計測関連用語集

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詳細説明

パワーエレクトロニクス

読み方:

ぱわーえれくとろにくす

カテゴリー:

#その他

(power electronics)
エレクトロニクス(回路理論、半導体、電子部品など)とモータ駆動(パワー、制御)の両方を包含する技術の総称で、1970年代にアメリカのGE社でこの言葉が使われたといわれる(コロナ社2017年7月発行 「これでなっとくパワーエレクトロニクス」より)※。略して「パワエレ」と呼ばれる。「パワー・エレクトロニクス」という「・」を入れた表現もある。
鉄道、自動車、家電など、モータを駆動する分野で使われている技術。モータを制御するインバータは、いまや家電の代表であるエアコンから、電気自動車まで、生活のあらゆる場所に使われている。

一般社団法人日本パワーエレクトロニクス協会が毎年、秋に開催しているフォーラムでは大学の教授だけでなく、デバイスメーカ、自動車メーカ、家電メーカなどの開発者が集まりディスカッションをしている(2019年までは会場で開催、2020年はコロナ禍によりオンライン開催、2023年現在は開催されていない)。日経エレクトロニクスも「パワー・エレクトロニクス・アワード」を毎年主催している。半導体分野は日本は主流ではなく、世界的にはインテルやサムスン、TSMCがメインプレーヤだが、パワー半導体分野では日本は世界の最先端で、大学の研究室もデバイスメーカも活発である。日本ではエアコンといえばインバータ内蔵の省エネ式があたりまえだが、その高い普及率は、世界的にみると突出した状態である。EV(電気自動車)の(ハードウェアとしての)要素技術は日本は進んでいるといえる。
このように日本が強みのある分野だが、需要に反して、理工系の大学や専門学校でのパワエレ教育は少なく(全般的に電子・電機分野で計測器やパワエレの授業はほとんどされていない)、卒業者を企業が奪い合っている状態らしい。半導体、電子回路などの弱電(軽電)からモータ、電気エネルギーなどの強電(重電)まで幅広い知識がないと、電子回路でモータを制御する技術開発はできない。メーカや教授らが協力して日本パワーエレクトロニクス協会(PWEL)を設立し、この分野の啓蒙・発展・人材育成をはじめた所以である。

パワエレ関連の計測器というと、半導体開発・試験用の基本測定器であるカーブトレーサ半導体パラメータアナライザがある。SMUも大電流・高電圧が求められる傾向が伺える。オシロスコープ用のプローブとして、光絶縁プローブ(光アイソレーションプローブ)や電流測定用のロゴスキーコイルも使われる。計測器メーカでは岩崎通信機とテクトロニクスがこの分野のラインアップが多い。

※ パワーエレクトロニクスという言葉は「1973年にウェスティングハウス社のウイリアム・ニューウェル(William E.Newell)博士が定義したもので、パワー(power)、エレクトロニクス(electronics)、制御(control)の技術が融合した分野を指す」という説明がある(横河計測 「スコープコーダの基礎知識 第1回」より)。

参考用語
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