2019/03/19

【編集後記】130年ぶり質量単位キログラム定義改定 !

皆さんこんにちは!
TEO編集後記 初登場の「こじ」です。

2018年11月に新聞を見ていたらこんなニュースが「130年ぶり質量単位キログラム定義改定 2019年5月20日より新定義を新たな基準に」

新しい定義で日常測定している物の測り方が変わってしまうのか?一大事!!

ということでお勉強してみることにしました。

■現定義:
国際キログラム原器(白金90%イリジウム10%の合金製)と等しい質量
■新定義:
プランク定数によって再定義される。

現定義での原器は厳重に保管されているが、長期的な表面汚染による影響でわずかな変動があることが明らかになったそうです。そこで、人工物に頼らない物理定数に基づいた定義(プランク定数)に改定すべく研究が進められ、定義変更決定となりました。

産業技術総合研究所に保管されているキログラム原器

産業技術総合研究所に保管されているキログラム原器
出典:国立研究開発法人産業技術総合研究所ホームページ

定義変更のニュースを聞いて日常生活が変わってしまうのか!とビックリしましたが、日常生活に影響が出てしまうことがないように定義づけされたそうで・・・一安心。
それにしても新定義になっても生活に影響がでないように定義変更するなんて!この定義変更に関わった技術者の方々は沢山の研究をされ相当の努力をされたことでしょう。頭が下がります。

キログラム定義変更のニュースがきっかけで、普段なにげなく使っている単位について無知だったと実感し、知識のない私でも分かりやすい物はないかなぁ。と探していると・・・一冊の本?(マンガ)に巡り会いました。

『ザ☆単位のマンガ』

ザ☆単位のマンガ

出典:株式会社大和書房ホームページ

単位がかわいらしいキャラになって登場し、1つ1つの単位の基本的なことはもちろん単位が生まれた背景やどのように定義が決まったかなど詳しく書かれています。

単位だけパッと聞いても、どのくらいの物なのか想像しにくいと思いませんか?
この本では長さ単位や質量単位の比較を紹介するページがあり、日常的に使われている長さや質量の単位がどの程度のものなのかイラストと共に書かれているのでイメージしやすいです。
法則・定義もイラストで書かれているので頭に入りやすく、(文字や数字ばかりだと頭に入りにくいですもんね。)楽しみながら単位について深く学べました。単位とは奥深い・・・。

それにしても昔の人は、今のように進んだ技術や便利な道具も無い中で地球の長さを元にメートルの定義を決めたりと偉大さを実感したしだいであります。

日本のキログラム原器は産業技術総合研究所にて保管されており、3つの扉を開けさらに金庫の中に管理されているそうです。(原器は透明なガラス容器に入っている)厳重ですね。

昨年はレプリカのキログラム原器と定義改定で新たなキログラムの定義の基となったレプリカのシリコン球が展示されるイベントもあったようです。
触ってキログラムとはどのくらいなのか体験してみたかったです。残念・・・

2019年5月20日はkg:キログラムの定義変更と同時にA:アンペア K:熱力学温度 mol:物質量の定義変更もされ、重大な年と言えます。重大な年だからこそ皆さんもこの本を読んで単位の基礎知識を身につけませんか?

単位 現定義での課題 新定義
質量 国際キログラム原器という器物に依存されているため長期安定性に課題がある。
プランク定数hを正確に6.62607015×10-34Jsと定めることによって設定される。
電流 導体間に流れる電流が及ぼす力という定義であるが、再現性を優先させるため電圧(ジョセフソン効果)抵抗(量子ホール効果)の量子現象より現示されており厳密には定義に従っていない。 電気素量eを正確に1.602176634×10-19Cと定めることによって設定される。
熱力学温度 水の三重点で定義されているため、将来的に極高温、極低温での温度測定の不確かさの低減の限界がある。 ボルツマン定数kを正確に1.380649×10-23J/Kと定めることによって設定される。
物質量 物質量は粒子の数という定義だが、炭素12の質量を介して間接的に定義されており物質の種類と質量に依存されている。 1モルは正確に6.02214076×1023の要素粒子を含む。この数値はアボガドロ定数である。

(こじ)

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