技術情報・レポート

2021/09/15

初めて使うオシロスコープ・・・第2回「パネルにあるキーや端子などの基本的な役割」

連載記事一覧
第1回:オシロスコープが届いたら最初にすること
「はじめに」「届いたオシロスコープを見てみる」「オシロスコープに電源を投入する」「日付時刻を設定する」「【ミニ解説】オシロスコープを安全に使うために配電の仕組みを知る」
第2回:パネルにあるキーや端子などの基本的な役割
「オシロスコープの前面パネルにあるキーや端子」「オシロスコープの背面パネルにある端子」「オシロスコープ内部が冷却できるようにして使う」「【ミニ解説】プローブ・インターフェース」
第3回:CAL信号を使ってプローブを調整
「Autoset機能を使ってCAL信号を観測する」「受動電圧プローブの調整」「受動電圧プローブの選択」「グランド・リードの長さによる影響」「装置組込みでオシロスコープを利用する場合」「【ミニ解説】デジタル・オシロスコープの選定のキーワード」
第4回:電圧軸の基本的な設定(9月29日公開予定)
「Autoset機能を使わないで電圧軸を設定する」「入力感度の設定」「オシロスコープで測れる最大電圧」「【ミニ解説】オシロスコープで受動電圧プローブを使う効果」
第5回:時間軸とトリガの基本的な設定(10月6日公開予定)
「A/D変換器による波形の捕捉」「波形取り込みの設定」「時間軸の設定」「トリガの機能」「トリガの設定」
第6回:オシロスコープを安全に使う(10月13日公開予定)
「オシロスコープ入力端子の外側はケースに繋がっている」「測定対象がコモンモード電位を持っているときは要注意」「オシロスコープの受動電圧プローブでコンセントの波形を測るのは危険」「高電圧シングル・エンド・プローブを使って測定する場合は接地が必須」「オシロスコープに入力できる最大電圧」「受動電圧プローブの取り扱いは丁寧に」「電源品質にも注意」「【ミニ解説】デジタル・マルチメータは入力が絶縁されている」
第7回:単発現象の測定(10月20日公開予定)
「単発現象をオシロスコープで測定」「単発現象を観測するための設定」「レコード長とサンプルレートの設定(正弦波の場合)」「レコード長とサンプルレートの設定(パルス波の場合)」「レコード長を長くして取り込んだ波形を拡大する」「【ミニ解説】レコード長が長いオシロスコープのメリット」
第8回:波形パラメータの読み取り(11月4日公開予定)
「取り込んだ波形の情報をカーソルによって読み取る」「波形パラメータを自動測定する」「自動測定機能を使ってのパルス波形を測定するときの注意点」「自動測定を使って2つの入力の位相差や時間差を測定するときの注意点」「【ミニ解説】デューティ比を制御して調光するLED照明」
第9回:取り込んだ波形データへの演算(11月10日公開予定)
「取り込んだ波形を演算処理する」「取り込んだ波形にFFT演算を行う」「【ミニ解説】オシロスコープのFFT機能を使ってノイズ源の探査」
第10回:波形画像や波形データのUSBメモリへの保存(11月17日公開予定)
「オシロスコープに取り込んだ波形画像や波形データを取り出す」「オシロスコープに表示されている波形画像をUSBメモリに保存する」「オシロスコープに保存されている波形データをUSBメモリの保存する」「オシロスコープの設定状態の保存と呼出し」「波形データの呼び出し」「内部メモリやUSBメモリに保存されたデータを消去する」「【ミニ解説】USBメモリの注意点」
第11回:オシロスコープと組合せて使うさまざまなプローブ(11月24日公開予定)
「オシロスコープに接続できるさまざまなプローブ」「TBS2000Bが使えるプローブ類」「高電圧シングルエンド・プローブの用途と使用上の注意点」「高電圧差動プローブの用途と使用上の注意点」「電流プローブの用途と使用上の注意点」「低電圧シングルエンド・プローブの用途と使用上の注意点」
第12回:テクトロニクスが提供するPCソフトウェア(12月1日公開予定)
「【インタビュー】テクトロニクスが取り組むPCソフトウェアを使った効率的な開発環境の構築」

オシロスコープの前面パネルにあるキーや端子

オシロスコープの前面パネルには多くのキーやダイヤルが付いている。オシロスコープは長い歴史のある測定器であるため、基本的なパネルのデザインはアナログ・オシロスコープの時代から大きく変わっていない。

図10. 1984年発売のテクトロニクス社のアナログ・オシロスコープ(2465B)のパネル

図10. 1984年発売のテクトロニクス社のアナログ・オシロスコープ(2465B)のパネル

操作パネルは大きく分けて3つある。1つ目は電圧軸のカップリングや感度を設定する部分、2つ目は時間軸を設定する部分、3つ目はトリガを設定する部分である。この考え方は最新のデジタル・オシロスコープでも変わっていない。このためアナログ・オシロスコープを使った経験のある人にとってはデジタル・オシロの操作は容易に行える。

