PBX
(Private Branch Exchange)
企業内に設置される交換機。日本語では「構内交換機」だが、業界内の人はPBXと呼称する。電話の技術専門誌である「テレコミュニケーション」などでも「構内交換機」ではなくPBXと表記している。公衆電話回線がNTTやKDDなどキャリアの電話局内に設置された交換機によって回線がつながっていた時代には、1つの企業や、オフィスビル内にPBXが設置されることが多かった。キャリア(public、公衆)ではなく企業(private、民間)の交換機。企業内やビル内で内線のように短縮番号でダイヤルできた。「0」や「9」など特定の数字を押すと外線(公衆回線)につながり、普通の電話機のようにダイヤルすることができた(頭に0を付けて電話番号をダイヤルするので、「ゼロ発信」などと呼ばれた)。
IPネットワーク(インターネット)の普及で、2000年代以降にキャリアの交換機はルータやサーバに置き換わっていったが、PBXは現役である。メール、チャット、Web会議など、通信手段は電話以外が圧倒的に多くなったが、CIAJ(情報通信ネットワーク産業協会)の「通信機器中期需要予測」では「ボタン電話装置・PBX・事業所用コードレスホン」の国内金額は微減が続いている(激減ではない)。
かって電電ファミリーとしてNECなどに次ぐ交換機メーカだった沖電気工業株式会社は、現在はNTT向けの交換機から撤退したが、PBXではトップブランドである。2024年12月にWebコールゲートウェイ「NCPBOX」を発売し、PBXを中核とした企業内ネットワークの新しい需要に対応している。
計測器でPBXといえば、菊水電子工業のバイポーラ電源の形名である。同社の電源のモデル名はPで始まるアルファベット大文字3文字で、構内交換機のPBXと同じ文字列なのは偶然で、両者には全く関係がない。