計測関連用語集

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詳細説明

ロジックアナライザ

読み方:

ろじっくあならいざ

カテゴリー:

#ロジックアナライザ

(logic analyzer)
デジタル回路の動作を調べる測定器。基本性能は多チャンネルの電圧計。電圧を検出するが、アナログの値ではなく1か0のデジタル値でしか認識しない。また表示はソフトウェアコードや言語で電圧値ではない。各チャンネルの1/0(high/low)の時間推移(タイミング)を表示する機能は現在のミックスドシグナルオシロスコープのロジック入力機能の元となった。
マイクロプロセッサ (MPU、CPU、マイコン)が普及した1970年代後半に出現し、組込みシステムの開発・デバッグに威力を発揮した。2000年代以降はICEJTAG化と歩調を同じくしてその役割をほぼ終えた。バスアナライザ(プロトコルアナライザの1種)として延命している機種もある。略称: ロジアナ。マイコン黎明〜普及期には、岩崎通信機、タケダ理研工業(現アドバンテスト)、安藤電気、松下通信工業(パナソニックモバイルコミュニケーションズ)などの大手計測器メーカがこぞって参入したが、すべて撤退した(海外メーカに駆逐された)。HP(現キーサイト・テクノロジー)とテクトロニクスの2社が最後に残った。ロジアナといえばHPというくらい、ラインアップが多く、2023年現在も、1650シリーズや16500シリーズから継承する16800、16850、16900シリーズなどが健在。テクトロニクスはTLAシリーズがあったが、生産中止(2023年現在、同社ホームページには製品の資料はまだ掲載されている)。
4ビットから始まったCPUチップが16ビット、32ビットと進化すると、バスも増え、処理速度も高速化した。キーサイト・テクノロジーはロジアナ内部に高速処理をするFPGAなどを搭載して、モデルを増やした(国産計測器メーカはこのような対応ができなかった)。テクトロニクスのモデルもファンがいた。テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)では「ロジック・アナライザ:多数のデジタル信号の論理ステートを時間軸に対する変化で表示する機器。デジタル・データを解析し、リアルタイムなソフトウェア実行、データ・フロー、ステート・シーケンスなどが表示できる」とある。
余談だが、ある大手通信機器メーカは交換機の開発などで高額なロジアナを3桁の台数で使用した。ロジアナは電圧測定器だから、このメーカは校正の対象にしていた。これは大きな間違いである。ロジアナは電圧を測定しても1か0の表示しかしない。アナログの電圧計ではなく、プロトコルアナライザのようなデジタル測定器である。精度がはずれてきて1を0に表示したら故障(修理)で、校正ではない。ただし社内規定で校正対象だから、校正周期(通常1年)ごとに校正を実施し、校正証明書などの必要書類を更新しないといけない(そのようにISOに準拠した社内規定を制定している)。レンタルで運用している機材は、毎月のように校正の対応が発生し、現場は大いに無駄な作業を続け、無用な経費を出費した、という笑えない話である。マイクロプロセッサの普及によって登場した新しい測定器であるロジアナを正しく理解できる人材が、大手でも校正部門にはいなかった、というお寒い話である(メーカは優秀な人材は開発や企画、営業部門に配置するが、校正などの品質管理には回らないという実例かもしれない)。

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