技術情報・レポート

2017/09/28

アナライザあれこれ 第3回「FFTアナライザ」

第3回は振動や音響などの低周波信号の分析に活躍するのが ”FFTアナライザ” です。


① FFTとは

図1. FFTアナライザ 小野測器 CF7200

FFT(Fast Fourier Transform)は、1965年にCooley とTukeyによって発表された演算方法で、フーリエ変換(Fourier Transform)をデジタル的に行う手法です。FFT以前の方法と比較して飛躍的に高速化(短時間化)されたので「Fast」が冠されました。

FFT演算手法の登場によって、初めてフーリエ変換が実用的な分析手法になりました。日本では1980年ごろから普及し始めました。主要メーカ-は小野測器、リオンです。自動車分野では小野測器が多く、設備診断・プラントメンテナンス分野ではリオンが多く使われています。

信号に含まれる周波数成分を分析する測定器が周波数分析器です。FFTアナライザはFFT方式の周波数分析器です。前回紹介したスペアナは、ヘテロダイン方式の周波数分析器です。FFT分析器の上限周波数は100kHz程度なので、振動、音響や電力などの周波数分析に使用されます。前回紹介したスペアナは、無線などの高周波(MHz、GHz)で利用されます。

FFT分析器には1CHモデルと2CHモデルがあります。2CH以上のモデルでは、CH間演算により複雑・多用な解析ができます。今回は、基本である1CHのFFT分析について話します。


② FFT分析で分かること=信号の特徴の抽出

図2. 信号の特徴の抽出

FFT分析結果(周波数分析結果)は、周波数の視点から信号の特徴を抽出します。正弦波と三角波を比べてみます。(図2参照。上段が時間波形、下段がFFT分析結果)

2種類の信号の違いは、時間波形よりもFFT分析結果(スペクトラム)のほうが、より明確・定量的に把握できます。時間波形では、差があるように見えないほどの小さな差しかない場合でも、FFT分析結果ならば、その差が明瞭に見えます。不具合が小さく、まだ兆候のうちに発見できるので、工場やプラントにある回転機器の点検や自動車のエンジンの不具合診断に利用されます。図3に異常振動の解析例を示します。

図3. 異常振動の解析例


③ 画面

入力波形、分析結果、設定画面の3種類あります。画面を分割して、入力波形(時間波形)と分析結果を同時に表示することもできます。

入力波形の画面は、オシロスコープと同様な表示です。横軸が時間で、縦軸が振幅の大きさ(V)です。分析結果の画面は、周波数分析結果(スペクトラム)は、スペアナに似たグラフで表示されます。横軸が周波数、縦軸が周波数成分の大きさです。分析周波数範囲は、0 Hz(直流)から設定した周波数レンジまでです。

設定は、入力信号の大きさやトリガの設定があります。これらは、オシロスコープと同様な内容です。周波数範囲の設定は、上限周波数の指定だけです。分析目的に応じて、分析条件や結果の表示方法、アベレージングを設定します。


④ 窓関数

FFTアナライザに特有の設定項目が窓関数です。ポピュラーなのは、方形(Rectangler)とハニング(Hanning)です。同じ信号を分析しても、適用する窓関数が異なると、分析結果(スペクトラムのパターン)が大きく異なるので、測定する信号や分析目的によって、窓関数を使い分ける必要があります。(図4参照。同じ信号を異なる窓関数で分析した結果)

図4. 窓関数による違い


⑤ まとめ

FFTアナライザと一緒に使用されることが多いのは、振動計(チャージアンプ、振動ピックアップ、インパルスハンマ)です。測定器としてのFFTアナライザは限られた分野のものですが、分析手法としてのFFTは計測だけでなく通信などにも幅広く使用されています。次々と開発されるデジタル信号処理技術の多くはFFT手法がベースとなっています。



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