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【イベント開催レポート】オシロスコープ実機体験~TechEyesOnline主催、学生向け基礎 無料体験セミナー

TechEyesOnlineは、2022年9月13日に、運営会社横河レンタ・リース株式会社 相模原テック(神奈川県相模原市)で、理工系学生向けの「オシロスコープ基礎 無料体験セミナー」を開催しました。10名の方に参加いただき、オシロスコープの基礎を学んでいただきました。 実習では、開発現場などで活躍しているオシロスコープに触れていただきました。
学生の方に計測器を触っていただき、就職後に少しでも役に立てればという想いで開催したイベントで、TechEyesOnlineにとって、初のリアルイベント開催で不慣れな点もありましたが、参加者からの質問もあり、充実した内容になりました。

イベント概要

講師紹介

宇野沢 昇(うのさわ のぼる)
大学で電子工学を専攻。横河電機でマルチメータ、電力測定器の開発に従事。 その後、システム製品開発、技術サポートを担当。
現在は、個人で磁気測定装置の委託設計、計測器の技術セミナーの講師を行っている。

セミナー内容

  1. 電子計測器とは
  2. オシロスコープとは
    • - オシロスコープの概要・使用目的
    • - 測定対象と接続方法
  3. 実習
    • - パネル操作
    • - 初期設定
    • - プローブ点検
  4. オシロスコープの基本操作
  5. トリガと測定モード
  6. 実習
    • - トリガの基本操作
    • - 単発現象の測定

今回のセミナーは「オシロスコープの測定の入門編」です。“電源投入からトリガを使った測定まで”を、順序立てて約2時間で講義・実習します。特長は次の2つです。

  • 講義テキストで測定原理・機能を説明し、実習シートの具体的な課題を実機で測定する。座学だけではなく実機による実習で理解を深める。
  • 企業の技術者が一番使っているミドルクラスの中でも高性能モデル(周波数帯域 1GHz)の現役機種を使った実習。最先端の機種の操作が習得できる。

実習機材

オシロスコープ(ミックスドシグナルオシロスコープの現役モデル)
周波数帯域:1GHz、チャンネル数:4、サンプルレート:5GS/s(2ch)、垂直軸分解能:8ビット(高分解能モードでは12ビット)、レコード長:2M
プローブ(オシロスコープに標準添付されるパッシブプローブ)
帯域幅:DC~500MHz、減衰比:10:1、入力抵抗:10MΩ(1MΩ終端時)、ケーブル長:1.2m
テストボード(発振器)
出力端子TP2:方形波(20MHz)、TP16:高速の単発信号(ボタンを押すと50nsのパルスが出力される)、TP6:間欠的なグリッチを含む高速の方形波(50nsのパルス列の間に10nsのグリッチが潜んでいる信号)

座学と実習をミックスしたセミナー

13時00分~ TechEyesOnline事務局O島の挨拶、TechEyesOnlineサイトの説明

開催の挨拶、およびコロナ禍での開催のため、その対策と注意事項の説明をしました。

O島による挨拶

13時10分~ 講義開始

はじめは、テキスト使った講義で、電子計測器についての概要、続いて主題のオシロスコープについての説明を行いました。何を測定するための計測器なのか、使用目的から丁寧に説明していきます。

真剣に講義を聞いている参加者

14時20分~ 講義&実習

講義テキストとは別に用意した、実習シートを見ながら実習スタートです。以下、8つの実習を準備しました。

  • 実習1 初期設定と動作確認
  • 実習2 プローブ点検
  • 実習3 垂直軸と水平軸の操作
  • 実習4 トリガの基本操作
  • 実習5 トリガモードと単発現象の測定
  • 実習6 拡張トリガ パルスモード
  • 実習7 高速信号の測定
  • 実習8 直流信号の測定 (入力結合)

現在のデジタルオシロスコープは電源をOFFにしても、最後に使ったときの設定状態を保持していて、次に使うときは電源ONするだけで、一から設定をし直す必要がありません(多くの機能を搭載しているので、ユーザの利便性に配慮している)。ただし、セミナーでは一から設定をしていくことを学ぶので、まず初期設定について教えます。
操作部の端のほうに、[Default Setup]というボタンがあります。これを押すと現在の設定をクリアし、工場出荷時の初期状態に戻ります。また[Auto Scale](または[Autoset])ボタンを使うと、入力信号に合わせて時間軸(水平軸)と電圧軸(垂直軸)のレンジを自動設定してくれます。オシロスコープに内蔵している方形波信号を使い、プローブの点検をするときはこの自動設定ボタンが便利です。

