V-t試験
(Voltage-time test)
信頼性試験を行う試験機関では、プリント配線板などの絶縁材料の「絶縁耐力の時間的安定性を評価する手法」と説明している。具体的には、絶縁破壊が発生するまでの時間を測定する、近似直線を用いて寿命を推定する、劣化促進環境下で規定電圧を印加する、などが行われる。複数の電圧で絶縁破壊に至るまでの時間を測定することで寿命(V-t)曲線を描く。絶縁耐圧試験と寿命(劣化加速)試験を合わせた方法である。パワー半導体の評価にも最近は使われることが増えている。
V-t試験は印加電圧に重点を置いているが、高温高湿試験(高温と高湿での試験)で通電(電源電圧を印加してデバイスを駆動)して電気ストレスによる劣化(絶縁性能)を調べるのがTHB(高温高湿バイアス試験)である。こちらは高温高湿(耐湿性試験)プラス電圧印加の手法である。
「固体絶縁体の破壊電圧は電圧印加時間とともに低下する」という現象をV-t特性と呼称するので、V-t試験の名称もこのあたりに由来する。ただし、電力ケーブルなどで行われる「雷インパルス耐電圧試験」でV-t特性というと、「インパルス放電開始-時間特性」を意味している。サージ防護デバイスに、一定の極性と波形で、波高値の異なる複数のインパルス電圧を印加して、放電させたときの放電開始電圧と放電開始までの時間の特性を指す。V-tは電圧-時間のことなので、冒頭で説明した試験や特性以外の意味で使われることもある。
SiCやGaNなどのワイドバンドギャップ半導体が製品化され、さらに高性能なUWBGが研究されるなど、パワー半導体の進歩、普及が進み、V-t試験と共にパワーサイクル試験に注力する試験機関もある。