でぶ
1980年代から1990年代にかけてマイコン工業株式会社がつくっていたPC用のプリンタバッファの通称。形名もDEB-01など、「でぶ」に徹底していた。1984年頃に「沖電気のパソコン(if800)とプリンタの間にDEB-01をつなぐと、4時間が8分に短縮される」旨のキャッチコピーが書かれた製品カタログがあった。
1980年代は企業内にパソコンが普及していった(NECのPC-98や富士通のFMシリーズ、沖電気のif800、ソードのM343/M68など)。当時はまだ企業内にLANなどのネットワーク環境は無く、各パソコンとプリンタはセントロニクスのケーブルで直接つながっていた(切替器で2台のPCでプリンタを共有することもあったが、プリンタにつながるPCは限られていた)。パソコンの処理速度に比べてプリンタの処理速度は遅いため、パソコンからプリンタに印刷を行うと、プリンタ側の処理が終わるまでパソコンはプリンタに拘束され、次の事ができずに待たされた。そこで、パソコンとプリンタの間にメモリである「でぶ」を入れ、パソコンはでぶにデータを送れば処理は完了で、プリンタへの印刷処理からは解放され、次の仕事ができる。当時はでぶ以外にもコンピュータ関連企業が同様のプリンタバッファをつくっていた。HDDなどのIT機器で有名な株式会社バッファロー(BUFFALO)の会社名はプリンタバッファに由来するという。
当時の企業内のOAパソコン環境では、プリンタバッファによって効率がアップするので、でぶは数機種が販売され、企業内に数多く導入された。前述のif800からプリンタに印刷したら4時間かかるが、でぶを使えば8分で済む、とはそういうことである。2000年以降はLANなどの普及によってでぶは不要となった。つまり、プリンタがLANにつながり、各PCはネットワーク内のプリンタを選択して印刷するようになった。現在のマイコン工業の消息はわからない。