計測関連用語集

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詳細説明

ROMライタ

読み方:

ろむらいた

カテゴリー:

#ROMライタ

ROM(Read Only Memory:読み出し専用メモリ)にデータを書き込んだり、上書きする測定器。ROMプログラマとも呼ばれる(英語ではROM Programmerなので、ROMライタは和製英語と思われる)。1970年代からのマイクロプロセッサ(MPU、CPU)の普及によって、プログラムを格納するメモリも増えた。ROMは重宝され、組み込み機器の開発現場には必ずROMライタがあった。
多くの種類のデバイスに対応する1個書きモデルと、生産現場で複数個のROMを一度に書き込む「ギャング」モデルがある。ROMライタのROMを差し込むソケット上に変換アダプタを載せて使用する場合もある。OS更新と変換アダプタによって、各デバイスメーカから次々と発売されるデバイスに対応した。ROMライタには製品ごとに、OSのバージョンに対応したデバイスリストがあり、各メーカが公開した。
計測器メーカとしては海外のData I/O(データ・アイ・オー)が有名(代理店は長らく東陽テクニカだったが、2020年11月に他社に業務移管)。国産ではアバールデータがPecker(ペッカー)の愛称でシェアを伸ばした。半導体テスタのメーカでもあるアドバンテストと安藤電気はほぼ同じ時期(1980年初頭)から販売開始した。前者のTR4900シリーズはエーディーシーに引き継がれたが全て製造中止。後者はAF-9702を初号器として、2019年4月には最新モデルAF9750を発売など、ラインアップを増やしている。
安藤電気のROMライタは1994年に東亜システムエンジニアリング(現東亜エレクトロニクス・フラッシュサポートカンパニー)に移管され、製品開発・販売が続いている。形名もほぼ継承されているが、AF-9700からAF9700と、「-」が無くなった。安藤電気同様にNECのグループ会社であったミナトエレクトロニクスもミナトホールディングス傘下のミナト・アドバンスト・テクノロジーズと社名を変え、Model1800、1900シリーズなどを発売している。主要な国産ROMライタはフラッシュサポートとミナトの2社(奇しくもNEC系列の半導体テスタメーカ)となった。
フラッシュサポートは東亜エレクトロニクスグループのROMライタ専業メーカで、生産ラインの設備となるROMライタに力を注いでいる。ミナトはデジタルサイネージを主力製品にしようとしている。ROMライタだけで単独のビジネスは難しい状況といえる。
ICE市場でトップブランドだったadviceで有名な横河デジタルコンピュータ(現DTSインサイト)は、自動車の製造ライン向けのフラッシュマイコン用オンボードROMライタに参入し、高シェアである。フラッシュサポートと共同で、オンボードではない製造ライン向けのROMライタ装置を2022年に発売した(以下の参考記事を参照)。前述のData I/O社も同等製品などをラインアップして現存している。
HDDなどのコンピュータ関連機器で有名なBUFFOLO(株式会社バッファロー)は、1981年7月にパソコン周辺機器市場へ本格参入する際に「コンピュータ事業部」を新設し、P-ROMライタ「RPP-01」を発売している。この事実を筆者は同社の社史で初めて知ったが(つまり同社のROMライタはそれほど売れなかったと思うが)、当時のROMライタはコンピュータ業界に参入するベンチャー企業が手掛ける花形製品だったことがわかる。1970年代に生まれたROMライタは全盛期の売上ではなくなったが、計測器の1カテゴリーとして現存している。

参考記事
計測器情報
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