計測関連用語集

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詳細説明

多チャンネルオシロスコープ

読み方:

たちゃんねるおしろすこーぷ

カテゴリー:

#オシロスコープ

通常のオシロスコープ(オシロ)の入力数は4(または2)チャンネルだが、レコーダ(やデータロガー)は8(または4)チャンネル入力が多い。1980年代に後発でオシロ(デジタルオシロスコープ)に参入した横河電機(現横河計測)は、老舗の記録計(レコーダ、ロガー)メーカで、1993年に8chオシロスコープDL5180を発表した。当時のオシロは最大4チャンネルが標準で、世界オンリーワンの(ベンチトップスタンドアロンの1筐体の)多chオシロだった。CDなどの回転体、メカ機構の技術者をユーザにしていた同社は8チャンネルモデルの需要を早くから得ていて、その後もモデルチェンジを続け、2020年夏に5世代目の8chモデルとしてミックスドシグナルタイプのDLM5000シリーズを発表している。
アナログオシロスコープ時代のオシロのトップブランドである岩崎通信機も2020年秋に高分解能オシロスコープ(12ビットADC)の8chモデル、DS-8000シリーズを発売した。高分解能オシロスコープを世界初で発売したテレダイン・レクロイもWaveRunner 8000HDシリーズに8chモデルがある。テクトロニクスも2017年頃に発売した5シリーズMSOや6シリーズMSOに8chモデルがある。とうとう2020年には(岩通のDS-8000と同じ11月に)キーサイト・テクノロジーも8chモデルをラインアップしたInfiniium EXRシリーズを発売した。主要海外オシロメーカが8chモデルを発売したことで、横河計測がオンリーワンではなくなり、「多チャンネルオシロスコープ」というジャンルが確立した。当サイトでは2021年に各社(主要5社)の代表機種を比較をした記事を作成して公開している。

2007年のテクトロニクスのMSO4000シリーズ発売と、その後の各メーカのオシロ品名へのMSOの波及、2012年のレクロイ(現テレダイン・レクロイ)の高分解能モデルの発売とその後のオシロ各社の参入(※)、2017~2020年のオシロ各社の多チャンネル(8ch)オシロのリリース、と近年のオシロは新しいカテゴリ(ジャンル、形態)が生まれている。2022年6月にテクトロニクスは3シリーズMSOの下位モデル「2シリーズMSO」を発表した。外観は通販で売っている10万円以下の簡易オシロであるタブレットモデルだが、周波数500MHzまでの組込みシステム開発をターゲットとしている。省スペースモデルのDLMシリーズで高シェアな横河計測などにタブレットオシロが広がる予感を感じさせる。

(※)横河計測はスコープコーダという8ビット以上のレコーダオシロを1997年からラインアップしているので、高分解能オシロはつくってこなかった。ところが2020年5月発売のDL5000(8ch/8ビット)を、2023年5月にDL5000HD(12ビット)に改良した。これで主要オシロメーカの多チャンネルオシロはすべて高分解能になった。

計測器情報:
岩崎通信機 DS-8000キーサイト・テクノロジー EXRテクトロニクス MSO58
テレダイン・レクロイの例横河計測 DLM5000
多チャンネルオシロは品名には出てこないが、シリーズの代表画像には8chタイプの写真を使っていることが多いので、画像から判断することができる(確実なのは1モデルごとに仕様を確認することである)。

参考記事(以下)は、トップページに比較表と各社モデルの一言コメントを掲載。2ページ目以降の各社モデル紹介は、各メーカが何を特長として紹介しているかに注目。たとえば「プローブのラインアップが多い」など、各社の一番の特長を(多チャンネルモデルだけにフォーカスするのではなく)紹介している。主要オシロメーカのラインアップやカバーする範囲など、各社の特長が伺える。
2010年6月にベンチ・ラボユースのモデルでオシロスコープに参入し、2018年6月には広帯域モデルも揃えてオシロ3大メーカに伍する構えのローデ・シュワルツは、2022年発売のR&S MXO4に始まる新世代オシロシリーズの展開として、2023年11月1日にR&S MXO5(同社初めての8チャネル・オシロスコープ)を発表した。これで8chモデルは海外4社、国内2社の主要オシロメーカがすべてラインアップすることになった。

参考記事
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