VVVF
(Variable Voltage Variable Frequency)
インバータ(直流を交流に変える装置)を使って交流モータへ供給する電圧と周波数を自在に変化させ、回転数やトルクを精密に制御する技術。直訳すると「可変電圧可変周波数」だが、一般には英語の略記であるVVVFと表記される。文献や製品カタログなどの技術資料ではVVVFと記述されている。電車やエレベータのモータ制御に使われ、省エネや滑らかな加速を実現している。
VVVFとは電圧と周波数を自由に変化できる機能がある、交流モータ用の電源を指していることが多い。モータ用のインバータなので、VVVFインバータとも呼ばれる(計測用電源メーカではVVVF電源とも呼んでいる)。
代表例は電車の制御に使われていることである。電圧と周波数を変えることでモータの回転数(加速や減速)を制御する。そのため、VVVFというと「鉄道車両の装置」ともいえるが、実体はインバータ、電源の1種である。パワーエレクトロニクスの進歩によって現在の鉄道車両(電車)に普及したインバータの1方式ということもできる。1990年代から普及が始まり、現在では多くの電車の駆動方式として導入されている。従来の抵抗制御に比べて約50%の省エネを実現した。回生ブレーキによって減速時のエネルギーも再利用している。
鉄道車両用のVVVF装置は三菱電機(兵庫県伊丹市)や東芝(東京都府中市)が納入実績がある(両社とも自社製のパワー半導体をつくっている)。日立製作所(茨城県日立市)はパワー半導体を他社に売却したがVVVFは継続していて、JR以外に英国の鉄道にも納品している。東洋電機製造(神奈川県横浜市金沢区)もデバイスは他社製品だが鉄道向けのVVVFをラインアップしている。パワーデバイスは、SiCが開発されて従来のIGBTよりも性能が上がり、VVVF装置も小型になっている。SiC製のVVVFが、新規導入の鉄道車両へ2010年代から採用(IGBT製品からの入替え)され始めている。つまり、VVVFは重電メーカがパワー半導体を使ってつくっているモータ関連の装置といえる。
一般社団法人 日本民営鉄道協会の鉄道用語辞典で「インバータ車」の説明にVVVFがある。神戸市交通局は地下鉄車両で「鉄道の豆知識 VVVFインバータ制御」を解説している。つまりVVVFは鉄道の用語といえる。
電車が加速するときに「ブゥーン」という音階的な音が出ることが知られている。1998年に京浜急行電鉄(京急)の2100形や新1000形(一部)で採用されたドイツのシーメンス社製のVVVFインバータ装置を、鉄道マニアは「ドレミファインバータ」と呼んでいる。電車が出発する際(加速時)に床下からドレミファ・・と音階が上がっていくようなメロディーが聞こえる。モータの回転速度を制御する際に発生する磁励音(ノイズ)を、音階になるように制御プログラムで調整している。VVVF装置の機能とはまったく無関係な遊び心といえる。「歌う電車」としてファンに親しまれたが、機器の更新に伴い順次数を減らし、最後の1編成も2021年7月に運用を終了した。


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