計測関連用語集

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詳細説明

首都圏パナソニックFA

読み方:

しゅとけんぱなそにっくえふえー

カテゴリー:

#オシロスコープ #テレビ・オーディオ測定器

1980年代にあった、松下通信工業株式会社の計測器の販売会社。松下(パナソニック)は計測器から撤退してしまったので(日立電子と同じように)計測器のラインアップや組織(開発部門や販売会社)の概要は不明。松下通信工業(略称:松下通工、後のパナソニックモバイルコミュニケーションズ株式会社、2022年に解散)は松下電器(現パナソニック)の関連会社で、通信機器(携帯電話や無線基地局など)を主力事業にしていたが、計測器もつくっていた。オーディオ関連測定器、ラジオやTVなどの無線通信用測定器、低周波の測定器(RC発生器カウンタデジタルマルチメータ、電圧計など)をラインアップしていた。
松下電器は第二次世界大戦前に(現在のトリガ掃引式以前の)強制同期式オシロスコープを販売していた計測器の老舗である。アナログオシロスコープ(VP-5260A、VP-5610A、VP-5562A 20MHzなど)や指示計器タイプのモデルもつくっていた。老舗ではあるが、2000年頃にはすでに古い時代の機種群が多く、時代にマッチした新しい計測器ではなくなっていた。松下グループの事業再編の中で、計測器は生産中止になった。

オシロスコープと映像関連測定器のラインアップが豊富なTektronixs(テクトロニクス)は、ソニーと出資比率50対50の合弁で、ソニー・テクトロニクス株式会社を設立した(1965~2002年)。1990年代まではソニー、松下という日本を代表する家電メーカが電子計測器に関わっていたが、高度経済成長を支えた計測器も1990年代以降には成長が鈍化した。2000年代には、光海底ケーブルのバブルによる光通信測定器の売上激減や、国産携帯電話メーカの衰退、ICE(マイコン開発支援装置)のフルICEからJTAGへの推移による市場規模の激減など、計測器市場に大きな変化があった。
首都圏パナソニックFAはエリア別にあった販売会社の1社だが、詳細は不明。現在の松下の計測器(形名VP-〇〇〇〇)の保守会社は「パナソニックFSエンジニアリング株式会社」になる。同社はJCSS事業者で、計測器の校正事業を行っている(2020年1月現在)。
「RC発振器VP-7201A」の取扱説明書に、連絡先として「パナソニックモバイルコニュニケーションズ株式会社の横浜市都筑区佐江戸町」が記載された冊子がある(発行年月は不明だが2003年~2022年)。表紙には「電子計測販売会社」として「パナソニックFAシステム株式会社」の全国の営業拠点が記載されている。同社の本社(品川区西五反田)には首都圏支店があり、首都圏パナソニックFAは(2003年以降に)同社の首都圏支店として統合されたと推測される。

松下通工や日立電子の計測器は、それなりに歴史がある。松下、日立ともに老舗の計測器メーカといえる。だたし、撤退してしまったので、今ではどんな機種群がラインアップされていたのか全容がわからない。両社ともアナログオシロスコープのメーカとして、岩崎通信機と競争していた(今では直流電源の豊富なラインアップで有名な菊水電子工業も、1970年頃にはアナログオシロスコープが主力製品だった)。1980年頃の理工系の学校の実験機材として、panasonic(松下通工)やhitachi(日立電子)のロゴが付いたアナログオシロスコープはめずらしくなかった。iwatsu(岩崎通信機)よりもパナソニックや日立のほが圧倒的に知名度があるに決まっている。アナログ式のリレー試験器といえば京浜電測(現デンソクテクノ)だったが、デジタル式になってからはエヌエフ回路設計ブロックがトップメーカである。計測器がアナログからデジタルに変わったとき、計測器メーカも様変わりしている。
松下通工と同じようにテレビ・オーディオ測定器(映像の計測器)が得意だった目黒電波測器は、オーナーが2度変わり、自己破産もしたが、現在は株式会社計測技術研究所の目黒電波事業部として健在である。

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