データコミュニケーションアナライザ
(data communication analyzer)
有線通信測定器の1種であるプロトコルアナライザ(プロアナ)で、日本のトップシェアだった安藤電気の品名。形名AE-5104、AE-5105などの機種は販売数が多く、1990年頃の日本市場をYHP(現キーサイト・テクノロジー)と2分していた。安藤電気は日本の情報機器・精密機器メーカの需要に応えて次々とラインアップを進化させた。AE-5104からはポータブル型となり、前面パネルの蓋(の裏側)がプリンタになるオプションは、先発のYHPより先に発売している。安藤電気はNTTに早くから通信回線モニタ装置(データ回線診断器/試験器)を納品していた電電ファミリーである。
銀行のオンライン取引や、JRの窓口でのオンライン予約など、遠隔地のコンピュータ同士のデータ通信が広がると、プロアナ(回線モニタ、オンラインモニタ)の需要は拡大し、安藤電気のデータ通信測定器であるプロアナは看板製品となった。ISDN時代にはISDNの通信速度に対応したプロアナを発売したが、高速大容量になると、東陽テクニカなどが取り扱う海外製品が台頭し、安藤電気はシェアを取れなかった。LANプロトコルアナライザが計測器というハードウェアではなく、高性能な可搬型PCにソフトウェアを搭載し、ハード(計測器)からソフト(シミュレータ)に移行したように、プロアナは計測器の主要な1カテゴリーではなくなり、安藤電気のデータコミュニケーションアナライザもすべて製造中止になった。
現在のプロアナは株式会社ラインアイなどのハンドヘルド型の低速(RS-232Cなど)のラインモニタ(安価)か、海外メーカのバスアナライザ(高額)の2種類である。過去に4951Bなどでプロアナの代表メーカだったキーサイト・テクノロジーも撤退している。「〇〇コミュニケーションアナライザ」という名称は通信計測器には多い名称なので、安藤電気以外にも同じ品名の製品があるかもしれない。