計測関連用語集

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詳細説明

フルスケール

読み方:

ふるすけーる

カテゴリー:

#その他

(full scale)
計測器が測定できる範囲のこと。電子工学では「システムが提示できる最大振幅」という定義もあるが、計測の用語としては、「レンジのフルスケール」とか「フルスケール(に対する)精度」という使い方がされる。簡単にいうと、測定レンジのことをフルスケールといっている。full scaleを翻訳すると「全測定範囲」だが、精度の記述で「フルスケール2%」を「全測定範囲2%」と解釈すると大きな間違いである。フルスケール(そのレンジで測定できる最大値、つまりレンジの値)の2%に相当する値(絶対値)が、全測定範囲にわたり(測定値に関係なく)適用される、という意味である(つまり%ではなく絶対値)。計測器の仕様では「FS」や「F.S.」、「f・s」などの略記をされる。
次のような解説がある。「【精度:±2.0%FS】は、精度が“全測定範囲(フルスケール)×2.0%”であることを意味し、全測定範囲に於ける許容差(精度幅)は同じ。」この解説で重要なことは「差(幅)、つまり絶対値が同じ」であり、「率(%)が同じ」とは言っていない点である。FSの記述は%なので、「%が同じと」勘違いしやすい。上記の解説を「FSで記載された%の率が全測定範囲に適用される」と理解したら大間違いである。
100Vレンジで測定する場合(つまり最大測定値であるフルスケールは100V)、「FS:±1%」だったら、100Vの1%である1Vの誤差が、(測定値にかかわらず、レンジの全範囲で)適用される。50Vを測定したら真値は50±1V(49~51V)なので、誤差は1V/50V=2%。フルスケール(最大測定値、レンジの値)で測定したときの倍の誤差に(精度は倍、悪く)なる。このことは、最大値(レンジの値)に対して測定値が離れるほど誤差が増大することを意味する。FS(フルスケール精度)とは、測定最大値(フルスケール)を決め、その最大値に対して何%という考え方である。それに対してRS(リードスケール精度)とは、どの測定域でも、指示値(表示値)に対して何%という考え方で、デジタル表示のモデルはRS(rdgやreadeingと表記)で精度を規定している。

従来の計測器は指示計器(針が動いて止まり、指針した値が測定値となる、アナログのメータ)であった。「針がフルに振れる値がレンジの値なので、“最大の目盛り”という意味でフルスケールという」と覚えると良い。デジタル表示の計測器が主流になった現在でも、電圧計、電流計、電力計などは指示計器が多い。工場の電気機器や受変電装置などのメータは現在もアナログの指針型が多く(パネルメータと呼ばれる)、デジタル式は少ない。指針型のメータを採用しているアナログ表示の計測器の精度は、フルスケールの時で規定される(フルスケール精度と呼ばれる)。
指針型のアナログ表示の測定器の使い方として、測定値がフルスケールになるべく近くになるようにレンジを選択して測定することが、精度良く測定するコツである(測定器の使い方の基礎)。
「レンジ(やレンジ値)」といわずにフルスケールというのは、このようにメータの精度を規定しているためである。計測ではフルスケールは基礎用語のため、随所にあらわれる。たとえばアナログ出力の「4-20mA」の説明でも「レンジ値」といわずに「(レンジの)フルスケールが20mAになり・・・」とうような説明がされる。
このように計測器の原理、精度規定の考え方に沿って、レンジ(の値)はフルスケールと表現されることが多い。そのような計測器の概念、考え方を理解していないと、なぜレンジといわないでフルスケールというのか困惑してしまう。計測の初心者にとっては覚えることが多くて大変である(逆にいうと、計測はその分野についての知識がある人たちの村社会なので、村人になって計測器を使うには、このような用語集や解説書を熟読して知識を習得する必要がある)。

参考用語
参考記事
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