計測関連用語集

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詳細説明

サンプリングオシロスコープ

読み方:

さんぷりんぐおしろすこーぷ

カテゴリー:

#オシロスコープ

(sampling oscilloscope)
高い周波数帯域の繰り返し信号を測定することを目的にしたデジタルオシロスコープ。略称:サンプリングオシロ。単発信号の測定はできない。ほとんどの機種が本体とモジュールを組合せる構成になっている。基幹通信網として高速の光通信が整備・拡張されていた1980年代から2000年代には、キーサイト・テクノロジーテクトロニクスの製品が市場を2分していた。本体はメインフレームで、用途別の測定ユニット(計測モジュール)を装着するモジュール型である。
基幹通信網で使われる特定の通信方式に準拠した高速信号波形を観測するために、大手通信装置メーカ(NEC、富士通、日立、沖電気など)は設計・開発・製品検査などに特定の計測モジュール(高額な専用器)を使っていた。測定ユニットに光入力が多いことから「光サンプリングオシロ」と呼ばれたり、計測器メーカの総合カタログではオシロと光測定器の両方に掲載されたりしていた。高額であること、必要になる特定の短期間に使用することから、ユーザは自社設備を最低限にしてレンタルを活発に利用した。ただし大変ニッチな高額製品のためレンタル会社の保有台数も潤沢ではなく、ユーザから事前の利用期間をレンタル会社に打診して、レンタル会社は在庫調整をして、場合によっては(今後の見込みがあり、顧客の希望に納期が間に合えば)補充購入(発注)をする、という利用形態が多くみられた。
オシロという名前がついているが、有線通信用の専用器であり、低周波の基本・汎用測定器ではない。構造はオシロだが、アプリケーションの大半は特定の通信規格の波形測定用途である。アイパターンの評価にも使われるので、その用途では有線通信の基本測定器といえるが、2000年代中旬以降の高速オシロスコープ(リアルタイムの広帯域オシロスコープ)の出現・普及によって、アイパターン測定はサンプリングオシロからリアルタイムオシロスコープ(マスクパターンのオプションを使用)に移った。従来のモデル(86100やDSA8300など)は生産中止になったが、長らくサンプリングオシロで評価をしてきた光デバイスメーカ(たとえばNECの大月工場など)は、データの継続性から現在もサンプリングオシロでアイパターン評価を継続している。そのため計測器メーカ2社も、表示部が無く小型にしたサンプリングオシロをラインアップしている(参考記事の2社の製品例を掲載)。
サンプリングオシロとロジックアナライザは、ユーザによってキーサイト・テクノロジーとテクトロニクスにファンが分かれる。両社ともに、自社がトップブランドだと自負してラインアップしている。エヌエフ回路設計ブロックが「交流電源では菊水電子工業に負けたくない」と思っているように、2社はサンプリングオシロのライバルである。
テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)では以下の解説がある。「デジタル・サンプリング・オシロスコープ:等価時間サンプル手法により信号のサンプルを取込み、表示するデジタル・オシロスコープ。信号の周波数がオシロスコープのサンプルレートよりも高い場合でも、正確に信号を取込むことができる」。つまり、オシロスコープの周波数帯域やサンプリングレートが今ほど高くない時代(2000年以前のデジタルオシロは4GHzが最高の高級品だった)に、もっと速いデジタル光通信の波形の品質を確認する手法として、繰り返し信号を補足するサンプリングオシロはアイパターン測定器として重宝された。

計測器情報:サンプリングオシロの製品例

参考用語
参考記事
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