WaveMeter
ソニー・テクトロニクが1990年代に発売したハンドヘルドのデジタルマルチメータ「ウエーブメータSTA55シリーズ」のこと(すでに生産終了)。ハンドヘルドのオシロスコープのような、簡易な波形表示ができるDMM。製品カタログには「ハンディタイプとしては初の波形表示機能を備え、サンプルレート 16MS/s、周波数帯域 5MHzの波形表示ができる」とある。STamigo商品でもある。
一般にwavemeterは光測定器の波長計のこと(例:キーサイト・テクノロジーの8905A。生産中止)。光通信で使われる信号の波長(wavelength)の計測器(mater、メータ)である光波長計(optical wavelength meter)を指す。辞書によっては「wavemeter:周波計」という解説もある。
現在、ハンディDMMで波形表示できる(オシロスコープ機能がある)製品は、ハンディDMMの世界No.1メーカのフルークを筆頭に、主要計測器メーカはつくっていない(フルークにはサーモグラフィ機能があるハンディDMMの279というモデルはある)。「オールインワンハンディオシロスコープ 品番SSMT-700」(サンプリング:最大25MS/S、周波数帯域:5MHz)というハンディDMMを販売している商社があり、製品写真や主要性能はWaveMeter STA55に良く類似している。ただしメーカ名は不明(商社ホームページに未記載で、インターネットでこの品番を検索してもヒットしない)。つまり、STA55は生産中止となり、他社(主要計測器メーカ)も含めて、後継(類似)モデルはつくられていない。ハンドヘルド製品としてのDMMとオシロスコープは使用用途が異なり、DMMに波形表示機能は必要ない(需要がない)。波形を見るならハンディのオシロスコープを使用する(こちらは需要があり、フルークやキーサイト・テクノロジーがラインアップしている)。
DMMでもベンチトップモデルは表示画面が大型化していて、波形表示もできるが(Truevoltなど)、これはオシロスコープ機能ではなく測定値の統計表示(ヒストグラムなど)である。ケースレーインスツルメンツ(現 株式会社テクトロニクス&フルーク)が2018年に発売したベンチトップの「DMM6500型 6.5桁グラフィカル・サンプリング・マルチメータ」はデジタイザを内蔵していて、オシロスコープのような時間軸波形を表示できる。ベンチトップは多機能なモデルの需要があるが、ハンドヘルドは安価なので、違う機種群(カテゴリー)の機能を盛り込むことが少ない。
STA55の下位モデルにSTA36があった。こちらはオシロスコープ機能がない、単なるDMMである(2021年12月のネットオークションで2100円で落札した記録が残っている)。
STA55シリーズの製品カタログ(会員専用)