計測関連用語集

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詳細説明

ゼネレータ

読み方:

ぜねれーた

カテゴリー:

#テレビ・オーディオ測定器

(generator)
信号発生器のことをテクトロニクスではジェネレータではなくゼネレータと表記していた。特にビデオ関連の測定器では映像信号発生器をゼネレータと呼称していた。同社はオシロスコープとビデオ(映像関連)測定器が有名だが、AWGなどの汎用的な信号発生器は積極的にゼネレータとは表現していなかったと筆者は記憶するが、2004年の同社エンジニアの技術記事に「波形発生ゼネレータ」や「エヌエフ回路設計ブロックのファンクション・ゼネレータ」という表記があるので、同社は信号発生器はすべてゼネレータだったのかもしれない(エヌエフ回路設計ブロックの品名はファンクションジェネレータなので、前述の記述は誤りである)。現在のテクトロニクスにはゼネレータという表現は無くなった(2022年)。同社以外の計測器メーカは圧倒的にジェネレータが多いので、「ゼネレータ:テクトロニクスの信号発生器の呼称。特にビデオ関連の映像信号発生器の品名に使用されていた。」という解説もできる(※)。
親会社のFortive(フォーティブ)の意向などにより、2019年にテクトロニクスはビデオ事業部をTelestream(テレストリーム)社に売却してしまった。競合である国産のシバソクもアサカに映像関連計測器を移管して撤退した(2015年)。リーダー電子は信号発生器より波形モニタ(映像信号の波形測定器、ラスタライザなど)にラインアップを集中させ、映像用の信号発生器(プログラマブルビデオ信号発生器など)はアストロデザインほぼ1社となっている(アストロデザインは波形モニタをラインアップしなくなった)。
2011年7月24日の地上波テレビ放送(地デジ、ISDB-T)のアナログからデジタルへの完全移行後は、国内のTV関連測定器の市場規模が縮小したと推測される。リーダー電子は競合のテクトロニクスが撤退したので、国内ではNo.1シェアになった。同社は海外市場でのシェアアップを推進している。世界市場の規模の推移は不明だが、テクトロニクスがオシロスコープと並ぶ2枚看板のビデオ関連測定器をやめてしまったのはもったいない、と筆者は思う。リーダー電子やアストロデザインと競合し、切磋琢磨してより良い製品をつくり続けていく意義はあったと思うが、M&Aが盛んな海外では、資本家の意向によって儲けが少ないビジネスは無くなるという、資本主義の基本原則が貫かれている。

(※)1960年頃の菊水電子工業の主力製品は電源ではなくオシロスコープだった。当時の製品カタログに「452型ファンクション・ゼネレータ」という表記がある。1964年創刊の月刊トランジスタ技術にはオシロを「オッシロ」と表記している記事がある。当時は信号発生器はジェネレータでなくゼネレータと表示することも多かったのかもしれないが、資料が少ないので推測の域をでない。
余談だが菊水電子工業は1970年代からDC電源のラインアップを増やし、現在は「菊水とえば計測用電源」であるが、1960年頃はオシロスコープやFGなどの基本測定器をラインアップしていたのである。これらの製品は現在のラインアップにはない。半世紀を経ると、計測器メーカの主力製品(ラインアップ)は変わり、不変ではないことを示唆している。

参考記事
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