操作部の端に[Default Setup]と[Auto Scale]ボタンがある

これらの操作は実習シートに従っていれば良いのでスムーズに進みますが、実習機材(発振器のテストボード)の信号を、トリガを設定して測定する実習5あたりから難しくなってきます。「垂直軸スケールを200mV/div、水平軸スケールを50ns/div、トリガレベルを300mVに設定」、を実現するには操作部のそれぞれの箇所(水平軸設定ゾーン、垂直軸設定ゾーン、トリガ設定ゾーン)の適切なボタンやつまみを操作しないといけません。直前の座学でそれらを説明していますが、いざ実機を前にすると、オシロスコープを定期的に使っていない人には、ボタンを探すだけで一苦労です。
設定が終わっても、トリガはモードを選ばないと波形観測ができません。モードはそれぞれのボタンがあるのではなく、ソフトキーで表示を出して選択します。初心者はたくさんある操作部のボタンのどれを押すのか迷ってしまいます。

オシロスコープを操作する参加者

実習中も積極的に宇野沢先生に質問をする参加者

実習シートに書かれた波形が観測できないのはなぜか、どの操作を間違ったのか、宇野沢先生と副講師2人が参加者を後ろから見ながら助言して回ります。「オシロスコープの原理は理解していたが、実機を操作したら上手くできず、理解が不十分だったことを再認識した」という感想も聞かれました。
実習6の拡張トリガで終了の予定でしたが、参加者の実習意欲が高く、用意した実習8まですべて行いました。

[Meas]機能やエリアジングの実習

15時40分~50分 修了証書の授与

参加者全員の10名に修了証書を宇野沢先生から授与し、無事にセミナーが修了となりました。

授与の様子(左)と修了証書(右)

授与の様子(上)と修了証書(下)

実習が高評価

今回のセミナーに参加いただくにあたり、事前にオシロスコープに対するレベルチェックを行い、セミナー内容を調整したこともあり、概ね満足いただけたようです。特に実機による実習は好評でした。
一部となりますが、参加者と講師のセミナー終了後の感想を紹介します。

参加者
  • 研究室の先生から今回のイベントを紹介された。実習で使ったオシロスコープは、いま実験で使っているのと同じモデルで操作経験があり、実習内容はほとんど良く理解できた(欲を言えばもう少し内容が多くてもよい)。面白いセミナーだった。
  • 大学の研究では実験で計測することが多く、その悩みを解決できたらと思い参加した。実演を踏まえた内容で、十分理解できたので、セミナー内容については満足している(この参加者は、セミナー終了後に、○○測定の上手なやり方、測定ノウハウについて講師に個別に相談していた)。
  • 友人から誘われ、計測器は使っているので勉強のため参加した。2時間で最低限の知識が習得できた。ただし時間があれば後半をもう少し詳しく聞きたかった(最後の方は半分くらいしか理解できなかった)。大学では10年前のモデルを使っているので、最新機種を使えてよかった。
  • 1年生のとき実験で使うので、オシロスコープは基礎から習った。今は4年生だが、すっかり忘れている。就職する前にもう一度学びたいと思い参加した。セミナー内容はだいたい理解でき、オシロスコープについて自信がなかったが、理解が深まった。
  • オシロスコープを使ったことはあるが、教わった通りの決まった操作しかしたことがない。いちから教えてもらえるので申し込んだ。実習をふまえて学ぶことで理解が進んだが、全部は理解できなかった。
講師(宇野沢先生)
一般のオシロスコープ基礎入門セミナー(たとえば横河レンタ・リースが開講している技術トレーニングの定期コースなど)ではやらない、実使用に近い実習を今回は入れました。オシロスコープの操作経験が少ない参加者は実習課題が多少難しかったようですが、(理解が早くて)実習中により深い質問をする方もいました。テキストには載せていませんが、最後にコンピュータとの通信を実演すると、非常に興味を示して活発な質疑ができました。

初のリアルイベントを終えて

TechEyesOnlineにとって、初めてのリアルイベント「オシロスコープ基礎 無料体験セミナー」の開催となりましたが、当社が行っている技術トレーニングのノウハウを活用し、満足度の高い結果を得ることができ、無事に終えることが出来ました。
次回も開催してほしいといった声に応えられるよう、引き続き運営してまいります。

※ 

参加者は受付時に検温を行った。セミナー会場入室時は手を消毒し、マスクをして隣の参加者と1m以上離れた席に座った。講義は1時間おきに休憩し、窓を開けて換気するなどのコロナ対策の元に実施された。


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