SPD
(Surge Protective Device)
翻訳すると「サージ防護デバイス」だが、SPDという略記が多く使われ、ほとんど日本語と化している。落雷や電力系統の異常によって発生するサージ(瞬間的な大電流や高電圧)から電子機器を守る機器。雷が落ちると近くの電線にその大電流が流れ込むことがあり、雷サージと呼ばれる。SPDはサージをバイパスさせる装置。電流をアースに流し地面(グランド)に逃がすことで機器がダメージを受けることを回避する。
雷対策の「避雷針」、「避雷器」とは厳密には役割が異なるが、SPDを避雷器と呼んでいることも多く、定義は各種ある(以下は解説例の1種)。
・避雷針:建物の屋根などに設置し、雷を誘導して地中へ逃がす機器。
・避雷器:送電線や変電所などに設置されている大規模な電力設備を保護する装置。
・SPD:建物内部の配線や電子機器を保護するための機器。
JIS規格(2004年)では、それまで避雷器、保安器、アブソーバなどと呼ばれてきたものがSPDに定義され、SPDなる呼称の普及が加速した。
SPDの主なメーカは、音羽電機工業(株)、(株)サンコーシャ(※)、(株)昭電(SHODEN)。
音羽電機工業は1946年に京都で創業し、音羽式電流制限器を電力会社に納め、1971年に検電器の長谷川電機工業(株)を傘下にした。OTOWAグループとして音羽電機が「雷サージ対策」、長谷川電機が「検電器・電力保安」を担い、電力供給の安定化で技術連携しているとされる。音羽電機HPでは雷対策・設置対策コンサルティングを掲げている(2026年)。サンコーシャ(sankosha.co.jp)は1930年に「山光社」として東京都芝区で創立し、端子函、配線函の生産・販売を開始した。1991年に雷・気象情報の予報、観測システム・ソフトウェアの開発・販売をするフランクリン・ジャパン(株)を設立し、蓄積した貴重な気象データを提供している。現在の本社は東京都品川区大崎で、「製品・サービス」の1番目に雷害対策を掲載している(2026年)。
昭電は1965年に電源メーカとして創業し、1969年にシーメンスの保安器部門製品の日本総代理店になり、現在は「製品・サービス」の1番目に雷害対策を掲げているのでSPDは看板製品である。本社は東京都墨田区で、テクノセンターが千葉市、工場が千葉県成田市にある。2026年のJECA FAIR(ジェカフェア、旧電設工業展)に出展することをHPに公開している(2026年4月)。
重電メーカの富士電機は関連会社の富士電機テクニカ(株)がSPDを手掛けている。アライドテレシス(株)はスイッチやルータなどのネットワーク機器メーカだが、現在は無線LANのアクセスポイントもつくり、関連製品としてSPDも取り扱っている。
このように、SPDは計測器ではないが、電力系統や電源回路、電気機器に使われて、計測器と関連する機器・装置である。
(※) 「さんこうしゃ」と呼ばれる会社は、鉄道や交通インフラ向けの電気機器メーカの(株)三工社(sankosha-s.co.jp)、環境計測機の商社でリオンや日本カノマックスなどの販売店である(株)三工社(sanks.co.jp)もある。計測に関係する会社だけでも、SPDメーカ、鉄道機器メーカ、計測商社と、人によって思い描く「さんこうしゃ」はそれぞれである。その他にも高周波機器メーカの(株)三光社(sanko-sha.net)、半導体や制御機器の商社 (株)三光社(sankosha-net.co.jp)、クリーニング店から世界的な機械メーカに転身した(株)三幸社(sankosha-mfg.com)、広告業の(株)三晃社(sanko-sha.co.jp)など、全国に多くある。
PA(プロセス自動化)メーカの横河電機は計装用の避雷器を多くラインアップしている。同社はSPDメーカではないが工業計器のラインアップとしてSPDをつくっている。現場測定器を多くラインアップするマルチ計測器は避雷器劣化診断測定器をつくっている。ALCL-40は同社の漏れ電流測定技術を使い、「高圧避雷器の保守・点検指針」JEM-TR179 避雷器の接地線を外さない場合の測定方法による製品である。
Data Center Japan(2026年3月)の音羽電気工業とデータセンター EXPO (Japan IT Week 2026年4月 東京ビッグサイト)のサンコーシャ。




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