技術情報・レポート

2017/11/07

音の測定・騒音計測

今回のテーマは、とても身近な“音”です。

● 音

音は空気の振動です。音楽での強弱(ff~pp)は、T&Mでは音の大きさ(音圧レベル)の大小になります。音の高低(ソプラノ、アルト、バリトン、バス)は、T&Mでは周波数が高い・低いという表現になります。人間の耳に聞こえる音は、周波数20Hzから20kHzといわれています。

〔参考〕音楽でチューニングする音は、440Hzです。

人が感じる音の大きさは、物理的な大きさとは異なります。音の大きさは騒音計(図1)で測ります。2通りの測り方があります。物理量としての測定(フラット)と、人間の耳の聞こえ方に合わせた測定(A特性)です。人の耳に最も良く聞こえるのが4kHzです。それより高い音・低い音は、物理的な大きさよりも小さく感じます。人の聴覚をシミュレートするのがA特性の測定です。特別な用途以外は、A特性で測定します(図2)。

図1. 騒音計の外観 リオン NL-32

図1 騒音計の外観 リオン NL-32

図2. 測定画面例( 音の大きさ)(A特性)

音の大きさの単位はdB(デシベル)です。一般の人が聞く機会がある音は、30dB~110dBの範囲でしょう。小さい方は、郊外の住宅地の深夜で30dB前後。大きい方は、自動車のクラクションを2mの距離で聞くと110dBです。大きな音を長時間聞き続けると、難聴(聴力低下)になります。聴力の低下は、まず4kHzに症状が表れるので、健康診断では医用測定器の「オージオメータ」を使い、周波数1kHzと4kHzの検査をします。

● 騒音とは

騒音とは、”自分で聞きたいと思わない音”です。市町村などの自治体に寄せられる苦情のNo.1は、騒音です。騒音規制法や条例で規制されます。

大規模な社会問題になるのが空港や鉄道、高速道路です。空港周辺では、飛行機の離着陸時の騒音が問題になります。高速道路や新幹線では防音壁が設置されています。これらの測定は、法令への適合状況を調べるのが目的です。定期的、または一定期間連続で測定します。

音としては聞こえないけれど影響が大きいのが、極低周波音(1Hz~20Hz)です。不快感や圧迫感、血圧などの影響があります。原因は道路高架橋の継ぎ目、工場などの大型送風機・ボイラー、風力発電の風車などです。低周波音測定用の騒音計で測ります。

● 使用目的・場面

環境騒音以外では、機器の音が感性品質として問われる場面で測定されます。自動車や家電製品、プリンターのように、ユーザーがじかに触れる製品では、動作時の静かさ(音の大きさ)や音の質(周波数成分)が重要な品質になります。エアコン、冷蔵庫、洗濯機、掃除器などのカタログを見ると、動作時の音の大きさが記載されています。高級車には高級車らしい音質が求められます。設備や機器の点検整備では、音を調べることで故障や不具合の兆候を見つけたりします。

● 音の測定器

図3. 測定画面例(周波数分析)(1/1オクターブ)

騒音計は音(空気の振動)という物理現象を測ります。騒音計には計量法の区分で、普通騒音計と精密騒音計の2種類があります。大きな違いは周波数範囲です。普通騒音計(20Hz~8kHz)、精密騒音計(20Hz~12.5kHz)。

音には音色があります(例:笛とピアノ)。音色の違いに相当するのが周波数の成分です。音の成分を調べるには、オクターブバンド型の周波数分析器を使います。1/1オクターブと1/3オクターブの切り替え式で、騒音計の内蔵オプション形式が増えてきました。周波数により対策方法が異なるので、騒音の対策には、周波数成分を知ることが大切です(図3)。

〔参考〕騒音計で使う“オクターブ”と音楽の“オクターブ”の意味は同じです。1オクターブ高い音は、周波数では2倍の周波数になります。ラの音(440Hz)に対して1オクターブ高いラの音は880Hzです。

● 測定例・ピストンホンでの校正

図4. 測定時(三脚使用、地上1.2m の高さで測定)図5. ピストンホンでの校正

騒音計は、屋外の現場で使用されることが多いので、実験室用の測定器とは外観が異なります。先が細くなっている外形は、本体での音の反射による影響を軽減するためです(図1)。

現場では、三脚を使用して地上1.2mで測ります。風の影響をを防ぐために付属のウインドスクリーンをマイクロホンにかぶせます。ウインドスクリーンはボール状のウレタンフォームで、マイクロホン先端の保護にも役立ちます(図4)。

騒音計の校正には、ピストンホンを使います。ピストンホンで所定の周波数、所定の大きさの音を発生させて、それを騒音計で測定・調整します。マイクロホンの先端をピストンホンに差し込み校正します(図5)。



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