セミナー情報・動画

2018/01/18

「出会いと学びを楽しんでいます」実践技術トレーニング 講師インタビュー


多様な要求に対応したり、例外的な事象に遭遇したりした時こそ、基礎や理論が大切


Q:受講者の反応(フィードバック)はありますか?

関井氏:受講前のスキルチェック、コース開始からの質疑、受講後の理解度確認テストとアンケート、そして職場に戻られてからの質問と、さまざまな機会で フィードバックを頂きます。 だいたい経験則で整合が取れるのですが、驚くこともあります。例えば、ときおり居眠りをしていて質問もしなかった方が、最後のテストはしっかり満点だとか。また、笑顔で熱心に取り組んでいただいたのに、アンケートの回答は満足度が低く、改善のご意見満載とか。このときは少し落ち込みましたが、まだまだ精進しなくてはといけない、と気を取り直しました。

YLS関井氏4

高周波_基礎コースの風景

質疑に関しては、日本人だけのクラスだと、講義に割り込むのはいけない、他の受講者には関係なさそうな質問はしない、と、私たちの世代が慣れ親しんだ「和の心」が自然にその雰囲気を作ります。その良し悪しはともかくとして、とても若い方ばかりのクラスでも、それがあまり変わらないことに驚かされます。伝統は簡単には変わらないのですね。しかし海外の方や、留学経験があるのだろうなという方が入ると状況は違います。次々に飛び出す質問への対応とタイムキープとでダブル冷や汗です。

Q:最近の市場動向や技術トレンドなど、感じることはありますか?

関井氏:やはり自動運転やAI、IoTといった技術開発は興味深いですね。世界中で競い合って実用化が進み、それらがもたらす利便性ばかりが強調されますが、さまざまな危うさも感じます。新しいテクノロジーであればあるほど、普及段階で安全性に満足なコストと検証の時間がかけられなくなり、規制や対策が検討されるのは問題が起きてからという傾向が見られるからです。

ハードウェアだけの領域ではSiC(※)などの新材料を使った半導体でしょうか。EVのインバータなどが小型軽量化できるのは福音でしょうが、熱密度が上がって他の部品の信頼性はどうなのか、スイッチング周波数を競ってEMIの問題は置いていかれないか・・・など心配ばかりですね。杞憂といわれればそれまでですが(笑)。

実践技術トレーニングで計測器のコースを担当させていただくようになって、計測器の進化には驚かされます。そもそも計測器を使って評価やトラブルシューティングを行っていると、この計測器やそれを支えるデバイスを開発したエンジニアは雲の上の存在のように感じることがあります。
※:SiC:Silicon Carbideエスアイシー、炭化ケイ素、現在の半導体はSi(シリコン)を原材料にしているがSiCはSiより性能が良いためパワー半導体を小型化できる。数年前から商用製品が出はじめている。

Q:後進の若い技術者へメッセージをお願いします

関井氏:エレクトロニクスの進歩は常に加速され、次々と新しい技術やアイテム、あるいはコンセプトが生まれています。こうした中で中堅と呼ばれるようなエンジニアになると、日々忙殺されることが当たり前になるかもしれません。私はそのような時代に手探りで問題の解決に明け暮れ、多くの時間を費やしました。職種が変わってじっくり勉強できるようになると、なぜ手探りに頼っていたのかと愚かしく思いました。

まず何か壁にぶつかったら、基礎的なところから的確な知見を習得することはとても大切です。現在は半導体部品や計測器もソリューション志向になり、設計ではさまざまなツールが利用され、より複雑な製品を効率的に開発することができるようになっています。しかし、多様な要求に対応したり、例外的な事象に遭遇したりした時、これらの中身や理論を理解していないと、泥沼にはまることになりかねません。ベンダーのセミナや専門書籍などで、常に学習する習慣を身に着けていただきたいと思います。

YLS関井氏5

関井氏が作成した教材(RLC回路)を使った実習

さて、「設計とは妥協の産物である」というフレーズを聞いたことがあるでしょうか。分野を問わず、設計には理想と言うべき完成形があっても、それでは競争力に欠けるので、エンジニアは泣く泣くあちらこちらを削ぎ落として世の中に送り出しているということです。ご自身が設計する物の理想を求めて下さい。そして何をどの程度なぜ妥協したのかを意識します。これは実際に最適な設計を速やかに進めるバランス感覚を培い、問題が発生した時に適切に対処できるようになります。


次ページ、「受講者インタビュー」に続く...

タグ