SS No.7
(Signaling System No.7)
固定電話網で電話機同士を接続する仕組み。1975年に運用が開始され、世界中で利用されているプロトコルの名称。電話機同士が会話を始めるための、発信や着信などの呼制御をシグナリングというので、SS No.7は公衆交換電話網のシグナリング・プロトコルとも呼ばれる。表記はSSN7やSS#7、SS7などもある。
正式には「共通線信号No.7(Common Channel Signaling System No.7)」。ネットワーク間の電話やSMSの転送、料金請求処理、国際ローミングなどに利用されている。1990年代まではSS No.7対応のプロトコルアナライザ(プロアナ)や伝送交換装置用測定器が活躍したが、日本では2000年代にIP網(インターネットのネットワーク)が普及して交換機はルータやサーバに代わり、SS No.7用の通信計測器は需要が減って、使われなくなった(※)。
HP(ヒューレット・パッカード、現キーサイト・テクノロジー)の「シグナリング テスト セット 37900A」は、ソフトウェア、インタフェース、ワークステーションで構成され、SS No.7のプロトコルをモニタし、擬似端末としてエミュレーションができるモデルだった。37900DはNo.7だけでなくISDNにも対応した。国産ではエイブルコミュニケーションが1990年代前半に「SS7テストシステム DXV-100」を開発・販売している。国産のプロアナの老舗、安藤電気にはSS No.7に対応したモデルが見当たらない(筆者は記憶にない)。ISDNは日本ではNTTが1988年に商用開始し、安藤電気は1990年代後半にISDN疑似交換機をつくったが、ISDNプロアナのリリースはその後だった。同社はSS No.7よりもISDNモデルの開発を優先したと思われる。2000年代には横河電機(現横河計測)の傘下になり、結局SS No.7プロアナをつくらずに終わった(つくれなかったのか、つくらなかったのかは不明)。
(※) ISDNの擬似交換機やモニタ(プロアナの1種)をつくる甲賀電子株式会社のHPにはSS No.7用のシミュレータやモニタが掲載されている(2024年11月現在)。大手計測器メーカのキーサイト・テクノロジーがだいぶ前にSS No.7モデル(37900)を中止して、プロアナベンダはラインアイなどの非計測器メーカ(エレクトロニクスのベンチャー企業)になったが、甲賀電子もその1社である。少ないながらもSS No.7関連の測定器の需要があり、同社がそれに応えていると推測される。