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計測・測定の基礎 | 時間・周波数を測る

周波数カウンタでの測定

信号の周波数や、2つの信号の時間差を計測することはオシロスコープでも可能です。しかし、オシロスコープは波形形状の観測を主眼においているため、時間計測の確度は一般的にあまり高くありません。手軽に高確度で計測するには周波数カウンタを使います。

写真1. 周波数カウンタの例

キーサイト・テクノロジー 53230A

キーサイト・テクノロジー 53230A

周波数カウンタは内部に高精度のクロックを内蔵しています。このクロックを分周することで、例えば1秒間開く正確なゲート信号を作ります。入力された被測定信号は波形整形されてこのゲートを通り抜けます。その数を「カウント」すればイコール、周波数になります(図1)。

図1. 周波数測定の原理

図1. 周波数測定の原理

低い周波数の測定ではとんでもなく長いゲート時間が必要なので、逆に被測定周波数の1周期でゲートを開き、内部クロックを通過させ、その数をカウントすれば周期がわかります。

周波数測定の確度は、内部クロックの発振周波数の確度、安定性に依存しますので、周波数カウンタの仕様を超えた高い確度の周波数測定には、外部レファレンス入力から周波数確度の高い信号を入力して測定します。このような場合、信号はルビジウムを使った基準信号発生器(10-12オーダーの周波数確度)などが使われます。

周波数カウンタは周波数や周期を測るだけではありません。2つの信号入力をもつ製品では2信号の時間差を高い確度で測定できます(図2)。

図2. 時間間隔測定の原理

図2. 時間間隔測定の原理

オシロスコープでの測定

オシロスコープで正確に2信号間の時間差を計測するには、幾つかの方法があります。

画面で読み取れる程度の分解能で良ければ、カーソルを使って簡単に読み取れます。分解能は0.05目盛り程度です。

図3. オシロスコープのカーソルを使った方法

図3. オシロスコープのカーソルを使った方法

勿論「自動パラメータ演算機能」も利用できます。
msオーダー、ないしはそれ以上の長時間の時間差の測定は、レコード長の制約からサンプルレートが低下し、高確度で時間差測定ができません。

図4. 自動パラメータ演算機能

図4. 自動パラメータ演算機能

そこでオシロスコープの遅延機能を使い、トリガ・ポイントから任意の時間遅らせ、高速サンプルで取り込む手法があります。しかし遅延時間はオシロスコープの内部クロックを利用しているため、どうしてもクロック・ジッタの影響を受けてしまいます。オシロスコープの時間軸確度はppmオーダーなので、1秒の遅延時間を設定するとで数us程度の誤差、ジッタを生じてしまいます。

図5. オシロスコープの遅延機能

図5. オシロスコープの遅延機能

正確でジッタの無い遅延を実現するには、前述の10-9 ~ 10-11の周波数確度を持つルビジウムを使った基準信号発生器を外部リファレンスとして使用します。

図6. 高精度外部リファレンスを使用

図6. 高精度外部リファレンスを使用

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