TBS2000Bのパネルは下図のようになっている。

図11. TBS2000B(2chモデル)の操作パネル

図11. TBS2000B(2chモデル)の操作パネル

アナログ・オシロスコープの時代は1つのキーが1つの機能に対応していたため、パネルにあるキーの数は最新のデジタル・オシロスコープのTBS2000Bに比べて多くなっている。TBS2000Bでは液晶画面上に機能を表示して選択するメニュー構造になっているためキーの数は少なくて済むが、操作をスムーズに行うには操作体系をあらかじめ理解しておくことが必要になる。

TBS2000Bの入力端子と昔のアナログ・オシロスコープの入力端子の形状は異なっている。オシロスコープにはさまざまなプローブが使えるようになっている。プローブへの電源供給や接続されたプローブと通信をするための端子が用意されている。オシロスコープメーカによってプローブ・インターフェースの構造は異なるため、メーカが用意したプローブ・インターフェースに適合するプローブを選ぶ必要がある。

デジタル・オシロスコープでは波形情報を画面に表示させるだけではなく、USBメモリに記録してPCに波形画像や波形データを移すことができる。そのためのUSBメモリポートが前面パネルにある。

オシロスコープの背面パネルにある端子

オシロスコープの背面には電源コネクタと通信用のコネクタがある。TBS2000Bは交流100V~240Vで動作するので電源プラグの形状があう電源コードを用意すれば世界のどこでも利用ができる。

測定器とPCなど制御装置を接続するためにTBS2000BではEthernetとUSBの有線通信インターフェースが標準で用意されている。USBポートにWi-Fiアダプタを接続すればPCと無線通信で接続ができる。

図12. Wi-Fiアダプタを使った無線通信インターフェース

図12. Wi-Fiアダプタを使った無線通信インターフェース

現在では利用は減ったが、測定システムを構築するのにGPIB通信が使われることがある。TBS2000BをGPIB通信する場合はテクトロニクス社から供給されているGPIB-USB 変換アダプタ(TEK-USB-488)を利用する。

TBS2000Bにはノートパソコンなどにある盗難防止のためケンジントン・ロック用の穴が用意されている。盗難防止以外にオシロスコープが机から落下して破損するのを防ぐことにも使える。

オシロスコープ内部が冷却できるようにして使う

TBS2000Bの背面パネルには通気用の開口部がある。冷却がスムーズにできるように50mm以上の隙間を取る必要がある。また通気口にほかの測定器などから熱風が吹き付けられていないことも必要である。

図13. TBS2000B(2chモデル)の内部

図13. TBS2000B(2chモデル)の内部

TBS2000Bの背面パネルには通気用の開口部がある。冷却がスムーズにできるように50mm以上の隙間を取る必要がある。また通気口にほかの測定器などから熱風が吹き付けられていないことも必要である。

【ミニ解説】プローブ・インターフェース

一般に使われているオシロスコープはBNCコネクタから信号が入力されるようになっている。標準添付の受動電圧プローブを使うだけであればBNCコネクタ入力のオシロスコープで十分である。テクトロニクス社で最もシンプルなオシロスコープのTBS1000Cの信号入力部はBNCコネクタだけである。

図14. プローブ認識機能を持たないテクトロニクスTBS1000C

図14. プローブ認識機能を持たないテクトロニクスTBS1000C

さまざまな測定対象に対応するためにオシロスコープにはさまざまな種類のプローブが接続される。高電圧差動プローブ、アクティブ電圧プローブ(FETプローブ)、電流プローブなどではプローブに電源を供給する必要がある。過去にはこれらのプローブを使うときは外部にプローブ用電源を用意する必要があった。現在でもプローブ用電源を必要とするプローブは販売されている。

最近のオシロスコープでは本体からプローブ・インターフェースを経由してプローブに電源を供給するようになっている。テクトロニクス社では1969年にプローブの減衰比を検出するだけのTekProbe LEVEL1が登場し、 1986年にTekProbe LEVEL2という高機能化したプローブ・インターフェースを持つ製品が発売された。テクトロニクスの最近のオシロスコープは2006年に登場したTekVPIというプローブ・インターフェースを採用しているものが多い。TBS2000BはTekVPIを採用しているため、電源を必要とするプローブを利用する場合は便利である。そのほかプローブ・インターフェース経由してプローブの状態把握や制御も行うことができる。

プローブ・インターフェースは各社固有の仕様であるため、メーカの違うオシロスコープには接続できない。テクトロニクスのTekVPIには下記の3つのタイプがあるため、プローブを選定する際は注意が必要である。

図15. 3つの種類があるTekVPIインターフェース

図15. 3つの種類があるTekVPIインターフェース


執筆:横河レンタ・リース株式会社 事業統括本部 魚住 智彦