計測関連用語集

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詳細説明

原子力発電所

読み方:

げんしりょくはつでんしょ

カテゴリー:

#その他

(nuclear power plant)
電気をつくる発電所には火力、水力、原子力があり、最近では再生可能エネルギーとしてPV(太陽光発電)や風力発電が加わった。火力発電は大きなタービンに高圧高温の水蒸気を当てて回転させ、同軸につながった発電機が回転することで交流の電気が生まれる。水蒸気を発生させるのは大きなボイラーで、ボイラーを加熱するために石油やLNGを燃やしている。ボイラーの代わりに原子炉があり、核分裂によるエネルギーで水を水蒸気にさせてタービンを回すのが現在の原子力発電(原発)の仕組みである。
米国の総合電機メーカだったGE(General Electric)が開発し、日立製作所と東芝が技術導入したBWR(Boiling Water Reactor、沸騰水型原子炉)と、米国WH(Westinghouse Electric Company、ウエスチングハウス)やフランスAREVA(アレバ)、三菱重工業が手掛けるPWR(Pressurized Water Reactor、加圧水型原子炉)の2種類がある。東京電力、東北電力、北陸電力、中部電力、中国電力はBWR、九州電力、四国電力、関西電力、北海道電力はPWRを導入し、2011年3月(東日本大震災)までは全国で53基の発電所が稼働し、火力発電に次ぐ重要な日本の発電インフラだった。2012年当時は新設工事中や新設計画も10基以上あったが、東京電力福島第一原発の事故発生によって、すべての工事や計画は停止(中止)になっている。

2022年2月に発生したロシアのウクライナ侵攻は、欧州を筆頭に世界中のエネルギー事情を一変させた。侵攻は長期化していて(2022年7月現在)、ゼロエミッションの優等生として「原発ゼロ、再生可能エネルギー推進」を標榜していたPV大国のドイツは、火力発電所の再稼働に方針転換し、ロシアからのガスに電力発電を依存する体質の改善を表明した。岸田総理は「今年の冬には最大9基の原発を稼働、火力も10基増」を2022年7月14日に表明し、経済産業相に対応を指示したことが報じられた。世界の電力・エネルギー事情が激変する中で、日本の電源構成、特に原発をどうしていくのかの長期的な国家戦略が求められている。核兵器の研究開発を禁止されている(日本学術会議は大学での研究を一切認めていない)状況で、原発を稼働させ、原子力技術者を維持していくことは、技術立国日本の国益と思える。原発は日本が世界に輸出できる数少ない重要な技術である。

原発は13か月ごとに稼働停止して定期点検(定検)をすることが法律で決まっている。定検には多くの計測器が短期間に使用される。作業は日立、東芝、三菱重工などの重電メーカや電力会社系列の電気工事会社、メーカ系の工事会社、独立系の工事会社など多くの会社が分担する。そのため、各会社は自社資産の計測器とレンタルでの調達を上手に活用している。また自社資産の計測器をどう品質担保するか(計測器の点検や校正)も各社で方針が分かれる。ハンドヘルドの現場系計測器を中心に、圧力校正器記録計や、場合によっては保護リレー試験器などの高額製品も含めて、100台以上のモデルが1回の定検(約1週間~1か月)で使用されることも珍しくはない。

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