2022/06/27
自動車のトランスミッション (変速機) はエンジンの動力を車輪に伝える主要な機能です。内燃機関はエンジンが一定回転数範囲でないと安定した特性にならないため、トランスミッションによって、エンジン回転数が最適な領域となるように設定されています。車両の電動化において、特にピュアEV車ではトランスミッションが搭載されないことが主流となっています。しかしながら、今後、トランスミッションは基本機能である「変速」だけでなく、燃費改善や車両の走行性能を向上させるために駆動モータとの連携も必要になってくるでしょう。本稿では、自動車用のトランスミッションに関する基本的な技術を紹介します。まず、トランスミッションの歴史を述べ、その後に、トランスミッションの原理、基本構造を説明します。代表的な方式であるMT (Manual Transmission) でクラッチの構造や作動イメージを図解します。その他の方式としてAMT (Automated Manual Transmission) 、DCT (Dual Clutch Transmission) 、ステップAT (Automated Transmission) 、CVT (Continuously Variable Transmission) についても述べます。各方式の特徴的な技術としてシンクロメッシュ機構、プラネタリーギヤセット、トルクコンバータ、トロイダル式CVTおよびTCU (Transmission Control Unit) などを説明します。最後にトランスミッションの開発で使用される計測器を紹介します。