絶縁抵抗計
(insulation resistance meter)
絶縁抵抗(高い値の抵抗)を測定するものだが、大きく2種類ある。まずメガーについて説明する。
電力回路の絶縁抵抗試験に使われる保守点検用の測定器。俗称で「メガー」と呼ばれる。屋外で使う現場測定器なので、ハンドヘルド(ハンディ)の形状しかない。アナログ式とデジタル式がある。抵抗測定器の代表はデジタルマルチメータ(DMM)だが、絶縁抵抗計は内部に高電圧の発生回路を内蔵している点が大きな違い。DMMがDUTに与えるのは2~9V程度だが、絶縁抵抗計は25~1000Vを印加できる。火災や漏電事故を防止するために、だいたい1MΩ(メグオーム)以上の高抵抗を測定して、電気機器の絶縁状態をチェックする。多くの計測器がアナログ(指針式)からデジタル(数値表示)に変わっていく中で、メガーはいまだにアナログ式が圧倒的に多い。正確な抵抗値を測定するのではなく、針の振れ具合を目視して絶縁の良否判定をするほうが効率的に検査ができるためである。ただし、デジタル式ではLED表示を指針のかわりにしたり、ブザー音の強弱で抵抗値を知らせることができるなど、少しづつデジタルが広まっている。若い作業員はデジタルに違和感がない傾向がある。市場で使われているのはまだアナログが多いが、今後デジタルに入れ替わっていく傾向である。抵抗を測定しているので当サイトではカテゴリー「回路素子」に分類しているが、絶縁の試験(点検)に使われる、可搬型の現場測定器であるため、LCRメータなどとはアプリケーションがまったく異なる。メーカでは共立電気計器が世界中に輸出をしている。日本では日置電機や三和計器という現場測定器を多くラインアップしているメーカのシェアが高い。
もうひとつ、ハンドヘルドではなくベンチトップのIRメータやエレクトロメータも絶縁抵抗を測定する。IRはInsulation Resistance(絶縁抵抗)の略記で、IR メータは「絶縁抵抗 計測器」(絶縁抵抗計)である。エレクトロメータは電荷や電流などの小さな電気量を測定するものだが、微少電流の測定は高抵抗(絶縁抵抗)の測定と原理が同じである。エレクトロメータは絶縁抵抗測定ができるが、最近はIRメータという名称がでてきていて、従来の微少電流より絶縁抵抗にスポットがあたり始めている。絶縁抵抗計といえばメガーを指していることが多かったが、今後はIRメータを指している場合も増えると推定される。日置電機の絶縁抵抗計の形名はIR3455など、頭のアルファベットはIRである。