の保存と呼出し」「波形データの呼び出し」「内部メモリやUSBメモリに保存されたデータを消去する」「【ミニ解説】USBメモリの注意点」
第11回:オシロスコープと組合せて使うさまざまなプローブ
「オシロスコープに接続できるさまざまなプローブ」「TBS2000Bが使えるプローブ類」「高電圧シングルエンド・プローブの用途と使用上の注意点」「高電圧差動プローブの用途と使用上の注意点」「電流プローブの用途と使用上の注意点」「低電圧シングルエンド・プローブの用途と使用上の注意点」
第12回:テクトロニクスが提供するPCソフトウェア
「【インタビュー】テクトロニクスが取り組むPCソフトウェアを使った効率的な開発環境の構築」

【インタビュー】テクトロニクスが取り組むPCソフトウェアを使った効率的な開発環境の構築

最終回はオシロスコープを効率よく使うPCソフトウェアやクラウドサービスについてテクトロニクスのセールス・オペレーション統括部 ビジネス・オペレーション部の岡田信孝様にお話を伺った。

図88. お話を伺ったテクトロニクスの岡田信孝様

図88. お話を伺ったテクトロニクスの岡田信孝様

Q1:オシロスコープを利用する環境にどんな変化が起きていますか?

世界のものづくり産業はデジタル化によって大きく変わってきている。最近の電気機器や電子機器は複雑になってきており、1つの製品を開発するのに多くの企業や多くの技術者が関わるようになってきている。またグローバル競争の中でものづくり企業が成長していくためには効率的な開発環境を構築して、短期間に品質の高い製品を作り上げることが求められるようになってきている。

このような開発環境の中で使われるオシロスコープやプローブは高性能化や高機能化が進んでいった。特にオシロスコープは電気現象を波形として観測するツールから、波形を解析して新たな情報を効率的に得るツールへと進化していった。

現在の開発環境ではPCを有効に使う必要があるため、オシロスコープの制御や取り込んだ波形データの解析を行うPCソフトウェアやクラウドサービスの重要性は増している。

Q2:TekScope PC解析ソフトウェアとはどんなPCソフトウェアですか?

テクトロニクスではオシロスコープを効率的に使うための3種類のPCソフトウェアを用意している。

  • TekScope PC解析ソフトウェア
  • オシロスコープ用TekBenchコントロール・ソフトウェア
  • オシロスコープ用SignalVu RF/ベクトル・シグナル解析ソフトウェア

この中で2020年に発売されたTekScope PC解析ソフトウェアは最新の4/5/6シリーズMSOと同じ直感的なユーザ・インタフェースを持ったPCソフトウェアであり、基本部分及び用途別の機能をオプションとして提供している。

図89. TekScopeの特長(下段は和訳)

図89. TekScopeの特長(下段は和訳)

このソフトウェアを使えばオシロスコープ使って観測したデータの解析はPC上で行えるため、波形の解析をしているときはほかの人がオシロスコープを使える。これにより測定設備の効率的な利用が可能となる。また複数台のオシロスコープを同期させて多くの観測点を持つ装置の波形を見る際には、TekScope PC解析ソフトウェアを使うことにより複数台のオシロスコープに取り込まれた波形をPC上の大きな画面で同時に観測することができる。

2020年の新型コロナウイルスの蔓延から世界中の技術者がリモートで仕事をすることが多くなってきている。TekScope PC解析ソフトウェアは技術者がリモートで仕事をする環境を提供するものである。

TekScope PC解析ソフトウェアの詳しい内容は下記のウェビナーで公開している。

TekScope and eScope Waveform Analysis Webinar(英語)
https://jp.tek.com/webinar/tekscope-and-escope-waveform-analysis-video

Q3:2021年の春に市場投入したTekDriveとはどんなものですか?

先に述べた通り、最近の電子機器や電気機器の開発では複数の企業の技術者が1つのチームを作って開発に携わることが多くなってきている。また製品開発を一か所で行うのではなく、開発に関わる技術者は離れた場所で仕事をする場合もある。

従来は開発している製品の周りに関係する技術者が集まって、オシロスコープの画面を見ながら組込みソフトウェアのデバッグなどを行っていた。離れた場所にいる技術者にはオシロスコープに取り込んだデータをUSBメモリに移してから、メールにデータを添付して送るなどの手間を掛けていた。

図90. TekDriveの概要(下段は和訳)

図90. TekDriveの概要(下段は和訳)

テクトロニクスでは技術者の作業効率を上げるために、クラウドシステムを使ってオシロスコープが観測したデータの共有や解析をスムーズに行えるセキュリティーが確保された開発環境を有償サービスとして提供している。これによって設計に関わる多くの技術者はオシロスコープで観測したデータを有効に使えるようになる。

現在、この機能が使えるオシロスコープは4シリーズMSOミックスド・シグナル・オシロスコープ、5シリーズMSOミックスド・シグナル・オシロスコープ、5シリーズMSOロー・プロファイル、6シリーズ B MSOミックスド・シグナル・オシロスコープとなっている。

TekDriveが提供するサービスの内容は下記のホームページで紹介している。

TekDrive Product Overview(英語)
https://www.youtube.com/watch?v=VnBe9JAe3GQ

おわりに

テクトロニクスは今後とも技術者が効率的に仕事をしていける環境をハードとソフトの両面で提供していきたい。


執筆:横河レンタ・リース株式会社 事業統括本部 魚住 智彦